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ショートヘアしか選べません

あたしって0才からずーっと短い髪。で、とーってもきもい。最近のばしていいっていったくせにまた切るって…。じゃまっけならしばればいい!「中学生になったら髪のばしていーい?」って聞いたらダメだって。「女の子」でいる間に髪をのばしたいの!Yちゃんは自分であの髪型がいいって言ってるけど、あたしは違う。ちょっとぐらい、1回くらい、できればずーっと自由にさせてよ!

日記より

私の家では、自分の好きな髪型にしていいというルールは存在しませんでした。弟は丸刈り、私は耳ががっつり出るショートヘア。男の子モノのお古の服を着ていたこともあり、男の子に間違えられることもしばしば。思春期の女子に性別を間違えられることは結構なショックでした。

ダメなのであればその理由があるのだろうと聞いてみたことがあります。「髪の毛が長いと邪魔だから」、とのことでした。何も納得できませんでしたが、言うなりになるしかなく…。本当の理由は何だったのでしょうか。恐らくですが、外見に気を遣うようになり、ませて勉学に励まず親に反抗的になり育てにくくなることを恐れていたのではないかと思います。

髪型だけでなく、我が家にはありとあらゆるルールがあり、それらは全て子供たちの意向が全く反映されずに施行されていました。がんじがらめに縛られていました。家から出て自由に生きたいと願う日々でした。

しかし、自由は急に与えられました。ルールで子供たちを縛りつけていた母が病死しました。ルールはなくなりました。が、自由に自分で選択することをしてこなかった私に、自由は大きすぎました。何を自分がしたいのか、どうしたいのか全くわかりません。母という選ぶべき正解がわからないまま、今もどこかで母の正解を探って生きている感じがします。

選んで失敗してを繰り返して、自分の中の正解を探していくしかないんだと思います。しかし、子どもの頃から選択の練習をしてこなかった私は、大人になっていきなり選択が上手にできるわけもありません。結婚相手を選んでは失敗したり、転職を繰り返したり、うまく選択ができずに自分を責めていましたが、今選択の練習をしているから仕方ないのかもしれません。大人が選択を失敗したときのダメージは大きいので、やはり子供のころに選択の自由を奪った母にはもの申したいです。

髪型に関しては、大人になってから色んな髪型をする中で、ショートヘアが似合うし好きだと思いました。強制でのショートヘアと自分で決めたショートヘアは、同じ髪型でも意味が全然違います。選択の自由って必要だなと思いました。

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