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森見登美彦テーマ考 #ファンタジー

海外では家族で過ごす日なんですけどね。日本ではすっかり非リア充の敵です。そんな日が目の前に迫っています。クリスマスという怪物が…。

今回は非リア充大学生とクリスマスの戦い『太陽の塔』とファンタジーについてお話します。

かく言う私はクリスマスを存分に楽しむ側の人間なのですが…特に2018年の冬は最高の思い出です。

太陽の塔!!!イルミナイト万博!!!

このプロジェクションマッピングは見ていないんですが、太陽の塔の内部見学ついでに万博公園のイルミネーションを見ることができました。

残念ながら、今年のイルミナイト万博は中止となってしまっています。切実に私たちの癒しの時間を返してほしい。来年こそは、更なる新技術を取り入れた最高のクリスマスイベントが開催されることを祈っています。

華のない、とくに女性とは絶望的に縁がない学生生活を送る私に初めてできた「恋人」は、あろうことか、この私を袖にしたのである!クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都を爆走する、失恋男の巨大な妄想の行方は何処へ――。(単行本帯より)

第15回日本ファンタジーノベル大賞を受賞した、森見登美彦のデビュー作です。審査員の間では、これが本当にファンタジーなのかどうか議論になったんだとか。

この大賞に応募するまでは、『太陽の塔』のようなコメディ的な小説を公募に出したことがなかったそうです。でもこれがなかったら、『四畳半神話大系』も『新釈 走れメロス』もこの世に存在しなかったわけで…感慨深いものが…。

かしのこおりさんによるコミカライズも最高なのでぜひに!!

1年前のクリスマス、主人公の森本は恋人と幸せに過ごすはずでした。どうしてあんなことになってしまったのか。彼女は謎が多い人なのです。

クリスマスに苦い思い出を抱える森本、そして友人の飾磨たちは、クリスマスイブの午後5時に、四条河原町で「ええじゃないか騒動」を巻き起こします。ここが森見的ファンタジーの真骨頂。

飾磨は「ええじゃないか」と小さな声で言った。
私の傍らに立っている井戸が「ええじゃないか」と小さな声で応えた。私も「ええじゃないか」と和した。飾磨はとなりを歩いている男子学生に「ええじゃないか」と言った。男子学生は無視して通り過ぎるかと思われたが、異様な熱気を帯びた飾磨に見つめられ、つい「ええじゃないか」と呟いた。(単行本p.193)

「ええじゃないか騒動」とはご存知、江戸時代に京都で沸き起こった世直しを訴えるあの民衆運動を模したもの。作中では、クリスマスにいちゃつくカップルへの抗議として飾磨が考案し、街中を混乱させることになりました。

今年は、森見登美彦ファンが集まるLINEオープンチャットで「ええじゃないか騒動」が勃発。今も続いています。平和か。

以前「夏休みはSFっぽい」と書きましたが、クリスマスがファンタジーっぽいという感想に異論はないでしょう。そもそもファンタジーの大元は神の伝承、つまり宗教やこれに近い信仰から始まったそうです。だとすれば、サンタクロース伝説はファンタジーの始まりに近いものかもしれません。

宗教は人々の心の支えであり、癒し。現実逃避を全面的に肯定したものです。古代からファンタジーが親しまれ続けているのもまた、多くの人の心を癒しているからなのでしょう。

ファンタジーとして有名な「千一夜物語(アラビアンナイト)」の舞台は、お話が伝わったアラビア語圏から遠く離れた中国など。みんぱくの西尾教授によると、お話を聞く人たちが異国の地に幻想を抱いていたから、不思議なお話にも疑問を抱かなかったのだそうです。

まだまだ海外に行けない今、他国はまるで異世界のように遠い存在です。世界の不思議な物語を読みながら、現実逃避な年末年始を送るのもいいかもしれませんね。

素敵なアドベントカレンダーも明日で終わり。他の方のオタクトークもぜひ読んでみなくては。私のオタクトークをもっと読みたい方は下からどうぞ。

おしまい。

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