『20週俳句入門』のつぎは『この俳句がスゴい!』がオススメ
今年の6月にバイブルと名高い『新版 20週俳句入門』を読んだ。それから俳句関連の本を読み続けている。ざっと以下な感じだ。
そしていま、20週俳句入門の直後に読みたかった本に出会った。
小林恭ニの『この俳句がスゴい!』である。
僕は20週俳句入門の暗誦句を割と頑張って覚えた。暗記アプリも駆使して、出勤途中にぶつぶつ呟きながら覚えた。久々に受験生気分になった。
中には、意味もわからぬまま覚えた句もある。流石に連呼していると自分なりの景はぼんやり出来上がるが、正直、胸を張って鑑賞できる句は少ない。
そこで役立つのが『この俳句がスゴい!』である。
本書では10名の俳人が紹介されているが、うち5名は20週俳句入門に登場する。暗誦句も数句鑑賞されていた。
多分この本を読めば、いくつかの暗誦句は一気に覚えやすくなる。それくらいインパクトが強い。当時の時代背景と、俳人のキャラクターから、句が超立体的に鑑賞されている。
そしてなんと言っても文章がわかりやすい。例えば
のような感じだ。あっているかどうはさておき、僕にとっては納得感が高く、イメージが湧きやすかった。
20週俳句入門を暗記しているとき、山口青邨と加藤楸邨がよくごっちゃになったが、もう間違えることはないだろう。あんこうがぶち切られる句のイメージもガラリと変わった。
僕の中で、三鬼は気障男になったし、波郷は陽キャになった。続編の『これが名句だ!』もすぐにポチった。杉田久女や橋本多佳子(の句)がどんなふうに語られるのか、楽しみでしかない。
これまで小説ばかりを読んできた僕にとって、俳句関連のテキストは、読みにくいものが多かった。俳人の方々は、文章を俳句脳で緊密に書く傾向にある気がする。少しずつ慣れてきてはいるが、どうもリズムに乗れないまま、時間をかけて読み終えることが多い。
その点、『この俳句がスゴい!』はリズムが小説に近くて、読みやすかった。短編小説集の要領で、あっという間に読めた。そういう意味でも20週俳句入門の後に読むのにオススメだ。
タイトル通りに俳句のスゴさを、ドラマチックに感じられる一冊でした。小林恭ニ先生、どうもありがとうございました!
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