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実父に関するトラウマを整理したら、子育ての袋小路を抜けた話

「実父に関するトラウマを一度しっかり消化しておかないとまずいのでは…」とはっきり認識した一番のきっかけは「小4次男としっくりいかないのは自分のトラウマが原因なのかも」と気付かされたことでした。

昨年5月、次男のあまのじゃくっぷりが激しく「行ってらっしゃい」と言えば「行ってきません」、「気をつけてね」と言えば「轢かれます」と答えるような感じでほとんど全ての会話がスムーズにいかず、私は最高潮にストレスを溜めていました。

会話があまのじゃくなだけなら全然いいのですが、返事をしない、暴言を吐く、やめてと言ったことを執拗にやめないなど、一つひとつを注意しているとほぼ全てのコミュニケーションが叱責になってしまうような感じで、その頃は家族全員でとても困っていました。
学校での様子を聞いても、塾での様子を聞いても「とってもいい子にしていますよ、おうちではそんな感じなんですか!」と先生方に驚かれるだけ…何がどうなっているんだろう…。

そんなこんなで夫とも相談し、とうとう小学校のスクールカウンセラーに相談に行くことに。ベテランのカウンセラーさんで、長男の時も何度かお世話になったことのある、絶大な信頼を寄せるS先生。
家でのあれこれを一通り聞いてもらったあとS先生はこう仰いました。

「家での態度と学校での態度の使い分けができる子で、家での態度のほうが悪いっていう子は、子育てが本当にうまくいっているケースなんですよねー!家でそういうのを出せない子はそれはもう本当に大変なので…。ちなみに家でも学校でもそういう自分を出せない子ってどうなると思います?このカウンセリング室に休み時間にやってきて、書類をビリビリにしたり部屋を水浸しにしたりして暴れていく高学年の女の子とかいますよ。そんな時私はとにかくひたすら受け止めます。叱りません。だって私が叱ったらその子は発散できる場がどこにもなくなってしまいますから。

とにかく次男くんのそれは、学校で頑張ってる証拠、家が安全基地になってる証拠なので、ご両親が厳しくする必要は全くないんです。次男くんがハリネズミ状態でチクチクになっている時は『あらあら〜』とか『んも〜』とか言いながら受け止めて流しておけばいいですよ。安心してそのままで!」

私は驚いて思わず「それでは図に乗りませんか?将来モラハラ夫になって奥さんに捨てられたりしませんか??私の父は家庭内暴力で家族から愛想を尽かされて孤独になってしまったので、次男がああいうふうにならないようにしなくては!といつも思ってしまうんです」と尋ねたところ、

「うーん。なめらかさんが次男くんに対してそういう心配をしながら接していること自体が『良い子の次男くんじゃなかったら捨てるよ!』という『条件付きじゃないとあなたを愛さない』っていう暗黙のメッセージになって伝わってく可能性があるんですよね。お父さんと次男くんは別ですし、大人と子どもは違いますから。それに家であたたかく受け止めてもらった経験がある子どもは、大人になってからちゃんと家族を大切にできるようになるから大丈夫。北風と太陽だったら、なめらかさんとご主人は太陽になって!」とのこと。

綿菓子と次男


そっかー、子育てうまくいってんのかあ!じゃあこれからも安心して次男にぶんぶんと振り回されてやるかあ!と心晴れ晴れとした帰り道、S先生の仰った「お父さんと次男くんは別ですから」という言葉が妙に引っかかっていました。

これたぶん、大抵の人は「そんなの当たり前」とすんなり流せる言葉だと思うんですけど、その時の私が感じていたのは「そっか…お父さんと次男って別個の人間だったんだ…?いやそりゃそうか…えっでもほんとに…?マジか…」という衝撃と混乱でした。

いやーどうやら私はいつの頃からか、父を次男に投影して見ていたんですねぇ。どうりでなんかしんどかったわけです。次男が暴言を吐いているとき、全然気づいてなかったけど、たぶん父が酔って浴びせていた数十年前の罵声と重ねていたんだろうな。そんな時は小4のまだまだ幼い男の子と向き合っているというより、何かこう得体の知れないモンスターのような不安と格闘している感覚がありました。
心が過剰反応してしまって、泣き叫びながら「そういうこと言わないで!もうやめて!!」とヒステリックに次男に懇願しているような時もあったのですが、あれ完全に私側の問題だったんだな…。

その日以来「お父さんと次男は別の人間」ということを自分に言い聞かせ続け、S先生の「大丈夫だから、なめらかさんは安心して太陽になって」という言葉をできる限り実践し続けました。

また、別途メールカウンセリングを4ヶ月続け、新しく出会ったカウンセラーのU先生に伴走してもらいながら父のトラウマについて整理しました。これについてはまた後日詳しく書きたいと思いますが、この過程は本当にしんどかった…泣き続けた4ヶ月でした。

するとねー。次男のことはもちろん前から可愛く思っていましたが、なんだか日に日にいっそう可愛く思えるようになったのです。次男を見ているときに感じていた謎の不安感が外れたというのかな。安心して愛せるようになった。

さらにそうすると。あれだけ癇癪ばかり起こしていた次男が全然癇癪を起こさなくなったのですよね。そりゃそうだとも思うのです。次男は以前からとても「僕を見て!僕を見て!」という欲求の強い子でしたが、私が父のフィルターをかぶせて見ているわけですから、それでは「僕自身を見てもらった充足感」っていつまでたっても得られないですよね…。

これって例えば「アタシ自身を見てほしいのに、彼氏が元カノを引きずりながらアタシを見てる」みたいなものだと思うのです。そういうのって言語化していなくても違和感として伝わりますし、ざらっとした不安や不満が拭えないだろうと思います。

次男はもともと繊細な子なので、母親が自分を見るまなざしが変化したこともあっという間に感じ取ったようでした。安心して身を預けてくるような甘え方をしない子だったのに、にゃーにゃーくっついてよく甘えてくれるようになりました。こちらの愛を測るような試し行為も、暴言も、あまのじゃくも激減しました。ほぼなくなったと言ってもいいほど。

つまり。
「次男の癇癪」→「その姿に父のDVを思い出して投影した私が過剰に反応する」→「父のように育ってほしくないという一心で厳しく叱る」→「愛情面で満たされたい、自分自身を見てほしい次男からすると対応がズレているので余計荒れる」→♾️ …と、これまで繰り返してきた私たちの構図にようやく終止符が打たれたのでした。

本当に申し訳なかった…。
次男はこれまですごいストレスだったと思います。母親だからといってもちろん完璧なんかじゃありません。私も一人の未熟な人間なので、このように世界の捉え方に偏りがあったのは仕方ない、いま気づけたことがよかったんだ…と、自分を責めないようにしているけれど。
それでもやっぱり本当に申し訳なかったです。

まさか自分が次男に父親を重ねて見てるなんて思ってもみませんでしたが、やはりプロの手を借りると突然見えてくるものってあるのですね。
どなたかの、何かの参考になったら嬉しく思います。

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