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「何を提供するか?」が最重要で、それを最高の状態で届けるのがUXデザイン #UXデザインの教科書

カーナビはスマホの登場で相対的に使いにくくなった

UXを体系的に勉強しようと、『UXデザインの教科書』を読み進めています。読み始めてわずか3ページ目におもしろい例が載っていました。

かつてカーナビは非常に高価な製品で、自動車メーカーの純正品が主流であった。純正品のカーナビは、使いにくいとは言わないまでも代替品はあまりなく、ユーザーはその操作性を受け入れていた。しかし、スマートフォン用のカーナビアプリが登場したことにより、純正のカーナビは値段が高い割に使いにくい製品と感じられるようになってしまった。

純正メーカーが作ったカーナビ、申し訳ないですが使いづらいですよね。スマホのGoogleマップを使っているともうカーナビも全部Googleマップでいいじゃんと思うし、メーカー独自の機能をこれまたメーカー独自の癖のあるUIで実装されるとストレスに感じます。

純正メーカーのカーナビしか知らなかった時代にはそこまで不満に思っていなかったのに、スマホアプリなどのUX設計が秀逸なプロダクトを使い慣れてしまったせいで、相対的にわかりづらさ・使いにくさが強調されてしまったのでしょう。

プロダクトはユーザーの目的が達成できて、代替品がないのであれば利用される

引用した文で触れられているように、それでもメーカー純正のカーナビしか選択肢がなかった時代には、みんなありがたがって使っていました。なぜなら、他に類似の機能を提供してくれるサービスがないから。

ここでユーザーが必要としているのは、「目的地までの経路を教えてくれる」機能もしくはサービス。

車の中という限定的な空間で、備え付けのカーナビ以外にこの役割を果たしてくれるものがなければ、どれだけ使い勝手が悪くてもそれを使いますし、ストレスを感じながらも使い方を工夫し操作を覚えようとします。

重要なのはあくまで何を提供するか?

そこで思ったのが、結局ビジネスやサービスって、「What - 何を提供するか?」が最重要で、「How - どうやって提供するか?」はその次でしかない」ということ。

上記の例で言えば、「What(なに?)」の部分がカーナビ、「How(どううやって?)」の部分がわかりやすさや使い勝手、つまりUXデザインが担う部分。

UXの品質が低くても、カーナビ本来の機能が満たせていればとりあえずは使ってもらえます。

一方、どれだけ優れたUXでもカーナビ本来の機能を満たしていなかったら使ってもらえません。

ここだけ聞くとあたり前すぎて冗談みたいな話ですが、実際のビジネス現場ではしばしばこういうことが起きている気がします。

重要なのはあくまで「何を提供するか?」という「What」の部分であり、それを最高の状態で届けるための演出がUXデザインなのだと思います。

UXを優先するあまり、Whatがないがしろになると本末転倒。

自分の気づきとして、この点を忘れないようにしたいと思いました。

この概念はこちらの記事のプロダクトエクセレンスの所で簡潔に明文化されていました。これぐらいシンプルに表現できるようになりたい。。

寿司屋の例に見るWhat(商品)とHow(UX)の関係性

たまたま見かけたのですがdelyのPdM奥原さんの記事にも全く同じ趣旨のことが書かれていました。

そうなんです。どれだけ接客が良くて内装がキレイで素敵なお店だろうと、肝心の寿司がおいしくなかったら誰も行きません。

おいしい寿司を食べるという一連の体験を最高のものにするのがUXデザインであって、それとは別に寿司をおいしくする(≒ユーザーのニーズにフィットさせる)努力をすべきですし、そちらの方が優先度が高いと思います。

何より、顧客と店舗のタッチポイントがいくつもある中で、「感動的なほどおいしい寿司を食べられた」というのが一番印象的なユーザー体験になるでしょうし。

ECサイトであればどれだけ購買体験を良くしたところで商品が悪ければ勝手もらえないだろうし、プロダクトも顧客ニーズに沿っていなければ使われません。

一方で、メルカリのように消費者側・出品者側のUXを追及していくことで良い商品が集まるという側面もあるとは思うので、この辺の見極めが肝心になります。

結局のところ、「どういった目的でUXを磨くのか?」という話になりますし、それを定義するのはPdMの仕事だと思います。

どれだけシャープな目的を掲げられるかはPdMの視座の高さに依存してしまうため、視座を高められるよう努力していければと思います。

本来的にはWhatよりWhyの方が重要だと思う

今回はWhyが登場するエピソードがなかったのでWhatとHowの話に終始してしまいました。

本来的には、「What(なに?)」の上位概念として「Why(なぜ?)」があり、「Why(なぜ?)」のところに明確な課題や理念があって、それを解決・実現する手段として「What(なに?)」があるのだと思います。

Whyの必要性についてもどこかで触れたいと思います。

おまけ:カーナビは本当に衰退したのか?

国産メーカーの昔ながらの純正カーナビは苦戦しているみたいです。

ただ、自動運転も含めた車のスマート化だったりスマートフォン連携など広い意味でのカーナビ市場はかなりの勢いで伸びているみたいですね。


参考にした本:UXデザインの教科書

UXデザインについて、一通りのことが体系的にまとめられています。UXについて学びたい初学者にオススメの本です。





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