見出し画像

2 本が好きになった理由

小さな頃から家には沢山本があった。
母が保育園の園長先生だったこともあって絵本も沢山あった。
保育園の時から絵本の主人公になりきって、一日に何冊も何冊も読んでいた。
小学生になった時、父が家の本棚にある分厚くて大きな本を見せてくれた。
エジソン、ナイチンゲール、ライト兄弟などの伝記だった。
「これを読めるようになったらすごいぞ。本は沢山読みなさい。」と
父が言ったので、すごくなりたくて必死に読んだ。
一冊読んで父に報告すると、
「こんな難しい本を読んだのか!すごい!本を読んで分からない漢字や意味があったらお父さんに聞くんだぞ!」と言われた。

私ってすごいんだ!と思ったし、お父さんがとても嬉しそうで、また嬉しい顔を見たくてどんどん読んだ。

本は大人になっても当たり前のように読んでいた。
中身を覚えてないのも正直あるけど、とにかく読む事が大好きだった。
悩んだとき、つまづいたとき、苦しいとき、泣きたいとき、楽しいときも本がいつも助けてくれた。

2021年。大好きな父が亡くなった。
毎日泣いて、接客業だから頑張って笑っていたけど、みんなじゃがいもみたいに見えた。苦しいとか悲しいとか、言葉で現わせない気持ちが消えなくて、父の姿をいつも探していた。

1年くらいして夏葉社さんの【さよならのあとで】という本に出会った。
お父さんがいないけど、そばにいるような気がして少しづつ人が人に見えるようになった。
悲しすぎてやせっぽちになってしまった母にも同じ本を送った。
それから夏葉社さんの本を一冊一冊読んで読書感想文を書こうと勝手に目標を決め本を読み始めた。

読めば読むほど元気になった。
いつも父の事を考えていた。
その時に私が本が好きになった理由は小さな頃の父の言葉だと気が付いた。
言葉よりあの喜んだ表情が自然に身体に沁みついて本を読む事は
自分を喜ばせる事になっていたんだと思う。

父に沢山伝えたい事があったし、父からもらった愛情に父が亡くなってから沢山気が付いた。大きなお腹に抱きつきたかったけど、私は父の最後に会えなかった。

時間が経って父が夢に出てきたことがあって
普通に一緒にご飯を食べていた。
その顔を見て、父は私が伝えたい事なんて分かっていたんだと思った。

私はまた本に助けられた。
本は私にとってヒーローです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?