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ニューヨーク ハドソンバレー Hudson Valley New York USA

最近ニューヨークを訪れる観光客に注目されているマンハッタンの北部に広がるハドソン・バレー。私はここに五年ほど住んでいました。マンハッタンから1時間程で来られる場所とは思えないほど豊かな自然と心優しい人々が住む場所です。今回は、この美しいニューヨーク郊外の街について紹介します。

ニューヨークに観光に行く日本人は、マンハッタンやブルックリンを巡り満足する方がおおいのではないでしょうか。ニューヨーク・シティには魅力が詰まっているので、数日間の観光ではシティの外まで足を運ぶことがあまりないでしょう。ニューヨーク・シティから離れ、バスでウッドベリー・コモンズのアウトレットに行ったりする方もいるようですが、日本人には”ニューヨーク=マンハッタン(シティ)、というイメージが定着しています。
近年、ヨーロッパからの観光客やアメリカ西海岸からの観光客に人気のニューヨーク観光は、ハドソン・バレーという場所です。マンハッタンを観光し尽くしたニューヨーク通や都会での買い物やミュージカル観覧ではなく真のニューヨークを知りたいという人たちに話題のスポットとなってきています。

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上の図をご覧ください。真ん中の川がハドソン川です。この川は、アメリカ北部から河口まで約500Kmもある大河です。マンハッタンは、ハドソン川の河口に位置していて、図の一番下になります。川は自由の女神あたりで大西洋と合流します。このハドソン川、かつては氷河でした。北部の山を巨大な氷が削り取り生まれた谷を川はゆっくりと流れています。マンハッタンから上流地域に向かうと、川の両側は氷河に削り取られたクリフとなっていて、とても美しい景色が広がっています。このあたり一帯をハドソン・バレーと呼んでいます。

ハドソン・バレーへは、レンタカーでアクセスするのが簡単ですが、電車でも行くことができます。グランド・セントラル駅からハドソンラインに乗れば、ハドソン川の東岸を川に沿って北上できます。好きな駅で降りて観光するのも楽しいです。駅のそばにはニューイングランドらしい商店街がありますし、史跡も多数あります。日帰りで行けるのでマンハッタン観光の1日をハドソンバレーに当てても面白いと思います。ハドソン川の西側へは、ペン・ステーションからNJトランジットで 1駅のセカーカス・ジャンクション駅へ。そこからメインラインに乗り換えます。この列車はニュージャージーを抜けニューヨーク州に入りハドソンバレーの西側を走ります。西側ではトレッキングや釣りを目的としたお客さんが多いようです。

ではハドソン・バレーには何があるのでしょう。この地域には様々な魅力が詰まっています。特に紅葉の時期はシティから観光客がピークになります。いくつかのトピックにわけ詳しく紹介して行きましょう。

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ワイナリー
アメリカでワインというとカリフォルニアのナパが有名ですが、アメリカ最古のワイナリーはハドソン・バレーにあります。そして、ここには多数のワイナリーが点在しテイスティングを楽しむ事ができるのです。ハドソン・バレーにはいくつかのワイン・トレイルもあり、一筆書きのようにいくつかのワイナリーを巡ることが出来ます。これらワイナリーにはワイン畑とテイスティング・ルーム、場所によってはレストランなどがあります。ワイナリー毎に作っているワインには様々なものがあり、テイスティングだけでも十分楽しめます。お勧めはアメリカ最古のワイナリー、ブラザーフッド・ワイナリーです。ここではテイスティングだけでなくワイナリーの中を見せてくれるツアーなども用意されています。

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ハドソン・バレーは気温の差が激しいようで、ワイナリーのほとんどはバレーの谷ではなく山の上にあります。ワインをテイスティングしながらハドソン・バレーを見渡すのはとても気持ちが良く清々しいです。そしてナパ・バレーほど観光客がおおいわけではなく、ワイナリーのスタッフもフレンドリーで会話も弾みます。
ドラマ「キャビンアテンダント」でも登場したベンマール・ワイナリーは、ワインの味も良く景色も素晴らしいので行く価値があります。そしておおくのハドソン・バレーのワインは生産量が少なく日本に輸入されていませんので、お土産に最適です。

レストラン
ハドソン・バレーには有名なレストランが点在しています。一番有名なのはブルー・ヒル。アメリカで一番予約の取れないレストランとして話題のこのレストラン、食材のすべてが自給自足です。メニューはなく自分で好きなようにオーダーができるのも人気の秘密です。スタッフは皆明るく気持ちの良いサービスも定評があります。CIAは料理学校が経営している5つのレストラン。ここでは生徒が料理を作っているのですがどれも素晴らしい味です。広大な土地なので、店でサンドイッチなどをテイクアウトして敷地内で食べるのも楽しいです。ベッドフォード・ポストは、リチャード・ギア夫妻が始めたレストラン&ホテル。ここはブランチが有名で、アーリーアメリカン調の店内ではパンケーキやエッグ・ベネディクトなどが楽しめます。近くの町は有名セレブやニューヨーク・シティの富豪達が住む住宅地が広がっています。この辺りに来たら町を散策するのも楽しいでしょう。

毎年3月に行われるHudson Valley Restaurant Week。期間中は、参加しているハドソン・バレーのレストランが特別メニューをリーズナブルプライス(ランチ $20.95、ディナー $29.95)で提供します。この時期、ハドソン・バレーに宿泊して地元のレストランを食べ比べしてみるのも面白い体験です。

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Blue Hill 630 Bedford Road, Pocantico Hills, NY TEL: +1-914-366-9600 http://bluehillfarm.com
CIA 1946 Campus Drive, Hyde Park, NY TEL: +1-845-471-6608 www.ciarestaurants.com
Bedford Post 954 Old Post Road, Bedford, NY TEL:+1-914-205-3773 www.bedfordpostinn.com

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歴史的遺産
カイカットは、ロックフェラー一族が暮らした豪奢な邸宅です。ハドソン・バレー沿いの町スリーピーホローの丘の上の威風堂々とした佇まいは、広大な敷地で大富豪の栄華を感じることができます。カイカットの近くにあるユニオンチャーチは、ロックフェラー一族がプライベート礼拝に使っていた小さな教会です。一族の依頼により制作されたマティスとシャガールの美しいステンドグラスが飾られていることで、観光客が絶えない名所となっています。
フィリップスバーグ・マナーは、大地主で貿易商であったフレデリック・フィリップスが、邸宅や畑、水車小屋、牧場を連ねたプランテーション。18世紀に繁栄したこのプランテーションを、当時の雰囲気のままに再現しています。
これら歴史的遺産はアメリカの古き良き時代を知るには絶好の観光ポイントです。全てがスリーピー・ホローという町にあるので1日で全てを巡ることが出来ます。そしてこの町、アメリカでは誰もが子供の頃聞かされた伝説「スリーピー・ホロー」の町でもあります。ジョニー・デップ主演で映画化もされていますので、映画を見てから行くとより楽しめると思います。

Kykuit 381 N Broadway Sleepy Hollow, NY
Union Church of Pocantico Hills 555 Bedford Road, Pocantico Hills,NY
Philipsburg Manor 381 N Broadway, Sleepy Hollow,NY

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美しい街
ハドソン川流域には、18~19世紀に作られた美しい岸辺の町が点在しています。今でもそれらの町にはどこか懐かしいニューイングランドの面影が残っています。ナイアック、キングストン、ハドソン、ラインベック、ソーガーティーズなどの町にはブランチややアンティーク探しを楽しめるダウンタウンがあり、今でも地元民で賑わっています。ソーガーティーズには1869年に建てられた灯台付きのB&Bがあります。 のんびりした田園の雰囲気を楽しむなら、ハドソン・バレーにはディアビーコンなどの素晴らしい美術館が数多くあります。 コールドスプリングは、ショップやカフェが建ち並び、ウォーターフロントでは岩山のストームキングマウンテンやハドソンハイランズから流れる川の眺望が美しい19世紀の村です。

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タッパンジー・ブリッジ
ハドソン川にかかる橋で有名なのはマンハッタンとニュージャージーを結ぶ交通の要ジョージ・ワシントン・ブリッジですが、その北側にかかる橋をご存じでしょうか。ニューヨーク州のウェストチェスター郡タリータウンとニューヨーク州ロックランド郡ナイアックを結ぶタッパン・ジー・ブリッジです。この橋はハドソン川の一番幅の広い部分に設置されている美しい橋です。ハドソン・バレー観光ではこの橋を使うことが良くあります。

ウエストポイント
映画にもなった米国陸軍士官学校です。オレンジ郡のハドソン川沿いに位置しています。
1802年、アメリカで初めての陸軍士官学校として議会によって設立されたこの学校は、南北戦争の英雄グランド将軍、リー将軍をはじめ、数多くの名高い人物を輩出しています。マッカーサー元帥やパウエル長官もこの学校を卒業しています。ここは1万エーカーの広大な敷地のなかに学校や宿舎、各種施設が点在し、とても美しい街を形成しています。軍隊色は全くなく、どこか地方の名門大学に来たような雰囲気を感じます。学校の東側にはハドソン川が流れていますが、敷地がクリフサイドにあるため、川はかなり下に見えます。ここにはおおくのアメリカ人が訪れるので、ミリタリー・ヒストリーミュージアムやビジターセンターをはじめ観光客向けの施設が充実しています。

ベアー・マウンテン
NYCから車で1時間ほどのところにある美しい山林公園です。ロックランド郡の北部とオレンジ郡の南部に接する広大なハリマン州立公園の一部で、郡の約1/3の面積を占める森林地帯です。ベアーマウンテンには、7レイクと呼ばれる美しい湖が点在しています。ここには人口浜辺やバーベキュー場などが点在し、休日になるとおおくの家族連れがやってきます。7レイクドライブという道を車で走るだけでもとても気持ちが良いので、この近くに行ったら、ドライブすることをお勧めします。また、湖や、そこに注ぎ込む川では釣りを楽しむことが出来ます。釣りをするには、釣り税を納めないといけないので、釣りをしたい場合は必ず公園手前にある釣具屋で許可証を購入してください。釣れるのは、ビッグマウス・バス、ブルーギルですが、時にはトラウトに出会うこともあります。

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ニューバーグ
ハドソン川にかかる橋は数が少ないのですが、ここニューバーグには、マンハッタンのハドソン川河口から数えて4番目の橋(河口からGeorge Washington橋、Tappan-Zee橋、Bear Mountain橋の順)であるNewburgh - Beacon橋がかかっています。この辺りに来ると、街もまばらになり、アメリカの片田舎にきた感じがします。映画「スワロー」が撮影された場所です。

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宿泊
ハドソン・バレーには沢山の宿泊施設があります。安く上げるならハドソン・バレーを貫くニューヨーク・ステート・スルーウェイ沿いのインター付近に沢山のモーテルがあります。これらモーテルは満室になることがないので、予約なしでも安心して泊まることができます。折角の観光ならタリータウンにあるキャッスル・ホテル、そしてニューパルツにあるモーホンク・マウンテン・ハウスをお勧めします。このふたつのホテルはまるでヨーロッパの古城ホテルのように豪華で素晴らしいサービスが受けられます。ホテル内のレストランも素晴らしく滞在中、不満を感じることはない場所です。

Castle Hotel 400 Benedict Avenue, Tarrytown, NY TEL:+1-914-631-1980 www.castlehotelandspa.com
Mohonk Mountain House 1000 Mountain Rest Rd, New Paltz, NY +1 855-883-3798 www.mohonk.com

ハドソン・バレー。今回紹介しただけではまだまだ語りきれないほど奥が深い地域です。今後は個々の街を紹介していきたいと思います。
秋には日本では見たことのない紅葉が楽しめます。それはとても美しく言葉では言い表すことができません。年間を通して釣りも盛んです。スキー場もあります。
ニューヨーク・シティから1時間程度でアクセスできる魅力のあるハドソン・バレーを訪れてみてはいかがでしょうか。


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