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世話がヤケるぜ

過日、自宅本棚の整理をしていた所、背表紙が日焼けしていることに気がついた。
それはまあ当然のことである。
南にある窓に対し、本棚は北にあり、日中カーテンを開けておけば日差しは本棚に向かって差し込むのだ。
嫌だな、と思った。「あずましくないな」と自分の故郷である北海道弁で思った。

うちの本棚は手前と奥の二列に置けるもので、手前には特に好きな本を置いている。つまり一軍。
奥は一部は署名本とか、そういう貴重な本で、あとの多くは二軍の本たちだ。
ではこの二軍を前面に持ってきたら大切な一軍の日焼けを守れるということになるのであるが、一軍の本というのは背表紙を見ているだけで心躍り鼓舞してくれるのであって出来れば見えるようにしておきたい。

じゃあカーテンを閉めておくか、ってーとそうすると部屋全体が陰気臭くなり、嫌だなと思う。詳しくは知らないが風水とか、各種スピリチュアル的にも、運気の低下になりそうで落ち着かない。
そしてなにより太陽光が本棚を照らす光景というのはなんというか、フェルメールにむかって「いやあ、オタクはこういう光をキャンバスに刻もうとしたのね、分かるわー、まじ共感」と軽口を叩きたくなるほど素敵な光景なのである。

パラフィン紙やグラシン紙で本を保護するという手もあるが、単純に面倒臭いというのと、何冊かならいいけれど、本がすべてあの半透明の紙で包まれているという光景はちょっと気が引ける。

 いろいろ観察した結果、日焼けしやすい位置があるのと日焼けしやすい背表紙の色があることが分かった。赤橙ピンクなど暖色系は日焼けしやすい。ではその辺の色のものを日焼けしずらい位置に移す、とするとこんだあ、てんでばらばらの並び、思想のない本棚に成り果て、片付けする前より散らかった末、「もうええわ」と自分とは何のゆかりもない関西の方言でつぶやいた。

くたびれて畳の上に大の字に寝転がり、
「日焼けも含めて、ワシの蔵書じゃー」とこれまた縁もゆかりもない広島県呉市の極道のような口調で腹を括ってみたものの、そう簡単に豪胆になれるわけもなく、どーしょっかなあ、といつまでも煩悶。

みなさん本の日焼け対策どうしているんでしょうか。


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