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よりよいメンタルヘルス対策とは? 職場環境改善の実施、50人未満事業場のストレスチェック制度を推進するために

3月29日開催の「第1回ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会」を傍聴しました。


1回目ということもあり、事務局から、職場におけるメンタルヘルス対策の現状(資料2)堤先生(北里大学)から、ストレスチェック制度の効果検証に係る文献情報をご報告いただき(資料3)、これを受けてそれぞれの構成員から意見をもらうという内容でした。

●取組は進んでいるが、精神障害の労災件数は700件超と現状は厳しい

事務局から現状として、
○事業場におけるメンタルヘルス対策は、ストレスチェック制度の推進等を通じ、取組は進んできている(50人以上事業場では9割以上)。 努力義務である、50人未満の小規模事業場では、メンタルヘルス対策の取組は低調。
○精神障害の労災支給決定件数は、700件超(令和4年度)と過去最も多く(要因の1位はパワーハラスメント147件)、メンタルヘルス不調により休業または退職した労働者がいる事業場割合は、この3年間、約1割で推移しており、メンタルヘルス不調者は減っていない。
○職業生活で強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者の割合は82.2%(令和4年)。この割合は業種別では差が少しあるが、事業所規模の大小では差がほとんどない。 
○集団分析結果に基づく職場環境改善の実施状況は5〜6割。職場環境改善を行った事業場で所属する労働者が改善されたと認識している割合は2割以下。

聞いているとなかなか厳しい状況のように感じましたが、メンタルヘルス対策を推進するために「集団分析結果に基づく職場環境改善の実施」「50人未満の事業場のストレスチェック制度」をどのように進めるのか(義務化か?!)がメインのテーマになるようです。

●第14次労働災害防止計画の目標を達成するために

第14次労働災害防止計画(令和5〜9年)ではアウトプット指標として
「使用する労働者数50人未満の小規模事業場におけるストレスチェック実施の割合を2027年までに50%以上とする」
またメンタルヘルスの重点事項の具体的な対策として、労働者の協力を得て事業者が取り組むこととして、 
「ストレスチェックの実施のみにとどまらず、ストレスチェック結果をもとに集団分析を行い、その集団分析を活用した職場環境の改善まで行うことで、メンタルヘルス不調の予防を強化する」
とし、この達成に向けて国などが取り組むこととして
「集団分析、職場環境改善の実施及び小規模事業場におけるストレスチェックの実施を促進するための方策を検討し、取り組む」とされています。検討会のテーマのもとはここですね。

●現状のストレスチェック制度の課題と今後

構成員からは、
「ここでいう職場環境改善が本質的な意味で職場の改善につながっているのか。経営・労務なども巻き込んだルールの変更につながるといったことが必要なのでは」
「ストレスチエック制度は一次予防の制度だが、現場ではストレスがある人を見つけるという二次予防という認識になっている」
「現状を聞くと、効果があるから中小企業にもストレスチェック制度を導入とはいえないのでは。もし中小企業にも義務化するなら実務的サポートが必要」
「中小企業へのストレスチェック制度を進めるには、直接関わる地域産業保健センターへ予算を」
「ストレスチエック制度の体制や運営に、事業者が実施責任者としてどうかかわるかが重要」
「いまの集団分析結果に基づく職場環境改善の認識はさまざまなのでガイドラインが必要では」
などなど、さまざまな意見がでていました。

●職場環境改善とはどんなことなんだろう

個人的には、やはり職場環境改善とはどんなことなんだろう、というところが気になりました。それぞれの職場自体はもちろん、経営者、管理監督者、労働者、そして個人個人など、立場で感じることが大きく違いそうなので。
構成員からの議論すべき職場環境改善とはなにかという問いに対して、事務局からは、下記画像の内容と、現時点で定義されている内容として下記内容の回答がありました(←口頭だったのであまり確信がないですが、たぶんここらへん)。

職場環境等の改善とは、職場の物理的レイアウト、労働時間、作業方法、組織、人間関係などの職場環境を改善することで、労働者のストレスを軽減しメンタルヘルス不調を予防しようとする方法です。

厚生労働省「こころの耳」
資料2 職場におけるメンタルヘルス対策の現状等 P28

最後のほうで、森口先生(京都工場保健会)がご自身の研究で「ストレスチェックとは少し離れるが、小規模事業所で、働くメンバー同士で職場改善として話し合う場をもち、例えばこの場所を整頓すべきなどの具体的な意見を出し合ったこと」「1年目は研究として仰々しかったためか身構えられて、あまりうまくいかなかったが、2年目は、話し合う場に慣れたこともあってか効果が出てきたこともあり長期的な視点も大切」(たぶん、こんな内容だったような…)といった話が、まさに現場感のある職場環境改善に思いました。

以上関心のあったところだけ。第2回は4月25日とのことです。

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