メガネ

2歳のときからメガネをかけている。
視力が悪いわけではなく、先天性内斜視の矯正のためだったので、今も視力はよい。1.2と1.5くらい。
片目近視、片目遠視なのでどの距離でも万遍なく見えて便利だ。

小学校のときの当時のメガネはガラス製。矯正のために遠近両用である必要があったので、上側のレンズと下側のレンズに境目があって上下左右でそれぞれ度が違う超特注品だった。
当時でも片方のレンズだけで5、6万はしていた。

この高いレンズは2回ほど割った。
割ろうと思って割れるわけでもなく、身体のことなので作り直さなければならないのも仕方がないことではあったが、レンズが割れるとしばらくは母親がため息をつき、そのたびに身が縮こまった。

メガネは周りにいなかったので、あだ名は当然のごとく「メガネザル」。
ありきたり。

2歳と小学校2年のときには内斜視の手術もした。
モノを立体的に見るのが苦手な気がする。
片方の目ずつ使っている。
例えば右目に犬、左目に犬小屋を投影されたとき、普通の人はたぶん犬が犬小屋の中に入っているように見えるんだろうけど、わたしには犬が見えたり、犬小屋が見えたりして2つが重なっては見えない。

眼科に行くと必ずしていたのが、どの丸が飛び出して見えますか?という検査。二重丸が上下左右菱形状に4つならんでいて、普通の人ならそのうちの1つが飛び出て見えるらしい??

わたしにハッキリと飛び出て見えるのは最初の設問2つ目まで。あとは、「どれも飛び出て見えない」。
でも全部回答するまで検査が終わることはなかったので、右目を閉じて左目を閉じて、瞬きして、首を傾けてみたりして、ちょっと見え方が違うように感じるものを一生懸命見つけるしかなかった。
その検査の最後は、「虫の羽をつまんでください」。
全く飛び出てもいない虫の羽をつまむ振りをして大嫌いな検査はやっと終わり。
メガネを作り直す必要があるたびに処方箋が必要で、毎回この検査は避けては通れなかった。

高校になるとガラス製ではなくなり、遠近両用でもレンズに境目がなくなっていたので、見た目もただのメガネになった。
レンズの値段はガラス製のときと全く変わらなくなったが、プラスチックのお陰で軽くなり、割ることもなくなった。
周りのメガネ人口も増えた。


大学生になったときにメガネがイヤになり、実家に帰るついでに手術をしてくれた地元の眼科に行くと、あっさりと「メガネはもうかけなくても良い」と言われた。
当時担当だった機能回復訓練士さんは、部長にまでなっていたけど、わたしのことを覚えてくれていた。

意気揚々と大学の間はメガネを外していたけど、しばらくたつと居心地が悪くなってきた。

度の入っていないメガネをかけることにした。
ブルーライトをカットするのもあったりしたので、パソコンを使わないときでもずっとそれをかけるようになった。
度は入っていないので伊達メガネだ。

わたしはどうやら繊細さん気質があるので、外の光が眩しいこともあるが、ブルーライトカットのメガネをしていると多少マシになる。

そして何よりメガネをすることで素顔を晒してない感じが良い。
本当の自分は見せないのだ。


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