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「自分には今以外の場所で働くなんてできない」と思っている、あなたへ

他の人のお話を聞くことで、自分の中に眠っていた記憶や思いが呼び覚まされる。
そんなこと、ありませんか。

わたし探求メディア「Molecule(マレキュール)」にて、取材記事を書かせていただいている。
働く子育て世代の生き方・働き方のヒントとなるような、「わたし」主語のワクワクを大切にした記事をお届けするのがコンセプトである。

取材対象者の方のお話を聞く中で、自分の中に浮かんできたことをこちらに記しておきたいと思う。
読書感想文ならぬ取材感想文だ。

「どうせ私はつぶしが効かない」と思っていませんか?

今回はこちらの記事から。

こちらの記事に登場している前島記子さん(以下、前島さん)は保育園副園長。
その経歴は、小児科ナースから出発している。
小児科病棟から保育園に看護師としての活躍の場をシフトし、その後管理職になった方なのである。

看護師という資格がいかに多方面で活きるものか。
そこのことを知らなかった私にとっては、とても新鮮なお話だった。

私には危惧していることがある。
この記事を読んで、こう思う方もいるかもしれない、ということだ。

「私には、他で活かせる資格なんて何もない」
「何もできないから、今いる職場でやっていくしかない」
「今やっていることはつぶしが効かないから、他の仕事で何かを活かせるイメージがわかない」

あなたが「自分には関係のない話」と受け止めてしまったとしたら、それはとても残念なことだ。

どんな人にでも、今いる場所で活かせる力があり、同時にその力は他の場所で活かされる可能性が十分にある。
少なくとも私はそう感じた。

他の仕事から学校に飛び込む「転職組」の特徴


これまでも何度か書いているように、私は教員として働いてきた。

これまで出会ったたくさんの同僚の中には、
「元々は違う仕事をしていたけれど、転職して教員になった」
という「転職組」が一定数いた。

教員しか経験のなかった私はそんな仲間に対し、内心嫉妬に似たあこがれを抱いていた。

彼らには、「外の世界を知っている」という雰囲気がある。
「前いた会社ではこうだったよ」
そんな野暮なことを言う人はいなかったが、言動の端々に視野の広さを感じるのだ。
「社会人としての余裕」と言ってもいい。
また指導にも引き出しの多さや幅がある。
多様な子どもたちや保護者への対応が上手な人も多い。

そして何より彼らには、「他の仕事を手放してまでこの世界に飛び込む必然性」がある。
前職がイヤだったから、教員になった。
そういう人は1人も知らない。
あまり言いたくないが、教員という仕事はなかなかにブラックな側面があり、「ラクになるために」転職してくるような仕事ではない。
前職より大変かもしれない、きついかもしれない。
それでもどうしても子どもたちとかかわりたい。教育がしたい。
そういう思いをもって、学校という世界に飛び込んできた。
大学からストレートで教員になる人よりも、彼ら転職組の「動機」は強くて重い。
なりゆきで大学卒業後すぐ教員になってしまった私には、彼らのもつ「ここにいる理由」がまぶしく感じられるのだ。


転職してきた先生達が学校で活かしている資格は「教員免許」だけである。
(もちろん中には作業療法士や臨床心理士などの資格をもっている人もいるが、転職に際し必要なものではない)

そして私の知る限り、前職と学校教員の仕事には「何のつながりもない」人がとても多い。

それでも、彼らはいろいろなものをもって学校にシフトチェンジしてきている。
目に見えるスキルだけではなく、人柄や生き様すべてをもって。

「あなただからできること」を待っている場所がある


前島さんの例にもどって考えてみる。
看護師資格をもっている人ならば、全員が保育園の管理職としてやっていけるだろうか。
答えは「No」だろう。
そこには、「前島さんだからできる」理由があったはずだ。

お話を伺っていると、そのことは特に強く感じた。
看護師として培ってきた医療のスキル、知識だけではない。
他者をサポートするスタンスや、命への思い。
そういったものが、管理職としての前島さんを支えているのではないだろうか。

同時に、他の「看護師から保育園管理職に」なった方々にも、それぞれの「その人だからできる理由」があるのだろうと想像する。

(前島さんの所属する東京児童協会では、ポリシーをもって女性の活躍推進を進めている。看護師を管理職に抜擢することはその一つだ)



ひとつの職場に人生を捧げるのが「唯一の正解」という時代は終わった。
もちろん、主体的に選択した結果が「ひとつのことを突き詰める」ならばそれは素晴らしいことだ。
でも、
「資格やスキルだけでなく、これまでの生き様を丸ごともって新天地にシフトする」
そんな生き方、キャリアパスも大いにアリなのだ。

あなたはどうですか。
「今いる場所で、わたしのすべてを活かしきれている」
そう言い切れない時は、もしかしたらあなたが輝ける場所が他にあるのかもしれません。
あなたがもっているものの棚卸しをしてみてほしい。
自分でわからなければ、周りの人に聞いてみるのもいい。
思わぬところで、あなたの「丸ごと」は活きるのかもしれません。


Molecule(マレキュール)では、他にもたくさんの「わたし探求」ストーリーが紹介されています。

取材から感じたことをライターが思い切り語る「編集後記」はこちらです。



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