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三島由紀夫「自動車」

三島の放心状態が伝わる作品。
九鬼という中年(だろう)男が教習所で一人の少女と会い……そんな話だ。
九鬼の少女に対する苛立ち(彼女は車の話ばかりするのだ)は、三島の小説世界に対する苛立ちに繋がっていたかもしれない。

ただ、少女の書き方はなかなかチャーミングで、そこまで悪くない(と思う)。
この少女を仮説の世界で自由に動かすのは、しかし三島にはできないことだったとも思う。

発表年は1963年。三島由紀夫38歳の作品。この前の年、三島は免許を取っている。
その体験を使ったのだろう―成功してはいないが。

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