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初心者にとって、俳句が上達するとは

俳句を始めて8ヶ月目である。
『俳句ポスト365』で初級の優秀句に選んで頂けた。次回から中級に進む。

ひとつ節目になったかなと思うので、ここまでどう上達したかをまとめておきたい。

「1回、俳ポ初級金曜になったくらいで上達した気になるとは、不埒者め!」という声があるかもしれない。うっかりヒット説も否めない。

ただ、『俳句生活』で人になったり、『ラジオまどんな』で読んで頂いたりしたので、多少は再現性があると思う。あることにしてほしい。

その前提で、「ひとりの初級者の実感として、俳句が上達するとはどういうことだったのか」を書き記しておく。そうして今後、振り返る材料にできたらいいなと思う。

何事も上達の過程というのは人それぞれなので、誰の参考にもならないかもしれない。けれどもし、これから俳句の世界に飛び込んできた人たちにとって、1ミリでも参考になったら幸いです。

俺の屍を越えてゆけ!

作句数の推移

上達論について語る前に、作句数をまとめておく。こんな感じだ。

月間作句数推移 
[句会と、選者のいる媒体向けの作句が対象。投稿しなかったボツ句も含む。投句時にカウント]

5月から上昇し始めて、7月に100句を超えた。多分この先も毎月100句は詠むだろう。諸先輩方に比べれば全然少ないだろうが、初心者にとっては大いなる進歩だ。

作句数が増えた理由は2つある。

作句数増加のワケ1 Twitter開始

まず、5月からTwitterを始めたのが大きい。
なぜ始めたか?
「第4回 おウチde俳句大賞」授賞式の観覧者に当選したからだ。

せっかくだから授賞式で知り合った人と交流しようと思って、Twitterアカウントを用意して、いつき組の人をフォローし始めた。

これが沼の始まりだった。

僕は『プレバト!!』で俳句に興味を持って、今年から『夏井いつきのおウチde俳句クラブ』で句作を始めた。

Twitterを始めるまで僕は、ウチ俳以外の投句先を知らなかった。調べるという発想すらなかった。Twitterを始めていなかったら、月に数句をウチ俳に投句して、ハシ坊になったりならなかったりを、今も繰り返していただろう。

それが一気に、10以上の投句先を知ることになった。しかも無料の。

国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。
いいねの多いツイートを見ると新たな投句先であった。

それくらいTwitterには圧倒的な情報量があった。

あと、みんなで俳句を詠みまくる熱量。

Twitterを始めた当初、「俳句にハマった人がたくさんいる!みんなギヤマンとか訳わからんこと言いまくってる。こりゃやべーぞ」と思ったが、半月後には自分も同じようになっていた。
【注】ギヤマンは「夏井いつきの一句一遊」の 5/15 〆切の兼題

世の中の一般的な趣味基準で考えると、Twitter上のいつき組の俳人の多くは、ストイックに俳句にコミットしている。
【注】いま「自分はそうでもない」と思った方。多分それは勘違いです

なのでTwitter上でみんなのペースに乗っかって投句したり、句会に参加したり、情報をキャッチアップしていると、予想以上のモチベーションで俳句に取り組み、予想以上の時間が俳句に溶けていくことになる。俳句を詠む or 読む機会が圧倒的に増える。

これは普通にサラリーマンしながら、独力で辿り着くのは、かなり難しい境地だったろう。

だから夏井先生きっかけで、ちゃんと俳句をやってみようと思っている人がいたら、僕はまずTwitterでいつき組の方々をフォローするのをオススメする。それくらい貴重な、情報源とモチベーション源が、Twitter上にはある。

作句数増加のワケ2 『20週俳句入門』読了

ただ、やる気と投句先があっても、初心者にとって俳句を大量に詠むのは難しい。最初からスラスラたくさん詠める人もいるのだろうが、自分には無理だった。

そこで役立ったのが、『20週俳句入門』だ。

これは夏井先生の動画で知って、手に入れ、6月に読んだ。結果、俳句を詠みやすくなった。良し悪しはさておき、この本の型を知っておけば、大体の句材は、いわゆる俳句らしい17音に収められるようになる。

あとは、兼題に関して心震えるものを自分に問いかけて、手当たり次第詠むだけだった。そうやって、投句したり、句会に参加させて頂いた結果として、俳ポ初級金曜にたどり着いた。

ただ、ここが重要なポイントだが、僕は2、3ヶ月前に比べて、詠む句の平均レベルが飛躍的に向上したわけではない。

型に則ることで、多少の底上げはできたと思うが、基本的にはしょうもない句を量産している。それよりも、型にはめてたくさん詠んで自分なりに「まだマシかな」と思う句を投句するようになった部分が大きい。

初心者が上達するとは

つまり初心者が、毎週・毎月公募しているような媒体に投句して、入選するためには、「多作多捨できるようになる」ことがまず大事だと思う。

なんて当たり前のことを言ってしまった。ただ自分のことを振り返ると、作って捨てることが上達への近道だったと考えている。

中級者と認められる句を作るには。

ラジオの周波数を合わすように、実作の手応えを得ながら、句材を季語と響き合わせる必要がある。表現したいことを、季語にぶつけて響かせてみて、繰り返し情景を構築しなければならない。そうして、十七音を純度の高い結晶として仕上げていく。

その工程はすぐに収束するかもしれないし、何十句作ってようやく納得できる句に到達するかもしれない。

あるいは、自分で納得しても、投句してみたら、箸にも棒にもかからず、「周波数が合っているのはどういう時か?」について、特選句を読んでリセットしなければいけないかもしれない。

そうした多作と多読を通じての、一連の調律の過程が、俳句の上達だと僕は考えている。

俳句は短詩文芸だから、初心者でも、たまたま一発で周波数がピタリと合って、自他共に認める句が生まれることもある。ただ、安定的に調律できるようになるためには、毎回相応の試行数を確保する必要がある。それは、うっかりホームランが起こるのと同様に、確率的な観点から説明できる事象だ。

だから最も基礎的な俳筋力とは、たくさん俳句を詠む筋肉のことだと思っている。

もちろん多作にこだわらず上達する方法もあるだろう。だが、十七音の俳句は、試行錯誤して体得するのが手っ取り早いのではないだろうか。

そして、初心者がたくさん俳句を詠むためには、詠みたくなる環境と、詠む技術が必要だ。僕にその2つを提供してくれたのが、Twitterであり、『20週俳句入門』だった。

『プレバト!!』で夏井先生が蒔いた俳句の種は、Twitterという水と、『20週俳句入門』という日光によって芽吹きました。

そういう意味で、Twitterで繋がっている皆さまには感謝しかありません。

特に素敵な句会を開催してくださった、いかちゃん様、土井探花様、多喰身・デラックス様、ヒマラヤで平謝り様、句具様、井納蒼求様、広瀬 康様、新田 ダミアナ様、コンフィ様、にゃおっく様、池之端モルト様、登りびと様、着流きるお様、本当にありがとうございました(順不同)。

極端かもしれませんが、句会であれツイートであれ本であれ、目的意識を持って俳句を詠む or 読む手助けになるものほど、今の自分にとって上達につながるものだと考えています。

というわけで!

新しく頂いた俳句という杖を、ぶんぶん振り回していきたいと思います。そうして気づいたら、次のレベルに到達できていたら嬉しいです。次は夏井先生から選評を頂ける句を目指します。それでは皆さま、引き続きよろしくお願いします!


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