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青森県でホームレスになった話 4

どうも、ひかりちゃんです

入浴施設近くのベンチから移動し

次は、さほど遠くない距離の
イトーヨーカドーの店外にある
自転車駐輪場の隅っこで腰を下ろした。

呆然と、考えることを止めて

ただ目の前の景色を眺めるだけ。

お昼時から、陽が暮れ始める頃まで

無を貫き通し、ほんの少しだけ
冷静さを取り戻し始めたと思います。

一通りの衣類、財布、タバコ

財布の中には現金の他に
身分証、キャッシュカード

知らぬ土地で生きる為に必要な
ライフラインが全て絶たれたと
思い込んでいましたが

スマホだけが無事、手元に
残っていたのが唯一の救いでした。

当然ながら充電器もリュックの中に
入れていたのですが

普段からスマホはあまり触らず
電池残量もそれなりに残っており

思い出したかのように

同棲している交際相手
(以後、梨花ちゃん(仮名))

に、事情を説明するべく電話することに。

ちなみに梨花ちゃん(仮名)は
当時19歳、キャバクラ勤務

気が動転して、上手く事情を説明
出来ていたか分かりませんが
梨花ちゃん(仮名)の優しい慰めの
おかげで随分と精神的に楽になりました

話を進めていると
どうやら、私が旅に出た日

私が居ないタイミングで
梨花ちゃん(仮名)も、故郷である
新潟に帰省していたらしく
ご両親と食事に出ていたタイミング

また、

彼氏が見知らぬ土地で
無一文の状態で露頭に迷っている

というケースに遭遇したことがないので
対応方法がイマイチ分からないらしく

その日の夜にまた折り返し連絡する。

とだけ言われて電話を切ることに。

梨花ちゃん(仮名)の声を聞いたおかげ
で随分と平常を取り戻し、安堵し
自分が何をやるべきか考えることにした。

当時、新宿に住んでいたものの
関東に気を許せる友人は1人もおらず

家族も、故郷である長崎県に
住んでいた為、相談した所で
すぐにどうにか出来るわけでもない

交通費を借りる為に
お金を振り込んでもらったとしても
引き出す為のキャッシュカードがない

色んな人に相談した所で結果は変わらない。

下手に、多くの人に事情を話しても
自分の醜態を晒すのみなのであれば

今、梨花ちゃん(仮名)に
恥を忍んで相談するだけに留めておきたい

万が一、梨花ちゃん(仮名)では
どうしようもない場合に、親に
相談することにしよう。

それよりも今、私がやるべき行動は

人に自分の状況を話すことではなく

唯一のライフラインである
スマホの充電を切らさないこと。

下手にスマホを多用しすぎて
梨花ちゃん(仮名)との連絡を
途絶えさせてしまわないことだ。

そう考えた私は、長い間
座り込んでいた駐輪場を後にして

再び歩くことに決めました。

地図を調べ
それほど遠くない場所に

大型のパチンコ店があることを知り

そこまで向かうことに。

比較的、大きなパチンコ店だと
無料の携帯充電器がある場合や
休憩スペースが設けてあることがあり

藁にもすがる気持ちでパチンコ店へ。

到着し、利用客を装いながら
店内を周回し、休憩スペースを見つけた。

幸運なことに、携帯充電器もあった。

それだけではない

休憩スペースに設置されている
テーブルの上には飴玉と

無料のウォーターサーバー
まで設置されている。

しかも、このウォーターサーバー

ウォーターと謳いつつも

冷水、温水、焙じ茶
そしてコーヒーまで飲める。

横にはスティックシュガーとミルクも。

それだけに留まらず
休憩コーナーの端には漫画本までもが
設置されていた。

砂漠に湧いたオアシスかと見紛うほど

当時の私にとって必要不可欠なものが
全て揃っており、歓喜した。

いや、歓喜どころではない。

幾ら極限の状況だろうと
当然ながら喉も渇くし、腹も減る。

味気ない水を飲む合間に
コーヒーを嗜むとリラックスできる

かもしれない。

飴玉であろうが、ほんの少しは
空腹を満たした気になるかもしれない。

スマホを充電している間

何もせず、ただ座っているだけだと
店員に怪しまれるかもしれないし

時間が経過するのを無意味に
過ごすのは物凄く苦痛かもしれない

そして追い込まれた現状

漫画本を読むことで多少なり
気を紛らわせることが出来るだろう。

古本屋で仕入れてきたような
巻数が疎らで黄ばんでいた

特攻の拓 という漫画は
今でも忘れていない。

今でも定期的に読むこともある。
すっかりファンになった。

そして

しばらくの時間、漫画本を読み
スマホの充電も満タンになり

流石に閉店時間まで居座ることに
罪悪感を抱いていた私は

22時を過ぎたあたりで

ひと掴みの飴玉
数本のスティックシュガーを

ポケットに入れて

パチンコ店を退店することにした。

ありがとう、パチンコ屋

それではまた次回

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