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big turtle STUDIOS Dolby Atmos対応リニューアル完成までの流れ⑧

<いよいよ工事開始、職人さんは元バンドマン>
 
朝早く来て鍵を開けました。職人さんはお稲荷工務店さん。
数々の内装業を手がけていらして、重厚な道具を腰に巻いた頼もしい風貌のお二人でした。コウシさんとキンさんという方で2人とも元々バンドマンとの事。スタジオの内装工事にはうってつけの方達です。最初にどんなスタジオなのか、どんな風にしたいのか、いろんなアイデアを心身に聞いてもらえて、すごく優しい方でした。
 特に安心したのが、ただただ機械的に作っていくのではなく、工事中ずっと音楽を流し続けクリエイティブな空気の中、黙々と作っていく事でした。良い内装になる予感が既にただよっていました。

<その場で色や形を決めていくスタイルの重要性>
具体的な事が決まっていないまま当日を迎え不安でしたが、図面一つで想像もつかない状態のまま作られるより、少しづつできていく工程の途中で具体的に決めていく方がより良い物になると、今回の工事は特にそれを強く感じました。それはどんな事だったのかは、追って説明していきます。
怒涛の2週間でした。

最初に決められていた図面と寸法
壁用の木材が到着

<換気扇が無意味でした>
今まで、防音状態を維持したまま換気扇を利用する為、換気扇から吹き出し窓口まで木のダクトを作って、中にグラスウールを詰めていました。コウシさんに説明するとほとんど換気の機能をしていないとの事。素人がDIYで作るとこういうところが出てきちゃいますね。窓を隠していた壁ですが、コンクリート用のボンドと釘をハンマーで打ち込んで貼っていました。めちゃくちゃ硬くて最後まで打ち込めず少し出っぱっている状態。やはり剥がしてしまった方が良いとの事です。エアコンの室外機につながる配管もなんとかスッキリさせたいですね。

コウシさんが壁を一枚剥がした様子
さらに吸音材(グラスウール)を詰めて防音強化
無い方が何かと良さそうペンキも塗り始めました。エアコンのリモコンがブラブラに、キンさんが取り付けてくれます

<壁の色は白だけど少し違う色を入れる>
壁はグレーとか黒にしようとかギリギリまで談義していましたが、やはり広く見せたいのと、地下なので少しでも明るくしたかったので白にしました。
少し違う色を混ぜたほうが良いとの事です。僕もそうですが、色の調整はエンジニアに似ていますので、ここは職人さんのセンスに委ねようと思いました。

白に少し色を足して真っ白にしない
キンさんがハリの部分の凸凹を綺麗に平らに、これでペンキも綺麗に塗れます
キンさんの丁寧な研磨で平らに

<壁が垂直に>
やはり職人さんはすごいですね。地下のただのぐにゃぐにゃのコンクリート壁の倉庫だった壁が、綺麗な垂直に貼っていただきました。

スピーカーとTVがあったところの壁

<全部白く塗らずコンクリートをあえて残す>
まさに、その場の現場で起きたアイデアが採用に!コウシさんが、「何かここの部分残した方がかっこいいよね!」と一言。僕達にとっては、全部汚いコンクリートだった部分を綺麗に見せるため、ただただ白く塗っていたので麻痺していましたが、初めて訪れた時にコウシさんはこの剥き出しのコンクリート部分ががかっこいいと思っていたらしいです。僕も全て白く塗ってしまうとヒップホップ、ブラックミュークを得意とするスタジオにマッチしません。大部分の壁が白くなっていなかったら僕はこの発想にOKしていなかったかもしれません。まさにこのスタイルだったからこそできたデザインです。

境目の幅はなんとなくです。
エアコンの白と同化してスッキリ!きわや、鉄管の裏側まで隅々まで白く

<配管をどうやって隠そう>
今まで配管は、上階の部屋からの水の流れが「ジョロジョロー」と響いていた音をカットするためと配管を伝って上の階に音が行かないために防音をしていました。鉛の遮音シートとグラスウールを紐でくくりつけて、紙で巻いていました。その紙も元々銀色だったのですが、反射してギラギラしていてデザイン的にも良くなかったので、裏のクラフト紙側を表にして、紙のガムテープで目立たなくさせていました。この部分もコウシさん言わくぎゅっと縛ってコンクリートで固めて白く塗ると目立たなくなるとの事。音響的にシンメトリーにさせるのに一番邪魔になっていた配管がものの見事に目立たなくなっていました。

曲がっている部分は遮音シートを細く切って巻きましたが当時大変な作業でした
すごいスリムにがさつきがない
壁と同じ白で目立たなくなりました

<冷蔵庫、コピー機のコーナーをスッキリ>
 
配管が下に出っぱっている部分をどうにかしたいけど、冷蔵庫とコピー機はこの場所に置きたい。色々試行錯誤しましたが、木で囲ってコンクリートで塗ると良い感じとの事。木の上にコンクリートという発想が今までになかったのでビックリしましたが、想像するだけですごく良さそうな気がしたのでOKいたしました。まさにその都度デザインが次々と決まっていくのが、頭フル回転で必死でした。だんだん木の上のコンクリートがすごく良かったので、玄関もコンクリートにする事になりました。

確かにこのままだたとがさついている
このほうがスッキリ
だんだん良くなってきた
あえてムラを作り味を出す
お客さん背面側の下もコンクリートを塗って平らに
お客さん背面側の上もコンクリートで平らに

<お客さん側上の配管はあえて金色のままに>
配管をコンクリートで塗って白くする手法もすごく良いのですが、エアコンのダクトまではコンクリートで固める事はできないですし、とても手間のかかる作業。あえてエアコンのダクトはそのままに生かす方法を考えていたら、コウシさんがまたもやアイデアを提示してくれました。隣接している配管もしばった状態のままでラボ感があってかっこいいとの事。これで、デザインがうまくまとまった気がします。

スッキリもしていてラボ感があって良い

⑨ではいよいよ電気工事、ベーストラップについてです!


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