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「令和6年度 阿倍野区地域・避難所連絡会議」レポート

 皆さんこんにちは、あべのまちセンです!
 
 この記事では、2024年4月25日(金)に開催された「令和6年度 阿倍野区地域・避難所連絡会議」についてお伝えします。

 「阿倍野区地域・避難所連絡会議」は、阿倍野区内に避難所に指定されている施設・学校などの責任者の皆さまや、地域の防災に関わる皆さまが集まり、年に一度、有事に備えた情報共有を行う会です。

 また、今年度は、2024年1月に発生した能登半島地震の救助・支援に参加した各団体からの報告も行われました。



青柳区長によるオープニングトーク


 まずは、阿倍野区災害対策本部長として、青柳阿倍野区長からオープニングトークがありました。

 青柳区長は、1995年の阪神淡路大震災当時、宝塚に住まいがあり、震災によって家が半壊したそうです。携帯電話やインターネットも普及していない時代ですから安否確認のしようもなく、当時勤めていた大阪市役所からは「行方不明、生死不明」と認識されていました。
 
 被災した2、3週間後にようやく電話が繋がり、「生きていたのか」と無事を喜ばれたこともつかの間、自らも自宅が半壊した被災者でありながら、インテックス大阪の避難所に支援員として出向くことになります。
 
 極限状態の避難生活で支援員につらく当たってしまう避難者の方もいましたが、被災者、支援員双方の立場が分かる身として、誰も悪くない状況に様々感じることがあった、とのことでした。

 そんなとき、帰宅して支援物資の食糧や水を運ぶことにひと苦労していると、地域の人がお手伝いをしてくれたそうです。それからは、顔の見える関係で助け合うご近所付き合いが深まったといいます。
 
 こういった経験を踏まえ、「有事に備え、日ごろからのネットワークが重要です」と結んでいました。
 

 その後、避難所に指定されている学校や施設に関して、緊急連絡先、鍵の保管者の確認を行いました。

 こうした、普段からの顔の見える関係性の構築と、一つ一つの事項の細やかな確認が、有事の際の大きな備えとなります。
 

阿倍野警察による「被災地・避難所における犯罪について」


 続いて、阿倍野警察・城嶋警備係長より、能登半島地震の支援活動と、それに伴う「被災地・避難所における犯罪について」のご報告がありました。


 巨大地震などの災害が発生した際、警察はまず「情報収集、避難誘導、救出救助 、交通規制など交通対策、行方不明者の捜索活動」など、一時被害に対する直接的な対策を行います。

 そして、直接的な被害が落ち着いてからは、「備品、物品の窃盗」、「暴行」や、「義援金名目での詐欺」、「生活資金や事業資金の融資と詐欺」、「生活復興に関わる詐欺(例えば、水道管の修理などのぼったくりなど)」といった、避難所などにおける二次被害への対応・注意喚起を行います。

 今回は、特にこの二次被害を防ぐために、避難所などで過ごす際の注意事項を共有いただきました。

 避難所で起こりがちなトラブルとして、

・毛布など、備品の奪い合い
・避難者、ボランティアを狙った窃盗
・のぞき、強制わいせつなどの性犯罪

 などが挙げられます。被災者・避難者の間で、極限状態のストレス下においてトラブルに発展する事態や、災害時の混乱に乗じて部外者が紛れ込み、窃盗や性犯罪に及ぶケースもあるといいます。

 こういったトラブルを防ぐためには、

・毛布など、備品の奪い合い
→地域における、普段からの顔の見える関係性づくりや、ボランティア、福祉関係者などによる積極的な声かけや相談を行うこと。

・避難者、ボランティアを狙った窃盗
→出入口を明確にし、避難者名簿などを作って出入りをチェックすること(この際に、町会の名簿などが大きな役割を果たします)、また、各避難所間で情報共有を行うこと。
 
 ・のぞき、強制わいせつなどの性犯罪
→プライバシーを確保しつつ、お手洗いや更衣室などの導線に人の目が入るようにする、といった工夫を行うこと。(お手洗いが遠くにあったり、人目が少ないと、犯罪被害が起こりやすいそうです)

 以上のような心がけや工夫が必要、とのことでした。

 また、「生理用品」の扱いや、「授乳」に対する配慮など、女性避難者に配慮された環境づくりをするために、平時の訓練時から意識づくりや想定を行うことが大切です。

阿倍野消防署による「緊急消防援助隊大阪府大隊活動報告」


  続いて、阿倍野消防署から、能登半島地震への支援・救援活動報告がありました。

 大規模な災害が発生し、災害発生地域の消防・救急だけで救助をまかなうことが難しい際には、他府県から「緊急消防援助隊」が派遣されます。
 
 能登半島地震では、「緊急消防援助隊大阪府大隊」が組織され、阿倍野消防署からは27名の隊員が派遣されました。
 
 緊急消防援助隊大阪府大隊が被災地に向かったところ、特に能登半島地震では交通インフラの被害が大きく、発災後24時間経過したあとでも、現地の機関は機能麻痺しており、救助活動が満足に行えていない地域もあったそうです。
 
 緊急消防援助隊大阪府大隊は、全国から駆け付けた緊急消防援助隊の中でもいちはやくに救助活動を開始したうちの一つでした。特に、 阿倍野消防署には大阪市内で唯一、ショベルカーのような災害時対応の重機が配備されています。そういった重機で崩れた道を切り拓き、後続車両の通り道も作りながら救助へと向かいました。
 
 救助現場に着いてからは、重機などを使用すると、がれきの下の要救助者を傷つけてしまう可能性があるため、手作業で救助活動を行います。大阪府大隊は、がれきの下から13名を救出しました。(うち生存者は2名でした。)
 

 また、輪島で発生した、全200棟、約5万平米が焼失した火災について、もともとは一軒からの出火だったともいわれています。交通の便がままならない劣悪な環境では、消防だけでは早急には対処し切れないこともあります。それゆえ、日ごろからの備えが必要だ、とお話されていました。


 仮に大阪・阿倍野に大きな地震、災害が起こった際、大阪の交通の便であれば、30時間あれば各地から消防部隊が救援に来る、と想定できるそうです。しかし、その30時間を阿倍野消防署の活動だけで乗り切ることはできません。そうした際に、地域防災リーダーといった地域のプレイヤーを中心に、「30時間をどう乗り越えるか」を想定することが大切です。
 

阿倍野区役所藪野さん・高畠さんによる「能登半島地震被災地支援活動報告」


 最後に、阿倍野区役所市民協働担当・藪野さん、住民登録担当・高畠さんから被災地派遣報告がありました。

 お二人は、石川県輪島市立大屋小学校の避難所に派遣され、避難所運営のサポートなどをされていました。
 
 避難所では、水道が断たれていたり、水の供給などが少ない中でも衛生状態を保つことが求められます。支援員は防護服を着るなどしながら、感染症感染者の隔離対応や、トイレ、洗面などの衛生面を管理します。 

 藪野さん、高畠さんが派遣された被災後3週間の時期には、さまざまな物資のほか、保健師といった専門的な支援員なども揃っていたそうです。しかし、被災から最初の1週間は全く支援が行き届いていなかった、とのこと。

 こうした、外部からの支援が充実するまでの期間を乗り切るために、地域のコミュニティは大きな役割を果たします。

  大屋小学校の避難所においては、「御当組」と呼ばれる昔ながらの地域コミュニティが大きな役割を果たしていたそうです。町会加入率がほぼ100%、避難者のほとんどが顔見知り、という環境が、もともと避難所ではなかった大屋小学校での、自主的でスムーズな避難所運営を可能にしました。

 藪野さん、高畠さんは、大屋小学校の避難所の事例から、

・現場責任者の必要性。
・発生初期の対応次第が、のちの運営に大きく影響を及ぼすこと。
・地域主体の避難所運営は、目配り、気配りが行き届きやすいこと。
・地域が主体になったうえで、行政職員や、他都市からの派遣職員との連携を計ること。

 の重要性を感じられたそうです。また、

・女性や要配慮者の専用スペース。
・ペットの問題。
・授業再開に向けた学校との連携。

 →学校が避難所として利用されている場合でも、子どもたちがいち早く学びの場に戻るため、なるべく早い「教育機関としての学校」の再開が求められます。

 といった課題にも気を配る必要がある、とお話されていました。

 
 もちろん、輪島市と大阪市では人口密度や地域性も全く異なるため、御当組のような組織・仕組みをそのまま再現することはできません。それでも、普段からの地域のつながりや地域活動が、有事の際の大きな備えとなることには変わりません。

まとめ

 以上、「令和6年度 阿倍野区地域・避難所連絡会議」の様子をご紹介しました。避難所の緊急連絡先や鍵の確認、そして、警察・消防・区役所職員から、能登半島地震の救助・支援活動から得られた、災害時の注意事項や、有事に備えて普段から心がけることについて、共有がありました。

 あべのまちセン、また、阿倍野区の各地域活動協議会をはじめとする地域活動の担い手は、防災訓練などを通じた防災に対する啓発を行っています。今回の連絡会議で共有された現場の生の情報なども参考にしながら、今年度も防災に関する活動を行って参りますので、地域の皆さまのご参加をお待ちしております。

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