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日本語教育機関認定法の省令等案のパブリックコメント結果を読んでみて思ったこと

10月10日(火)に登録実践研修機関及び登録日本語教員養成機関の登録手続き等の検討に関するワーキンググループ(第4回)が実施されました。

※私は傍聴していませんが・・・。

その配布資料の中に「日本語教育機関認定法の省令等案のパブリックコメントの結果について」がありました。

記事のタイトルには「日本語教育機関認定法の省令等案」と書きましたが、正式には「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法 律施行規則案、認定日本語教育機関認定基準案及び告示案」についてのパブリックコメント(意見公募手続)です。

余談ですが、現在行政書士の勉強をしているのでこの「意見公募手続」というワードが実際に使われていて、おぉ~!これが意見公募手続か~!!👏と個人的になっています。笑

それにしても案のタイトルが長い。覚えられません・・・。😅

この法律ですがざっくりと言うとこれからの日本語教育の質をより良くし、いい日本社会を作っていきましょう!という目的の法律です。

(第一条)(目的)
この法律は、日本語に通じない外国人が我が国において生活するために必要な日本語を理解し、使 用する能力を習得させるための教育(以下「日本語教育」という。)を行うことを目的とした課程(以下 「日本語教育課程」という。)を置く教育機関(以下「日本語教育機関」という。)のうち一定の要件を 満たすものを認定する制度を創設し、かつ、当該認定を受けた日本語教育機関において日本語教育を行う 者の資格について定めることにより、日本語教育の適正かつ確実な実施を図り、もって我が国に居住する 外国人が日常生活及び社会生活を国民と共に円滑に営むことができる環境の整備に寄与することを目的とする。

日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律(https://www.mext.go.jp/content/230531-mxt_hourei-000030167_2.pdf

そして、このパブリックコメントの結果ですが、皆さんはご覧になりましたか?

日本語学校で働いていた時はこういう文化庁等の日本語教育に関する会議など重要な情報が入ってきていたんですが、今フリーなのでなかなか情報が入ってきません。

もしかすると私と同じように情報がなかなか入ってこない、という人もいると思ったので、今回このパブリックコメント結果についてシェアしたいと思います。

シェアというよりは個人的に気になった意見を簡単に紹介します。

PDFデータはこちらです。

https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/kikan_toroku_wg/wg_04/pdf/93951401_09.pdf

パブリックコメント概要

実施期間:令和5年8月21日~令和5年9月20日
意見数:730件

主な意見の概要
(1)認定日本語教育機関に関係するもの
・教員及び職員の体制に関すること
・施設・設備に関すること
・日本語教育課程に関すること
・生徒の学習上及び生活上の支援体制に関すること
・その他認定日本語教育機関に関すること
(2)登録実践研修期間に関すること
(3)登録日本語教員養成機関に関すること
(4)登録日本語教員の登録の経過措置に関すること
(5)その他の主な意見

こんな感じで項目分けがされていて、意見の概要とそれに対する文化庁の考えがまとまっています。

こうやってみると結構いろんな意見が出てきたようですね。

ということで全部の意見を紹介できないので、個人的に気になった意見をご紹介します!

個人的に気になった意見ベスト3

1位:試験の免除反対

私が一番驚いた意見が登録日本語教員の資格取得のための現職者の経過措置についての意見の中の1つです。

専門家集団が専門性を広く認められる ためには、一定の専門性が証明できない者 を集団に入れないことが必須で、日本語教 師の社会的地位向上のためにも試験の免 除には反対する。

日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等 に関する法律施行規則案、認定日本語教育機関認定基準案及び告示案 に関するパブリックコメント(意見公募手続)の結果


この意見に対する文化庁の考え方は

制度の円滑な実施等のため、特に認定日 本語教育機関への移行が想定される機関 で勤務する者等のうち、一定の要件を満た す者について経過措置を設けることとし ています。他方で、登録日本語教員の質の 確保のため、全ての者に何らかの試験の受 験を求め、かつ、状況に応じて講習の受講 等を求めることとしています。

日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等 に関する法律施行規則案、認定日本語教育機関認定基準案及び告示案 に関するパブリックコメント(意見公募手続)の結果


これを読んだとき、こういう考えの人もいるのか~!!!😲って思いました。

日本語教師の人はすでに資格を持って教えているのだから、そのまま登録日本語教員にしてくれー!っていう人ばかりだと思っていましたが、そうじゃない考えの人もいるんですね。

しかも「一定の専門性が証明できない者を集団に入れないことが必須で」っていうのがまた強烈な表現だな~・・・。

この意見を書いた人がどんな人なのかが非常に気になります。

このパブリックコメントは誰でも意見を出すことができるので、日本語教師じゃない方なのかもしれませんね。

この人の日本語教育についての考え方を聞いてみたいと思いました。

文化庁の考えとしては経過措置を設けることの意向は変わらないようなので現職者の方にとっては安心ですね。

しかも「現職者」って表現ではありますが、この「現職者」というのは

平成31年4月1日(法施行5年前)~令和11年3月31日(法施行5年後)の間に 法務省告示機関で告示を受けた課程、大学、 認定日本語教育機関で認定を受けた課程、文部科学大臣が指定した日本語教育機関で日本語教員として1年以上勤務した者

「勤務した者」なので、今現在日本語学校で働いていない人でも上記の期間に1年以上働いたことがある人は経過措置の対象になるんですね。

ということは私も経過措置の対象に入ることができるので、一安心です。

まあ、案なので今後変わるかもしれませんが・・・。

また、試験免除反対の意見のほかにも「経過措置を設けるべきではない」という意見もありました。

否定的な意見の方もいるんですね。

2位:現教職員の負担軽減等のために


そして個人的に気になった意見の2位は

1位とは反対の考えの意見についてです。

現職教員への負担軽減等のため、現行の 養成課程等の修了者について応用試験を 免除してほしい。

日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等 に関する法律施行規則案、認定日本語教育機関認定基準案及び告示案 に関するパブリックコメント(意見公募手続)の結果

この意見に対する文化庁の考えは

登録日本語教員の質の確保のため、すべ ての者に何らかの試験の受験を求め、か つ、状況に応じて講習の受講等を求めるこ ととしています。

日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等 に関する法律施行規則案、認定日本語教育機関認定基準案及び告示案 に関するパブリックコメント(意見公募手続)の結果


わたしはこの応用試験の免除などといったような現職者にとっていい方向の経過措置についての意見が多いと思っていました。

残念ながらどのくらいの意見数がそれぞれ集まったかは資料にはなかったので、どのくらい同意見の人がいるかわかりませんが。

でも、日本語学校で働いている先生たちはほとんどがこの意見だと思います。

だって、経過措置終わってしまったらその学校で働けなくなりますからね。

仕事なくなっちゃいますし、学校側も先生がいなくなって大変です。

国家試験ですから、簡単に合格できるものじゃないと思います。

その勉強をしながら、働くっていうのは確かに負担が大きいですよね。

実際働きながら試験勉強するって大変ですよね・・・。😭

私が日本語教育能力検定試験を受験した時は働きながら養成講座に通って試験勉強もしていましたが、

日本語学校で働きながら国家試験勉強する、っていうほうがよっぽど大変だと思います。

だからこの意見を書いた方の気持ち本当にわかります!!!

でも、これに対して文化庁の考えは、現状試験の免除の考えはないようなので、がんばるしかないですね・・・。

だから、今年も近づいてきましたが日本語教育能力検定試験を受ける方!
頑張ってください!!

3位:日本語学校の立地する地域との信頼関係

3位はこちら。

日本語教育機関が立地する地域での、信 頼関係をどう構築するか、具体的な方針を 持つことを認定の基準とすべき。

日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等 に関する法律施行規則案、認定日本語教育機関認定基準案及び告示案 に関するパブリックコメント(意見公募手続)の結果

この意見に対する文化庁の考えは

生徒の生活上の支援のため、情報提供や 他機関との連携を行うための体制整備を 求めることとします。

日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等 に関する法律施行規則案、認定日本語教育機関認定基準案及び告示案 に関するパブリックコメント(意見公募手続)の結果


この意見は「生徒の学習上及び生活上の支援体制に関すること」の項目の中のたった一つの意見でした。

この意見を書かれた方は現に何か問題や課題が起きているのでしょうか。

文面だけじゃわかりませんが、なんとなく大変なんだろうな~、というのが予想できる。

留学生が日本で生活するには日本語学校だけを頼りに生活はできません。

いろんな関係各所と連携・協力が必要になってきます。

私も日本語学校で働いていたときはいろんなところとやり取りをしながら留学生の生活支援をしていました。

市役所、銀行、郵便局、アルバイト先、警察、入管、留学生紹介エージェントなどなど。

思い出したら、いろんな人にお世話になったなあ~・・・。

留学生に限らず、外国人が日本人で安心・安全に生活していくためにはやはり地域との協力が必要だと思います。

留学生のために日本語学校がいろいろお世話するのはもちろんですが、さすがに限界もあります。

理解がある方との対応は非常にスムーズなのですが、そうじゃないと結構大変ですよね。

話が通じなかったり、理解してもらえなかったり・・・。

正直、こんなの教師がやることかよぉぉぉ!!とイライラしながら対応したこともあります(笑)

日本語教育機関外の方々と信頼関係ができていたり、普段から連携を取ることができていれば、留学生の生活支援はもっと余裕を持ってできていたかもしれません。

なので、この意見を読んで「地域との信頼関係」を意識することは留学生も含め外国人の生活支援に必要なことだと改めて感じました。

日本語教育機関や地域のボランティア教室だけではなく、地域全体で外国人をいろいろサポートできる世の中になるといいなあと思います。

様々な意見を読んで参考になった

ということで個人的に気になったパブリックコメントベスト3を紹介しました。

皆さんもぜひ読んでみてください。

いろんな考えの人がいるんだなあ~って思うことができるし、改めて日本語教育について考えるいい機会にもなりますよ~。

PDFデータはこちら。

https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/kikan_toroku_wg/wg_04/pdf/93951401_09.pdf


あと、最近は自分から日本語教育についての情報を取りに行っていないな、と思いました。反省・・・。

日本語学校で働いていた時と情報量が全然違います。

待っているだけじゃだめだよな~。

ということでもっとアンテナを張って生活したいと思いました。

日本語教育に関する情報は日本語教育振興協会のHPがおすすめです。


会員専用しか見られないページもありますが、一般の人でも見られる内容もあるので、参考になります。

そして今回紹介したパブリックコメントに関するワーキンググループの開催等についても日振協のお知らせから知ることができます。

私も今後意識的にチェックしていきたいです。

では、長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。




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