見出し画像

スザンヌ・オサリバン『眠りつづける少女たち』を読んだ

特定の地域で限定的な条件下に置かれている人々に現れる眠り病や発作の症例から、最終的には私たちにも馴染みのあるうつ病やADHDなどの病へと話が展開していく。

生物的に判断可能な疾患とは異なる、数多の身体的不調は、社会と自身の不調和を、他人にも明らかな形で表現する言語かもしれない。生まれてから今日に至る経験や思考の蓄積をすべて把握してくれる人がいれば言葉は額面通り伝わるかもしれないが、もちろんそんなことは不可能で。

自分より他人の苦痛を軽んじることだって仕方がない。私は痛みを感じない他人の骨折よりも、私が痛みを感じる逆剥けの方が痛くて苦痛に決まっている。

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?