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車から聞こえるヒュイーンって音、実は作ってます。

車が低速で通過する時、ヒュイーンやポワーンと未来感のある音が聞こえた事皆さんあると思います。ハイブリッド車や電気自動車などが普及している今、この音をモーター音だと思って過ごしてる方も多いのではないでしょうか。しかしこれはメーカーが作ってる音で車外にスピーカーがついているのです。
今回はナゼそんな音を鳴らしているのか、どんな時に鳴るのか、メーカーごとの違いなど紹介していきます。


ヒュイーンという音の正体

近くのクルマが低速で通過している時にヒュイーンという音を聞くと「電車等でよく聞こえるモーター音だ」と思う人も多いかも知れません。
しかし多少機械音も混じっていても大きく聞こえてくるポワーンという音はモーター音ではなくスピーカーから出てる人工音。
「車両接近警報装置」と呼ばれるものです。

なぜ音を鳴らしているのか

まず、ガソリン車など内燃機関を搭載したクルマは音を発生させていません(一部スポーティーさを演出するため疑似エンジンサウンドを車外に流してるクルマもあります)。対して、ハイブリッド車やバッテリーEV車は人工音を流しています。
純エンジン車では鳴らさずモーターを搭載したクルマでは鳴らしていることからも分かるように、モーター走行は静かすぎるからというのが理由です。

鳴らないと困ること

人間は視覚や聴覚で周囲の状況を判断して行動しますよね。
例えば後方からクルマが接近しきた時、目には鏡や影以外の情報はなく分かりにくいため音で判断します。
エンジン音がしていれば当然気が付きますし、速度域が高いクルマは風切り音やタイヤと道路の摩擦音がします。
しかし日本でハイブリット車が市販された当初(初代・2代目プリウス)にエンジンのかかっていない状態の低速時のモーター走行は無音すぎることが問題視されたのです。
道路は歩行者優先とはいえ全ドライバーがマナーを徹底しているとはいえない状況や狭い道の多い日本では譲り合いも大事であり、歩行者が自らの身を守るための情報も大事といえます。
また、視覚障がいの方にとってはもっと深刻な問題です。

日本発、世界基準の決まり

この「車両接近警報装置」を搭載し始めたのは、2010年~発売された3代目プリウス(オプション設定)電気自動車の日産リーフ(標準装備)、この時は国交省のガイドラインに沿って設定されたものでした。
その後、世界中でハイブリッド車が発売され日本同様に無音走行を問題視した議論が始まります。そして日本が開発していた車両接近警報装置をベースに国際基準が採択されます。日本のガイドラインが世界の基準になったのです。

そして2016年に日本でも国交省が国際基準に則った改正を行い、ハイブリッド車や電気自動車に車両接近警報装置の装着を義務化します。新型車が2018年から継続生産車は2020年から装着が必須となりました。義務化されたのは意外にも最近なのです。
街中でよく聞く音とはいえ登場したのは十数年前、それだけハイブリットや電気自動車が普及しているともいえますね。

昔はヒュイーン音消せました

ガイドラインベースの時代と法改正で義務化以降では大きな違いがあります。法改正以前からオプション設定や標準搭載していた国産ハイブリット車も多く、街でヒュンヒュンなってるクルマが2020年以降に発売されたものとは限りません。ですが義務化以前は音を鳴らさないよう設定できるものもありドライバーの任意で調整できたのです。安全性の観点から義務化以降その機能は廃止されました。

色々な種類の音

国際基準となった車両接近警報装置ですが20km/h以下で鳴らすなど一定の指定はあるものの統一された規格などはありません。そのためメーカーやモデルごとに様々な違いがあります。

各メーカーの作動条件

まずはメーカーが考える安全性に基づいた作動条件の見てみましょう。
早期から電動駆動車を積極的に導入している国産メーカー3社で
比較すると

  • HONDA:約25km/h以下で走行中

  • TOYOTA:約25km/h以上で止まる

  • NISSAN:発進時30km/h以内、減速時25km/h以下、シフトがRの時

各メーカー表現の仕方に差があるため明確に比べることは難しいですが大体同じ速度範囲で作動することが分かります。保安基準プラスαでメーカーの安全基準が決まっているということでしょう。

車両の接近を知らせる必要のない停車時0km/hの時は作動しません。また、約30km/h以上の速度域ではタイヤや風といったノイズが発生しだすため装置を作動させなくても無音ではなくなるという事も考えられています。

メーカーが工夫している音

単にヒュイーンという音が聞こえてきて気が付いた頃には歩いてる自分の真横にいるなんて事が起きたら意味がないですよね。
各メーカー様々な工夫をしていて例えば速度に応じて音量が大きくなったり、音域が変化したりします。また何種類もの周波数を混ぜ色々な人に聞こえやすい演出をしているのです。
最近は後退時に前進時とは違う音色を流す車も登場していてより分かりやすい進化を遂げています。

モーター風な音である必要性

ここで1つ疑問が浮かびますよね「車の存在を示す装置ならヒュイーンとかモーターっぽい音にする必要ないじゃん」と。
ですが存在を示すだけでなく「車両の走行状態を想起させる連続音」という決まりがあり、メロディやチャイム・警音器・動物の鳴き声・自然現象の音など「常識的に車両から発せられることが想定できない音」は不適当とされています。
つまり「車っぽくない音は禁止」ということです。
メーカーから明確な回答は無いようですが、人が不快にならずに車だと分かりやすくモーター駆動らしい音としてモーター音風の音色が多く採用されていると考えるのが妥当でしょう。

個性派サウンドは誕生しないのか

更にもう1つ疑問が浮かびませんか?「車っぽい音なら他にももっとあるじゃん」と。確かにエンジン音などを演出するクルマや各メーカーの違いが分かるような音を出しても良さそうな気がしますよね。
実は各メーカー若干違う音を出しています。街中でハイブリッド車を見かけたらエンブレムをみて聞き分けてみてください。これがトヨタか〜日産か〜と分かると少し面白いですよ。
更にトヨタでは2020年頃からモデルごとに異なる音の演出を加えています。ベースは同じでもモデルごとに個性を出していくハイブリットの先駆者らしい取り組みです。

とはいっても気にしなければ全部モーター風の同じ音といってもいい状況。今後、電動モデルは更に増加し様々なメーカー・ボディスタイルのクルマが誕生することは間違いないので、基準をクリアした個性派サウンドに期待したいですね。

(もちろん個人で音をカスタマイズするのは禁止です。安全基準がそれぞれクリアしたものが再生されています。)

まとめ

さて、今回は「車両接近通報装置」について紹介しました。ヒュイーンという音の存在は知っていてもモーターの音だと勘違いしてる人が多く、人工的な音だと知っている人は少ないということを知り記事にしてみました。この音を聞いたら友人や家族にうんちくを語ってみてはいかがでしょうか🤭

最後に

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