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映画『ウォルター少年と、夏の休日』を見て、ド素人が感想言います。


ネタバレあります。ご注意ください。


平日の午後、TV東京で「午後のロードショー」という枠がある。

聞いたこともないようないわゆるB級映画のような作品と、アクション映画と、
わけがわからない映画(笑)がメインで放送されている。
3月の放送予定を見ても、22回の放送中、銃などの武器をかまえている画像が半分以上。
画像になってないだけで、武器で戦うようなものはたぶん他にもあると思う。

↑ページ内の作品検索タグを見ても
「金曜はアクションスター」とか(どう考えても金曜だけじゃない)、
「2週連続セガール」「2週連続シュワルツェネッガー」など、
放送作品がヒジョーに偏っているのが特徴的である(;^_^A

そんな中でもごくたま~に、笑える作品や、心温まる作品なども放送される。

アクション映画好きな人には申し訳ないが、どうせまたアクションだろ?と思いながらTV欄をチェック。
そう、一応毎日チェックはする。
そして突如絶対自分が好きなジャンルっぽいタイトルを発見する。
うん、タイトルで分かるよね。

ちなみに今回出会った作品も、銃をぶっ放す。やたらめったら(^▽^;)
ただそれはアクション映画やサスペンス映画における武器と同等のものではないことだけは先に書いておく。


◆MY視聴データ◆

視聴日時:2022年3月14日 13:40~
視聴方法:TV放送(TV東京 午後のロードショー)

◆作品データ◆

『ウォルター少年と、夏の休日』

原題:『Secondhand Lions』
製作:2003年 アメリカ
監督:ティムマッキャンリーズ

出演:
<ウォルター>
ハーレイ・ジョエル・オスメント(「シックス・センス」「A.I.」など)
主人公の少年。
母に連れてこられた大伯父(祖母の兄弟)の家に預けられる。母親から大金のありかを探し出すように言われるが、いつの間にか大伯父達を信頼するように…。

<ハブ・マッケーン>
ロバート・デュヴァル(「ディープ・インパクト」「ゴッド・ファーザー」など)
ウォルターの大伯父の1人。短気で無愛想。
町の不良達を簡単に倒してしまうほどの肉体派で、食事をさせたり説教したりして改心させたりもしているが、老いて死んでいくことにうんざりしている。
夢遊病があるがそれにはわけが…。

<ガース・マッケーン>
マイケル・ケイン(「バットマン ビギンズ」「インターステラー」など)
同じく大伯父。変わり者ではあるがハブよりは穏やかで、言葉が過ぎるハブをたしなめる役でもある。
若い頃のハブの武勇伝を、ウォルターに語って聞かせる。豪快なハブとずっとともにしてきているので、この人も充分豪快な人。

<メイ>
キーラ・セジウィック(「7月4日に生まれて」など)
ウォルターの母親。男との生活に息子が邪魔になり、大伯父にあずける。だらしなく、嘘つきだが、息子を愛していないわけではなさそう。

↑IMDbにて予告編が見れるので、作品の雰囲気が分かると思う。


◆大伯父達の言うことがいちいちカッコイイ◆

ハブとがーすは最初こそウォルターのことを厄介に思っているが、それでもそこは頼りがいのあり過ぎる2人で、
ウォルターに寄り添い、励まし、自分達の姿を見せることで育てていく。
時には厳しいことも言うが、必ず愛がある。


「男にはいい地図が必要だ」

ハブだったかガースだったか忘れた。

速記の学校へ行くと言ってウォルターを置いていった母の嘘を知ってしまい、
大伯父の家からもといた土地(だったかな?)へ帰りたがるウォルターに向かって言った言葉。

帰る道順が分かる地図でもなく、母親の所へ行く地図でも、立派な地図でもない。
若者が育っていくには、自分で進むことと、それを手助けする良いお手本となる大人が必要
…という意味なのかなと思う。

結果、このまま一緒に暮らすことに。


大伯父は大金を隠し持っているというウワサがあり、金目当てのセールスマンが連日やってくる。
それをライフルを撃って追い返す …というコメディタッチなシーンが繰り返される。
あくまでもここは笑うところ。

「商品を見てあげたら?お金を持ってても使わないと意味がない」
というウォルターの提案に対して言った言葉。

「それもそうだな。その後に撃とう。」

見るけど、見た後撃つよ というのが面白い(゚∀゚)

これをきっかけに生きてるライオンや、免許もないのに古いプロペラ飛行機を買ったりすることになる。

ウォルターがライオンの世話をしたい育てたいと言うと、どこまで本気なのか分からないようなことも言う。

「よし、じゃあ(育ててから)その後撃とう!」


ある時突然倒れたハブ。すぐに勝手に退院してしまう。
その帰り道に町の不良達にからまれるが、たった一人でいとも簡単に倒してしまう。
そんな彼らを家まで連れてきて面倒をみてやる。

「そんななりじゃ家に帰れないだろ」

ハブにやられてボロボロの不良達へ

「飯食ってくか?…コレを焼く!」

同上

↑コレ…というのは、殴られたあとを冷やすために使った生肉。
おそらくライオンの餌( ´∀` )

ボコボコにしたのハブ本人なんだけどね。
ボコって終わりならただのケンカだけど、ご飯を食べさせて、話を聞かせて、
最後まで面倒みるのがハブ流なのだ。


大伯父2人の若かりし頃の武勇伝。
フランスへ行く → 拉致されてアフリカへ → 兵士として戦う → 奴隷商人と関わる → 女性を解放する → ジャスミン姫と出会う → 恋に落ちる → ジャスミン、婚約者に監禁される → 助ける → 命を狙われる → 婚約者の命を奪うことなく開放する →結婚する

ジャスミンとはその後どうなったのか、どこにいるのか、きになるウォルター少年だが、
名前が出ただけで怒ってしまうハブには聞けないでいる。

「だからこそ自分で聞け。俺も話すことはできない。」

ガースがウォルターへ

無闇に何でも話していいわけじゃない。
大事なこと、知りたいことは、自ら飛び込んでいかなければ手に入らないのだ。


「本当か嘘かは関係ない。信じると思ったら信じる。」

ハブの言葉

「大事なのは真実かどうかではない。」

ハブの言葉

ジャスミンのこと、アフリカでのことを聞いたときにかえってきた答えが上記。

いつものように夢の中を彷徨って、池のそばに立ち尽くしているハブ。
ジャスミンのことを尋ねると、お腹の中の赤ん坊と一緒に死んだと…。
そのせいで夢遊病になってしまっているのだ。
そして、老いて動けなくなることを恐れていながらも、どこか死を待っているようなところも、おそらくそのせい。

信じられないような話も、自分の中に受け入れられないような話も、
それを信じるか信じないかは、自分が決めること。
大切なことを見失わないためには、それしかないのだ。

そして、ジャスミンを失ったハブと同じように、自分もハブを失いたくないと訴えるウォルターに心動かされ、生きる気力を取り戻す。
2人の間に大きな愛がハッキリと刻まれた瞬間(T□T

この言葉は、後半のウォルターの言動や選択に、大きな意味を持っていくことになる重要な言葉。


終盤でウォルターと大伯父の別れのシーンがある。
ろくでもない親でも親。迎えにきたのだから返さねばならない(T△T

ハブ「弁護士を雇おう」
ガース「母親から引き離してジジーに渡そうなんていう裁判所は無い!」
ハブ「でもメイなら金でなんとかなるかも」
ガース「あの子は行っちまったんだ!!」

物言いのハッキリしたハブの方がオロオロとしていて、
優し気なガースがきっぱりと諦めようとしているのが意外でもあり、
それまでとは違った隠れた2人の良さ(ハブの優しさ、ガースの強い意志)、
ウォルターへのそれぞれの形の愛情が見えるシーンに、温かさと切なさでキュンとなる。


◆原題『Secondhand Lions』について◆

邦題は誰がつけるのかよく分からないが、つけ方次第では映画の内容にすら影響を及ぼす。
今回は全くそれに該当していると思っている。


『ウォルター少年と、夏の休日』

邦題

これってわりと日本人の大人が好きそうなワードがおてんこ盛り。
少年、夏、休日…

以前ゲームソフトの「ぼくのなつやすみ」が密かに話題になったことがある通り、
大人達は子どもだった頃の思い出、特に夏休みには、何やら深い感情を抱いている。
楽しかっただけじゃない、切なさとか、なんかその辺の色々。一言じゃあ表せない。

子どもの頃は良かったな、毎日遊べた、夏休みに田舎へ行った、冒険だった…

それが全部入っちゃってる邦題『ウォルター少年と、夏の休日』。
このタイトルのおかげで、少なからずとも視聴者はウォルター視線にさせられてしまうと言っても良い。
<ウォルターの成長物語>になる。


『Secondhand Lions』

原題

Secondhand 単語の意味が分からなかったのでグーグル様に教えてもらうと、
【中古】と出てきた。

中古のライオン達…なんと直接的な(;^_^A

この映画にはライオンがライオンとして登場する。
ハブに撃たれなかった理由として、ウォルターが育てると言ったことだけではなく、
年老いていて檻から動かないのを撃つことはできない というハブの信条からでもあった。

ただこのライオンも、最後はウォルターを助けるために、母親の恋人に飛びつき、興奮し過ぎたために心臓マヒで死んでしまう。
それでも死に顔は笑っているように見えるとウォルターはいい、ハブは「勇敢に戦って死んだ」と言う。

そしてLions と複数形であるように、中古のライオンは他にもいる。
まぁ、人間に対して中古という言い方は令和の日本ではドキリとするが、もちろんハブとガース、2人の大伯父のことだ。

とりわけハブは、若かりし頃は英雄のような活躍ぶりをみせるわけだが、愛する人を失い、
くたびれて年老いて自分にできることが少なくなって、そして死んでいくことを、恐れているように見える。

力強く豪快に勇ましく、まるでライオンのように生きてきたけれど、自分は古ぼけていて、
まさにSecondhand Lionsなのだ。

そう考えると、これはウォルターを愛して守った、本物の老いたライオンと、
年老いた2人のライオンのような大伯父の物語なのだと認識するようになる。
<ウォルターを育てる>物語、あるいは<ライオン達の生き様を見せる>物語になる。


視聴中になんとなく違和感があったのが、後から原題を知って、なんとなくスッキリしたので、
やはり邦題になった際にあまりにもイメージと違うことは、伝えたかったことが伝わらなくなる可能性があるな と感じた。


というわけで、
映画『ウォルター少年と、夏の休日』を見て、ド素人が感想言います。
~大切なのは真実かどうかではない。信じるかどうかだ。~
でした。

他にも名シーンが沢山ある。
ろくでもない母親とのやりとり、その恋人がさらにゲスなこと、
隠された大金のありか…
そして冒頭のシーンがラストに繋がっていくところ。
飛行機に乗った老人2人と電話を受ける青年が、どんな輝く時間を過ごし、最後どんなシーンで物語を結んでいくのか。

ぜひ、DVDで!




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