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ストレスチェック制度を義務だからでなく、中小企業が導入したいと思う制度に

4月25日開催の「第2回ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会」を傍聴しました。

1回目の検討会レポートはコチラ

はじめに、事務局から1回目の「検討会の主な意見」(資料1)「ストレスチェックの効果に関する研究成果等」(資料2)「ストレスチェック制度の効果検証に係る調査等事業」報告書(抜粋)(資料3)について説明がありました。

「検討会の主な意見」(資料1)

資料2は、実施内容ごとに、そこから得られる効果について、エビデンスをもってまとめられており、具体的な実施内容など参考になりそうです。資料3は労働者へのアンケート調査からセルフケアが高まったという結果も記載させています。

これはかなりうがった見方ですが、1回目の検討会でストレスチェック制度の効果について疑問視する(精神障害による労災認定やメンタル不調者の増加)ことへの「効果あり」というアンサーとなるものでした。

以降は、意見交換の場となりました。

50人未満事業場のメンタルヘルス対策として、今の制度のままで導入するのが最適なのか

構成員の意見は、立場からさまざまでしたが、事業場規模にとらわれず、労働者にメンタルヘルス対策が必要であること、それ自体は同じ方向に向いていると感じました。
非常に気になったのが、50人未満事業場のメンタルヘルス対策として、いまのままのストレスチェック制度という手段が「最適」なのか、という意見です。
当たり前ですが、50人未満にも実施が義務化されると、「全事業場」が行うことになります。5人未満でも!
そう考えると、 うーーーん確かにいろいろ厳しさを実感します。

議論では、ストレスチェック制度を50人未満事業場で行うには、制度の前提となるプライバシーの確保や実施実務者等の体制整備のハードルが高く、また実施における事業者のコストなどが課題として挙げられていました。

制度導入について、ある構成員からは「50人未満事業場ではできない理由でなく、どうしたらできるかを考えていくべき」という意見もありましたが、私個人としては、別な構成員の「どうしたら50人未満事業場がぜひ導入したいと思う制度になるのか」という意見の出し方に、うんうんと頷いていました。こうした視点で次回以降の議論が進んでいくといいですね。ま、北風と太陽かもしれませんが。

具体的な課題への対応として、地域産業保健センター、かかりつけ医、健診機関(健診時の実施?)など、外部資源の活用が挙げられていました。もし制度義務化となった場合に実効性を高める上では、こうした外部資源の支援が必須になりそうです。

集団分析、職場環境改善は個別性が高く、万能薬はない

ストレスチェック制度は、一次予防のための制度であり、集団分析、職場環境改善を行うべきとしていますが、これを義務化すべきか、について

⚫︎メンタルヘルス不調の対応と(個人)、メンタルヘルス不調の「予防」の対応(集団)としっかり整理すべき。
⚫︎集団分析や職場改善には、業種別などの個別性があるので、一律に決めるのは難しい。
⚫︎職場環境改善に万能薬はない。例えば、ストレスチェックを、労働時間、退職率などと合わせて働き方改革のためのデータの一つとして使用し、「上流」で対策をとっているケースがある、など。

構成員の意見からも、職場環境改善は個別性が高く、一様に何を「義務」とするのかを明確にするのは非常に悩ましい感じですね。

ストレスチェック制度について、三柴構成員から、「価値観や能力など多様で複雑な背景によって現場では事案が生じている。それぞれの職場の個別性(事例)による対策が重要。メンタルヘルス対策の実効性を高めるには、ストレスチェックなど心理面のデータだけでなく、組織・人という面から、事業主、人事労務、専門医療職等、幅広い職種と連携をとることが必要なのでは。」と発言されていました(たぶんこんな内容だったかと)。

制度ができ、実施されると(特に義務化されると)、なかなか柔軟な運用がしにくくなるのかもと思いますが、ストレス制度を活用しながら(土台もしくはツールとして?)、より「個別」に対応できるような仕組みづくりが重要なのかなと感じました。

他にも課題として、
ハラスメントの有無の判断でなくそうなる前の対応、産業医の教育や地域における偏在、事業者への意識啓発、職場という単位では扱いが難しい派遣社員、個人事業主への対策、人数のカウントの仕方について(働く時間などから実施義務の人数の数え方と受検する人の定義が違う)なども挙がっていました。

最後に、商工会議所、経団連の構成員に対して「どういうことなら50人未満事業場で実施可能と考えるか」次回までに教えていただきたいという問いと、この問いに追加として別な構成員から「企業の責務として行う制度であることは忘れずに」という発言がありました。

ざっくりとご報告まで。次回は5月31日です。

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