第七話 とあるランプとの未来

オークション終了まで残り5分

現時点で彼の入札8750円が最高だ。
このまま終わることができるのだろうか。

自動延長が設定されているから、残り5分以内で入札があった場合はさらに5分延長が続く。
知らずに終了直前に入札する人もいるので面倒だ。

だが現在の価格から、そこまで高騰はしないだろう、せいぜい2万位内ではないかと安堵もしていた。

ならばきっと勝てる…彼はそう思いながら画面を見つめていた。

残り3分、2分..
ページを定期的に更新しているが未だ彼を超える入札はない。

落ち着け…落ち着け…ここからが本当の勝負だ…

残り1分

40、30、20秒

彼のページ更新のペースも早まる..

そして終了

落札

よっっっっっっっしゃぁぁぁぁ!!

緊張の4日間

天に念が通じたのか、あの後誰からの入札もなく、本当にあっけなく、そして無事に落札、しかも8750円と想定より安価すぎる値段での勝利をおさめて終えることができた。

本当に嬉しい。。


実は第五話まで、ヤフオクで見つけた直後にほぼ一気に書き上げた。
しかし、六話からは、経過を見ながらリアルタイムで文章を書き足していっている。

当初は、オークションでこのランプを見つけてから、必ず落札するという意気込みと、願掛けもあってこれを書き始めた。

アンティークランプにハマってから約半年

探しても探しても見つけることのできなかったあのランプ

やっと巡り会えたこのチャンスにしっかりと入手できて本当によかった。

これでいろんな意味でひと段落、章が終わった感がある。

彼はパソコンをそっと閉じ、深く一服した。

ー第七話 完ー


後日談

出品者との連絡もスムーズに行われ、翌日には北海道より発送された。

あのランプとの出会いから入手まで、短かかったのか長かったのかわからない月日だが、ずっと検索の日々を続けていたせいか、落札した後でも未だに検索してしまう癖がついてしまった。

だが彼はそれでもいいと思っていた。
なぜなら同じランプはいくつでも欲しいと思っているし、他にも出会いがあるかもしれないからだった。

さらには検索がまだまだ必要な理由も判明してしまった。

最初に出会ったFIVE FROM THE GROUNDさんのあのランプそのもの、に出来るだけ近づけようとすると、ソケット部分にBA15という小さな海外規格のものを手に入れる必要があった。
アンティークの規格を日本国内でも使えるように、電球が手に入るようにと、店があのランプに施したリメイク部分はまさしくそこであった。

他の規格パーツで造ることもできるが、彼にとってあのランプは、最初に見たあの全ての構成要素を含んた上で惚れてしまっているのだ。
だからどうしてもあのランプそのものを再現したいと思っていた。

フランス系のアンティークソケットでよく見るのがB22というソケットサイズ。これは名前の通り差し込み部の直径が22mmのこと。
BA15タイプはそれよりもさらに小さいもので15mmである。

この規格のアンティークソケットを手に入れるのが大変そうな気配がしている。
軽く検索してみたが、まったくヒットしない。
また長い戦いになりそうだ。

「はぁ。。」

そうため息つく彼の表情は明るかった。

ー第一章 完ー

落札より半月後の完成版



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