見出し画像

仮想通貨は既存の通貨を置き換える事は可能か?〜過去の事例で考える〜

少し前に仮想通貨についてコメントされた方がいて、自分自身も改めて仮想通貨について考えようと思い今回の記事を書きました。
タイトルにもある通り、仮想通貨が既存の通貨を置き換える可能性はあるか?についてですが、結論から先に書くと…

現状のままでは置き換わる事は無い!

と考えます。それはなぜか?色々理由はありますが、1番の理由として…

仮想通貨単体でモノやサービスを買うこと出来ず、買えたとしてもドルや円などの既存の通貨が裏付けになっているから!

となります。たまに仮想通貨で支払い可みたいな物もありますが、それもそれ単体で使うのではなくどこかのタイミングで既存の通貨に両替します。

つまり、現状では既存の通貨から切り離されて仮想通貨単体で経済圏を作ることが出来ていないというのを意味しています。これはブロックチェーンといった技術云々とは、また別の問題になります。

この状況を打破しない限り、仮想通貨は投機と海外への送金以上の機能を発揮出来ません。そこでヒントになってくるであろう過去の事例が…

トラック・システム

になると考えます。実はデジタルという枠組みを取れば仮想通貨に類似した物は過去に存在しています。要は国家もしくはそれに近い組織以外が発行した通貨であれば、仮想通貨と言えると考えます。そして、トラック・システムとは何か?という事ですが、端的に言うと以下のようなシステムです。

「賃金を支払う際に法定通貨では無く、貨幣類似物で賃金を支払うシステム。その貨幣類似物は雇用主が経営もしくは傘下のお店でのモノやサービスを買うことが出来る」

という物になります。創作だとカイジに出てくるペリカがトラック・システムを端的に表現していると思います。また実際に日本で存在した事例としては各炭鉱で支払われていた炭鉱切符や大東島という離島で、サトウキビ栽培から製糖まで行っていた玉置商会の大東島紙幣などがあります。ちなみになぜ?このような事をするのかというと、基本的にこのシステムは…

労働者の搾取!

が目的のシステムになります。本物の通貨では無く、特定の店舗でしか使えない通貨を渡すことで、賃金の回収と職業選択、移動の自由を無くします。特定の店舗でしか使えないとなると、そこで売られている商品が適正価格かどうかは分かりません。不当に価格を吊り上げている可能性もあります。また従業員には通貨を支払う必要が無くなるので、その分、有利になります。

このようにトラック・システムはあまり褒められたシステムではありません…というより非常に良くないシステムでずが、仮想通貨の置き換えが可能かを考える上で大きなヒントになると考えます。

まず、トラック・システムを成立させる状況には以下の条件を満たす必要があります。

1.支配、被支配という強い権力構造
2.閉鎖的環境
3.貨幣類似物を強制的に使わせる、または使わざるを得ない状況にさせる
4.限定的とは言え、その貨幣類似物を支払えば需要を満足させるモノやサービスの提供

という4つの条件が最低でも必要になります。これを仮想通貨に適用することができ、より多くの人間が使えば既存の通貨を置き換える可能性があります。とは言え、この条件は仮想通貨にとって…

適用するのがかなり厳しい!と言わざるを得ません!

4の条件は可能かもしれませんが、1〜3の実行が仮想通貨の思想から鑑みて、相当に難しいと言えます。特に1と2を成立させないと3の条件を成立させることが出来ません。4だけの成立では既存のポイント払いと何ら変わりません。
1に関して言えば、その仮想通貨の管理者次第で何とかなる可能性がありますが、やはり仮想通貨がグローバルに展開するものである以上…

2の条件である閉鎖的環境を作ることが非常に困難!

と言わざるを得ません。どうやれば良いのかちょっと想像付きません…

いかがでしょうか?仮想通貨を既存の通貨に置き換わる困難さが理解出来たのでは無いかと思います。さらに言うと、仮に先ほどの条件をクリアしたとしてもその先に待っているのは…

既存の通貨との違いは何?

という事になってしまうかと思います。最後まで読んで頂きありがとうございます!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?