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UNISON SQUARE GARDEN「fiesta in chaos」の記録

UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2022「fiesta in chaos」の青森、宮城、神奈川2日目に参加しました。思ったことを垂れ流す自分の記録。完全にネタバレしています。

「kaleido proud fiesta」ツアー(ホール公演)の追加公演であり、新曲「カオスが極まる」のツアーという、複雑な位置づけとなったツアーでした。公演数が少ない&全公演ライブハウス開催、FCでkaleidoツアーのチケットを取った人は優先枠から外されました。田淵のブログで事情は理解しましたが、なかなかいわくつきのツアーだったな。まさにカオスだなー(ああ~つまんないこと言っちゃった~)。

先行は自力でお近くが取れず、青森と宮城を他力で、お近くの神奈川2日目は最後に自力(機材席開放による一般発売)でゲットできたのでした。

ライブハウスでのワンマンに泣けた

大好きな「青森Quarter」

2021年に「Normal」のライブハウスツアーをやっていますが、このツアーは私の中で存在しなかったことになっているので(察して)、2019年の「Bee-side」以来だなぁと思うと感慨深かったです。

しかも青森Quarter(キャパ350人)クラスのライブハウスでユニゾンを見るのもだいぶ久しぶり。2019年下北沢Que(キャパ280人)で開催された「Bee Side Sea Side Que side」以来では。
ライブが始まって、目の前にある光景や、全身に響き渡る音楽体験が、新鮮でもあり懐かしくもあり、自分はこれをずっと求めてたんだなと思うと、感激してライブ中ずっとうるうるしていたし、夢のようでした。全部しっかり焼き付けたいと思いつつ、秒で終わってしまったなぁ。ロックバンドも客もライブハウスが最も輝いていると思います。

青森Quarterはコンパクトなので、3人がいっぺんに視界に収まる(貴雄もよく見えて嬉しい)、なおかつステージからの距離が近い。フルで入れていないので(恐らく半分以下)、他人と密着することもなく、ベストの環境で本当にありがたかったです。

どの会場もそれぞれメンバーやお客さんの雰囲気が違って、どこもとても良いライブだったけれど、メンバーの生き生きした様子や、音の感じ方など、青森が最も私の好みでした。

田淵がテンション上がってステージを走り回る様子を、宏介が面白そうに横目で見ている(気を付けている)ことがよくあるけど、青森はいっぺんに3人が視界に入るからか、その頻度が目に付きました。

公式Twitterから拝借。青森ステージ小さい

開演前、各地のイベンターさんのアナウンスも良かったな。「元の状況に戻りつつあるけど、メンバーの意向もあってまだ声出ししないで会話もなるべく控えて楽しみましょう」って言う愛情が感じられる内容。他のライブでここまで丁寧に言ってくれるところはない気がします。

セットリストを比べてみる

kaleidoツアーのセトリと比較してみたところ、21曲中12曲も入れ替わっています。地続きのツアーではあるけれど、全く違うツアーとも言えると思います。

kaleidoで本編最後だった「10%」が、chaosでは本編1曲目。メイン曲だった「kaleido」が、今回は早くも3番目に登場。「箱庭」と「シャンデリア」が終盤に、「サンポサキ」が早い位置に。「Cheap」がアンコール1曲目なのは同じ。新しい曲との兼ね合いもあるだろうけど、置き所を意図的に変えて、意外性を狙っているのが面白いなと感じます。「fake town」は「カオス」と被るから外したのかな。

バラード枠は、「昼中の流れ星」~「5分後のスターダスト」。kaleidoは「5分後のスターダスト」~「弥生町」でした。
「えっ?今、なぜ昼中?」って面白く思ったけど(嬉しい)、「昼中」も「弥生町」も、やまもり三香先生のコミックス(「ひるなかの流星」と「椿町ロンリープラネット」)のオマージュ曲というのが、偶然なのか狙っているのか。妄想は尽きません。バイアスがかかっているせいかもしれませんが、並べてみると「昼中」も「弥生町」も雰囲気が似ていると感じたり。

今回は「カオス」のツアーだから仕方ないけど、「ナノサイズ」も残ってくれたらもっと嬉しかったな。あと本当に個人的な趣味の話で申し訳ないけど、「Cheap」と「ラディアル」はそこまで待ち望んでいる部類に入らない曲なので、それが連続したので我に返りました。とは言え、曲が始まれば滾ることは間違いないんだけど。

「fiesta in chaos」(「カオスが極まる」のツアー)
01. 10% roll,10% romance   ※
02. cody beats
03. kaleido proud fiesta ※
04. スロウカーヴは打てない (that made me crazy) 
05. 放課後マリアージュ
06. サンポサキマイライフ ※
07. 桜のあと (all quartets lead to the?) 
08. 8月、昼中の流れ星と飛行機雲
09. 5分後のスターダスト ※
10. フィクションフリーククライシス
11. Hatch I need
12. 流れ星を撃ち落せ(間奏ドラムソロ) 
13. カオスが極まる 
14. 春が来てぼくら 
15. シュガーソングとビターステップ ※
16. フルカラープログラム  
17. 箱庭ロック・ショー ※
18. シャンデリア・ワルツ ※

en.
19. Cheap Cheap Endroll ※
20. ラディアルナイトチェイサー ※
21. 君の瞳に恋してない 

※=共通

「kaleido proud fiesta」(「kaleido proud fiesta」のツアー)
01. harmonized finale
02. 箱庭ロック・ショー ※
03. 世界はファンシー
04. シャンデリア・ワルツ ※
05. CAPACITY超える
06. Silent Libre Mirage
07. Own Civilization(nano-mile met) 
08. ラディアルナイトチェイサー ※
09. fake town baby
10. 5分後のスターダスト ※
11. 弥生町ロンリープラネット
12. (セッション~)ワールドワイド・スーパーガール
13. ナノサイズスカイウォーク
14. サンポサキマイライフ ※
15. オリオンをなぞる
16. kaleido proud fiesta
17. to the CIDER ROAD
18. 10% roll,10% romance ※

en.
19. Cheap Cheap Endroll ※
20. シュガーソングとビターステップ ※
21. 場違いハミングバード

※=共通

流れがさらにストイックに

kaleidoツアーの時も強烈に思いましたが、曲と曲の繋ぎにさらなるこだわりを感じました。曲の並びもそうだし、なるべく間隔を空けずテンポ良く、セッションで繋ぐ、という確固たる意思が。意思というか、美学やプライド、もはや意地と思うほどに。ライブ運びについては、田淵が最近よくメディアで理想形を話しているので、なるほどなと思っています。
でも、楽しいし面白いしかっこいいしユニゾンらしいんだけど、そこまでストイックにやるの?マゾなの?と、冗談半分に思わないこともない(笑)

Base Ball Bearの小出くんが、「なんであんなにずっと演奏していられるんだろう 笑」ってツイートしていたのが忘れられないのですが、それに尽きる。流れも良くてかっこいいんだけど、素人目線からすると「休憩しなくて大丈夫?」って余計な邪念が。もちろん休憩パートで長めに休んでるから、大丈夫に決まっているしプロに向かって余計なお世話なんだけど。それだけ今のユニゾンのライブを良い意味で特殊に思います。

あと、ドラムソロも単独でやるのではなく「流れ星を撃ち落せ」に組み込まれていたのが好きでした。セットリストの中で、「はい、ここドラムソロね」って言うコーナーをくっきりと設けるより、断然流れがすっきりする。正直、「ドラムソロのコーナー、長くない?」って思ったこともあったので(貴雄ほんとごめん、でもドラムソロにあれだけ尺を取っているライブの経験が他にあまりないので)。

それから今回もMCがなかったことも潔くて良かったと思いました。「ようこそ、●●(地名)」「UNISON SQUARE GARDENです!」「UNISON SQUARE GARDENでした!バイバイ!」ぐらいですかね。

お気に入りの繋ぎやアレンジ

特に好きだと思ったのが以下です。

  • 「スロウカーヴ」からの「マリアージュ」

  • 「昼中の流れ星」からの「5分後のスターダスト」

  • 「フィクション」~「Hatch」~「流れ星を」~「カオス」 

  • 「春が来てぼくら」のイントロ

  • 「箱庭ロック・ショー」のアウトロ

「スロウカーヴ」からの「マリアージュ」

「スロウカーヴ」ラストの「つまりレイテンシーを埋めています」のフレーズ、音源通りであれば「埋めて い・ます」なはずなのに、なんと「埋め・て・ い ・ます」(なんとなくこんな感じだった)という、微妙にユニークな譜割りとなっていたので、意表を突かれて「んんんん????」とずっこけそうに。

間髪入れずに「マリアージュ」のイントロに繋がったので、うわああああ!とテンションアップ。「マリアージュ」の曲調に、より似合う譜割りにカスタマイズしたのか、と素人耳なりに解釈しました。面白いことを考え付くなぁと思って、かなりお気に入りの繋ぎでした。今後も「スロウカーヴ」を聞いたらこのパターンが脳内で再生されそう。

繋ぎとは関係ないんですけど、「スロウカーヴ」の間奏のベース、田淵がアップピッキングで勢いをつけてはじいていたのが印象的。前ってあんな弾き方してましたっけ(してたらごめん)。可愛い。

あと毎回ギターソロが自由自在なのも楽しみにしています。この曲は、肩の力を抜いて好き勝手に遊んでいるのがいいなぁ。

「昼中の流れ星」からの「5分後のスターダスト」

「昼中の流れ星」がふんわり優しい雰囲気で終わった後に、「5分後のスターダスト」のキリっとしたドラムがタイトに入って来るのが、めちゃくちゃ気持ち良かったです。ほんわかした昼間から、急激に空気が冷え込む夕方に、一瞬にして切り替わったのような場面転換。

バラードとバラードの間って、しっとりゆったりという勝手なイメージがあります。kaleidoツアーでの「スターダスト」からの「弥生町」もそう。でも、今回はイントロに緊張感がある「スターダスト」が後に来たので、思いがけない展開に触れて気持ちが揺さぶられました。

「フィクション」~「Hatch」~「流れ星を」~「カオス」 

ここの4連チャンは燃えましたね。全体的に曲間の短いセッションがちょいちょいありましたが、「フィクション」から「Hatch I need」もありました。田淵にしては珍しくワウの効いた印象的なベースソロの「Hatch」、音源に比べてライブバージョンはだいぶエフェクターの音がでかくて滾る。かっこいい。あとシンバルもさりげなくシャンシャンシャンって入って来るのも好き。

余談ですが、神奈川ではリハでスタッフさんがあのミョンミョンするワウの音を出していたので、あれ聞いたらセトリ知らない人でも「Hatchやるんだな」ってバレバレですね。他のバンドのライブでも"あるある"の現象ですが。神奈川はガッツリとムービーカメラが入っていたので、念入りに確認したのだと思われます。(青森でもムービーが入っていたので、どこかしらで披露されて欲しい。)

「Hacth」でだいぶ温まって来たところに、kaleidoではやらなかった「流れ星を撃ち落せ」が来たので、かなり上がりました。はーイントロのギターリフ病み付きー。「フィクション」も「流れ星」も、ギターリフが何か独特な中毒性があると言うか、気持ち良すぎてトリップしちゃう系。
そして、「流れ星」の間奏にはドラムソロが組み込まれていて、貴雄の雄叫びで幕を閉じます。

そこからの今ツアーのメインディッシュ「カオスが極まる」と言う流れ、自分の中のボルテージが段階を踏んで上がって行ったことを実感しました。

kaleidoツアーの山場は、「オリオン」~「kaleido」~「CIDER ROAD」~「10%」と言う爽快ポップスのラインナップで、今回は燃えたぎるど直球ロックが連なっているラインナップと言うのが、それぞれのツアーにピッタリ。

「春が来てぼくら」のイントロ

サビのアカペラ始まりでした。アカペラ始まりは珍しいことではないですが、最後のフレーズ「花マルだね」を終えてからイントロの同期が入るイメージなのですが、今回は「花マルだね」の前に間があって、同期のストリングスが入って来たのが、「おお、なんか新しいぞ!」と感じました。前にもこのパターンあったっけ(記憶喪失だったらすみません)。

この子(「春が来てぼくら」ちゃん)は何かと良い待遇を受けているイメージなので、田淵はこの子が大切なんだなーとよく思います。

「箱庭ロック・ショー」のアウトロ

「箱庭」の間奏がたまらなく好きなんですけど、間奏以外ももちろん全部大好きなんですけど、曲が終わったと思ったらアウトロにセッションが追加されたので、うわあ出血大サービス!って大喜び。ギターフレーズかっこえええ!「箱庭」くんの、第二章の幕開けを目撃して感無量、みたいな謎の親心が発生。

しかも青森では、3人がトーテムポールみたいになって演奏していたのが強烈で記憶に残っています。貴雄が一番上で、一番手前で宏介がしゃがんでギター弾いていて、田淵が真ん中でベース弾いて吠えてる、っていう。一体この図はなんなんだろう、だからロックバンド最高(笑)

田淵がUSGラジオで、kaleidoツアーで「箱庭」を2曲目に持ってきたのは、観客をずっこけさせたかったから(知名度が低い)、と言うようなことを話していましたが、「箱庭」はそんなマイナーの位置づけなのかとびっくりしました。客側としては、「箱庭」はいつも皆めちゃくちゃ盛り上がるイメージなんだけど。今ツアーでも全箇所とても盛り上がっていたと思うんだけど。オタク目線だと、もはや何が普通なのかわかりません。

「カオスが極まる」のこと

「カオス」は「fake town」と雰囲気が似ています。私は「fake town」が好きだなと思うまでに時間がかかったので、「カオス」もそうかなと最初は思っていたのですが、そんなことはありませんでした。

アニメ「ブルーロック」の主題歌と言うことで、試しにアニメも見てみたのですが、「カオス」がめちゃくちゃハマっている、当たり前ですが。漫画は読んだことはないけど、昔サッカーがすごく好きで試合をアホみたいに見に行っていた時期があったので(日本代表を応援しに韓国・タイ・香港へ行ったことも)、アニメも毎週楽しみに見ています。

タイバニの「kaleido」もそうですが、タイアップアニメに興味が持てると、余計に曲に愛着が沸きますね。

田淵がメディアのインタビューで「マイナーキーで疾走感のある曲は(ウケはいいが)得意ではない」と話していて、ちょっと意外だなと思ったのですが、私もどちらかと言うとユニゾンの曲はマイナーキーで疾走感のある曲じゃない方を好んでいるな。

でも「カオス」を初めてライブで聞いた時、理屈抜きにぶち上がりました。まず頭の「Check it!」の歯切れの良さ、一発お見舞いされたような衝撃。奥底から沸々と燃えたぎります。特にトラップビートの爆音がたまらない。青森は小さなハコだったせいもあって、爆音が最も強烈で笑っちゃうぐらいに気持ち良かったです。

「オーオーオー」っていうサッカーのFIFAアンセムというかチャントみたいなコーラスに気を取られていたんだけど、インタビューを読むとトラップビートと言っていて、なるほどと思いました。製作はebaさんとのことなので、ebaさんのお話も聞いてみたいな。
意識的に聞いてみると、それらしい音がたくさん重なっている。トラップビートって聞くと、「え?ユニゾンが?」って思うけれど、ユニゾンがやるとユニゾンのものになると言うか、オリジナリティーが生まれて絶妙な使い方だなぁと感じました。

トラップビートのパート、ライブでは貴雄はなんとなくシンバルをシャンシャンしてて、宏介もギターをジャカジャカ鳴らしている、でも田淵はなんも音出してなくて、ただ野生のままに暴れてるっていうのがめちゃくちゃ愉快でユニゾンっぽくて最高だなと思いました。

曲が始まった途端、青森ではステージの左右からもくもくとスモークが焚かれたので、これはkaleidoツアーにおける「fake town」の演出だなと思ったのですが、宮城と神奈川では炎🔥の特効が使われていて、ちょっと笑ってしまいました。ライブハウスに特効を求めていないので、サービス精神過多だなと思って。
青森はステージが小さすぎて炎の演出は無理だったのだと思いますが、個人的にはスモークの方がまだ自然で好きだな。

歌詞について。「去った栄光の日に 希望があった日に 戻りたくなったなんて 寝てんのかよ」は、古傷を抱えた千切に対する潔たちからの鼓舞なのかな。千切の場合、「戻りたい」と言うより「諦めたい」と言うニュアンスなので違うかもしれないけれど。

そんな千切くんが覚醒した回は感動しました。この回を見た後、OPの「ぶちかましてくれ」で、千切がダッシュしている映像を見ると、今まで以上にグッと来ちゃう。曲とアニメがシンクロした瞬間に触れるとめちゃくちゃ感動するし、曲を作る人もアニメを作る人も尊いなーとリスペクトの念が芽生えます。

「放課後マリアージュ」のこと

みんな大好き「放課後マリアージュ」。初めて聞いた時から、「何この曲、めっちゃ愛おしい…」ってじんわり温かな気持ちで心が満たされる音楽体験。

まずイントロのギターの音色がたまらんです。「このスチールパンみたいな可愛らしいギターは一体?」ってワクワク。私の中でスチールパンが印象的なイントロ曲と言えば、ディズニーの「リトル・マーメイド」なのですが、あの可愛らしい雰囲気がギターで奏でられているのが素敵。

ナタリーのインタビューで宏介が、まさに「スティールパンみたいな音でやったら楽しそうだな、それをギターでやったら発明かも」って話しているのを読んで、天才だなと思いました。

ライブだとオートワウのみですね。宏介が何かのラジオでイントロについて聞かれて、「オートワウ&1オクターブ上を勝手にハモってくれるエフェクターの足し算」と話していて、素人には理解が容易ではありませんが、恐らくライブで1オクターブ上を勝手にハモってくれるエフェクター(スティールパンみたいな音)を足すのは難しそう。私はワウの音が大好きなので(問答無用で本能に訴えられるような快感がある)、ライブバージョンはライブバージョンでお気に入り。ワウワウ。

"もの好き"であれば、田淵のお得意の歌詞だなと言うのがすぐに伝わります。田淵が言いたいことって、ずっと昔から変わらなくて、手を変え品を変えて色んな言い回しで同じこと言い続けるの才能だなと感じます。同じことを言いながらも、表現の仕方がちょっとずつ大人になっているような気もするし。

特に「教科書に載せたいくらい大事なやりとりだからね」「書き留めておかなくちゃだけど どうせ再現できない」って言うフレーズは、噛みしめれば噛みしめるほど胸が詰まるような表現。2番のAメロは比喩が強すぎて解読できないけど。手間暇かけてるのわかるけど、とやかく言ってサーセン。てへぺろ。

「MUSICA」の田淵インタビューで、鹿野さんが「マリアージュ」の話題の際に、「ブチくんはロマンチックな人ですよね。」と話していましたが、私もそう思います。そもそも詩を書く人は基本的にみんなロマンチストだと思っています。

あとお気に入りなのが、サビの田淵と貴雄の「I love you~ hu!!!」っていうハモり。妙にクセになってしまう田淵のハモりの王道というか、もうハモりにしか耳がいかない。2番でブラストビートみたいなリズムになるのも可愛いの極み。

今ツアー初披露の曲ですが、大サビ前でお客が一斉にパンパン!って音源通りに手拍子をしたので、「みんなマリアージュ大好きじゃん(CD買ってる勢)」って思ったら激エモ。

それからMVも曲の雰囲気にぴったりで最高でした。部室みたいな狭い場所でバンドがぎゅっとなって演奏している絵が大好物なのですが、まさに。

「カオス」のMVもかっこ良かったけど、「ロボットアームのカメラ機材、高そう。レンタルでいくらぐらいなのかな、金かかってんなー」などと邪念が(笑)
CD特典のメイキングが面白かったです(見たい人はCD買って)。朝から晩までの撮影で、最後に貴雄と田淵がめちゃくちゃ眠そうなのに頑張って話してるのが萌えポイント(宏介は睡眠しっかり取っているせいか元気)。あと田淵がフカツ監督に絵コンテのことについて軽く突っ込んでいるシーンも笑いました。

「8月、昼中の流れ星と飛行機雲」と「弥生町ロンリープラネット」

「Dr.Izzy」ツアーを思い出した

「8月、昼中の流れ星と飛行機雲」を聞くと、真っ先に2016年の「Dr.Izzy」ツアーを思い出します。その後も「プログラム15th」やイベントライブでも披露しているみたいだけど、私がこの曲を生で聞くのはDr.Izzyツアー以来でした。→ 参考資料

2016年はユニゾンのファンになったばかりの頃で、前のめりにたくさんライブへ行っていました。Dr.Izzyツアーで秋田・岩手・青森を巡ったのですが、岩手の小岩井農場と、青森の街中で見た飛行機雲がとても印象に残っているのです。

だから曲が始まった途端、頭の中に2016年の風景がぶわーってフラッシュバックして来て胸がいっぱいに。こういう時、曲の持つ力の凄みを思い知らされる。奇しくも、また青森の地でこの曲を聞けるなんて。しかも、昼間に訪問した酸ヶ湯温泉で飛行機雲を見たばかりで、タイムリーでなおさら胸に響きました。

久しぶりに聞いたけど、音数少なくてシンプルでその分心に染みる。青空に溶けていくようなギターソロがエモーショナル。

酸ヶ湯温泉でバス待ちの時に見た風景
ライブ翌日の浅虫温泉にて

やまもり三香先生コミックスのオマージュ曲

冒頭で触れましたが、バラード枠として「5分後のスターダスト」とセットで、chaosでは「8月、昼中の流れ星と飛行機雲」、kaleidoでは「弥生町ロンリープラネット」がチョイスされていました。

やまもり三香作品のオマージュ曲が入れ違いとなったのは意味があるのか、ないのか。3曲とも星繋がりですね。田淵の書く詞には星モチーフがたくさん出てくるので、たまたまかもしれませんが。

そう言えば、青森で開演待ちをしている時、前に並んでいた人達が「あっ、流れ星!」「えっほんと?願い事した?」と会話していたことを思い出す。残念ながら私は見れなかったけど、なんだかこの出来事もタイムリーです。

改めて聞くと、「8月、昼中の流れ星と飛行機雲」「弥生町ロンリープラネット」ともにそこはかと似た空気を感じなくもない。両作品とも恋愛ものではあるけれど、ストーリーは全然違うのに。

「ひるなかの流星」=女子高生と男子高生と24歳男性教師の三角関係
「椿町ロンリープラネット」=時代小説家の28歳男性と、住み込み家政婦となった女子高校生の恋

ちなみに「椿町ロンリープラネット」は全巻読みましたが、「ひるなか」の方は読んでいません(永野芽衣主演の映画は鑑賞した)。

「8月、昼中の流れ星と飛行機雲(2016年)」と「弥生町ロンリープラネット(2020年)」の詩の内容を比べると、「弥生町」の方が大人っぽさや成熟を感じます。「椿町ロンリープラネット」の内容が大人びているせいもあるでしょうけど、田淵も4年の年月を経て書く言葉が変わったのかな、と言う印象もあります。

女子高生と男性教師の禁断の恋を描く「ひるなかの流星」は、「交わってはいけない」という強い言葉が似合う。一方「椿町ロンリープラネット」は、年齢は離れているけれども世間から咎められる言われはないので、「交わっちゃいけないってほどじゃないけど」という表現になっているのだろう。コミックスをベースに考えると、物語の背景によってそれぞれ相応しいフレーズが使われていると感じますが、もしも両曲の主人公が同一人物だったとしたら。と言うのも、似たようなフレーズがあったので。

比較してみました。

◇8月、昼中の流れ星と飛行機雲(2016年)

登場人物:「君」「私」

・交わってはいけないから平行線だ なんて笑わせる
 そう思ってた揺るがない過去に今も捕まったまま
・交わってはいけないから ねじれねじれたって近づきたい
 そう思ってた揺るがない過去が君を苦しめたね
→ "君"を苦しめる"私"の勝手な思い込み

・君にたどり着くまで後どれくらいかかるんだろう
・よくできた引力に引っ張られて困っちゃうな
・神様、いじわる
・君へと 向かってる…はず
・私は、ごめん、ふわふわ わがままだな
→ 他力本願、自信の無さ

【類似フレーズ】
・大事な言葉は多分まだちゃんと口に出せないから  少しずつ育てさせて

◇弥生町ロンリープラネット(2020年)

登場人物:「僕ら」「君」

・交わっちゃいけないってほどじゃないけど
 あんまり誰かには言いたくない様な  いや言いたい様な
→ 白黒つけない

・追いつくまでごめんね ちょっと時間がかかるよ
・あいまいを無理やり勇気に置き換えて ふいをついて君に触れてみたいな
・あいまいを無理やりきらめきに置き換えて  思い切り自分を甘やかしたいな
→ 意思がある、自分に素直

【類似フレーズ】
・本当の気持ちは伝えないことが当たり前なんだと 思っていたから 追いつくまでごめんね ちょっと時間がかかるよ

大事な言葉は多分まだちゃんと口に出せないから  少しずつ育てさせて」「本当の気持ちは伝えないことが当たり前なんだと 思っていたから 追いつくまでごめんね ちょっと時間がかかるよ」

という似通ったフレーズがあり、ここは主人公の変わらない部分と仮定します。
でも、「交わってはいけないから」「君にたどり着くまで後どれくらいかかるんだろう」と自分を押さえ込み、神様のせいにすらしていた人が、「交わっちゃいけないってほどじゃないけど」「あんまり誰かには言いたくない様な いや言いたい様な」と、白黒つけない柔軟な考え方に変化している点に、主人公の成長が見て取れるような気がして面白いなーと思います。果ては「思い切り自分を甘やかしたいな」と気持ちを素直に吐露していて可愛い。

これは田淵自身の考え方が変化したからなのかな、と興味深いです。タイアップやインスパイア作品であれ、自分が微塵も思っていないことを歌詞にするタイプではないと思うので。

田淵自身の気持ちが比較的色濃く反映されていると思われる「101回目のプロローグ(2020年)」にも、「本当の気持ちを話すのは  4年ぐらいは後にするよ」という控えめなフレーズがあります。「弥生町」の「本当の気持ちは伝えないことが当たり前なんだと 思っていたから 追いつくまでごめんね ちょっと時間がかかるよ」の言い換えにしか聞こえません。
すなわち「ちょっと時間がかかる」=「4年ぐらいは後」なのか。本当の気持ちとは何なのか、何に追いつこうとしているのか、ミステリアス。果たして2024年に田淵智也から一体何が飛び出してくるのか、と見せかけて意外と前倒しになる可能性も、もしくは延期の可能性も?などと妄想が広がります。ああ楽しい。

主人公(及び田淵)の心境がさらにどう変化していくのか、続編があれば聞いてみたいですね。
やまもり先生は現在「うるわしの宵の月」を連載中ですが、高校を舞台にした青春もののようなので、この作品のオマージュ曲がもしも作られたとして、「弥生町」より大人びた感じにはならないかな。どうだろう。

「2月、白昼の流れ星と飛行機雲」のこと

「8月、昼中の流れ星と飛行機雲(2016年)」は、「2月、白昼の流れ星と飛行機雲(2008年)」の続編とも言われていますね。イントロの雰囲気そっくり。

あなたの涙を空まで飛ばして、私は飛行機雲
忘れちゃいけないことは、ここにあったんだよ

2月、白昼の流れ星と飛行機雲

大事な言葉は多分まだちゃんと口に出せないから
少しずつ育てさせて 今日も飛行機雲になりながら

8月、昼中の流れ星と飛行機雲

独りぼっちのままじゃ気づけない単純なことが  しあわせになるよ
ほらね、日常が生まれ変わる

弥生町ロンリープラネット

「2月」と「8月」は、飛行機雲になって勝手に対象を見守っている。しかも「2月」は"あなた"像がかなりぼんやりしています。妄想の中の"あなた"なのかなと思うほどに。でも「8月」はより具体的に"君"の存在を想像できます。そして「弥生町」は、主語に"僕ら"も出て来て、独りぼっちではないので、だいぶ先を行っています。

元ネタあってのこととは言え、相手との距離や主人公の内面がアップデートされているように感じます。より伝わりやすい表現を意識するようになったこともあるんだろうけど、「弥生町」が最も物語が伝わってくるなぁ。好き。

宏介は田淵の詩についてどう感じているのかな、と思うことがあります。田淵に細かく聞いたり解釈を求めたりしないみたいだけど、田淵の詩の変化を一番感じ取っているのは宏介かな。
貴雄は、良い意味であまり細かいこと気にしなさそうで、そういう立ち位置のメンバーがいるのも良いなと思います。つくづくバランスの良いバンドですね。

青森Quarter存続維持プロジェクト

青森Quarterを訪れるのは4度目でした。大好きなライブハウスなのですが、疫病のせいで存続危機だと知った時は大変ショックを受け、微力ながらもクラファンしました(一度目のクラファンに気づけなかったのは不覚)。

奇しくも返礼品が届いた同日(8/12)にchaosツアーが発表され、青森Quarterがあることに興奮。すごいタイミング。これは呼ばれたのでは?激戦だとは思いましたが、友人が当ててくれて夢かと思いました。クラファンしたことも、きっとご縁につながったのではないかと勝手に思っています。

疫病のせいで4年も空いちゃったけど、次はもっと近い感覚で行きたいな。青森大好き。

追加公演のこと

「chaosツアー、本当にこれで終わり?」「マリアージュ聞けなかった人かわいそうじゃない?今度いつやるの?」って思っていたので、「チケット取れなかった人がちょっとは救われて良かった」「やっぱりちゃんと考えてくれているんだ、優しい」と言う思いと、「東京ガーデンシアターって…」「ライブハウスで見たいのよ、そうじゃないのよ」という思いと。

「Nomal」の時の追加公演もぴあアリーナという大きなホールだったので、「そうじゃない」と激しく落胆しました。今回私は本編に参加できたので、「Nomal」の時ほど強くは思わなかったけど。私のようなライブハウスにこだわる偏屈なオタクは少数派のはずですし、素直に追加を喜んでいる人が多いと思うので良かったと思います。

あと、「Nomal」の時みたいに、「マネージャーに好評だから」「セットリストが良いから」などの言い訳みたいなことも言っていなくて良かったよ。シンプルに「やっぱキャパ足りなかったよね、追加やるわ」で良いと思うのです。
UNISON SQUARE GARDENの田淵智也は大きなものを背負っているから、最もらしい理由を付けないとかっこ悪いと思っているのかな。そんなことないのにな。THE KEBABSでは「チケット全然売れてないから来てー」って言うじゃないですか。ああいう感じとまではいかなくても、理由はシンプルな方が受け手としてもすっきりするのですが、それは彼の背負うユニゾン田淵像とずれるから嫌なのか。

個人的に、東京ガーデンシアターは、疫病真っただ中で座席数を間引かなくてはいけなかった時代はともかく、今この状況でロックバンドのライブを見る会場だと思えません。ツアーの1会場として組み込まれていたら、今後は選ばない会場。でも今回は、チケット余るのも勿体ないし、行ってあげようかなぁ(上から)。

青森ライブ翌日の浅虫温泉にて

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