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義実家を敵と認識する母

祖父母は父母両方とも市内に住んでいました。どちらの家も車で20分以内で行ける距離でしたが、母方には週一以上、一方父方には3カ月に一度程度(必ず父も一緒に)と訪問回数には圧倒的な差がありました。

母は実家が大好きで、父の実家が苦手だったからでしょう。父の実家では、子供の目から見てもわかるくらい祖父母に気を遣いまくっていました。父には姉が2人いて、同じく市内に住んでいました。おばさんたちは美意識が高く、キラキラしていました。気後れをしていた、というのも理由の一つかもしれません。本当のところは私がわかっていないだけなのかもしれませんが、知る限り母は嫁としていびられていませんでしたし、優しくしてもらっていたと思います。

教育には強いこだわりがあった母。例えば父方の祖父母が孫たちへ何かを買い与えたり、おやつを食べさせたり、テレビを見せたりということを嫌がります。でも母からは気を遣って祖父母に本音が言えません。家に帰ってから、また母の実家で愚痴をいうので、私たちは祖父母が良かれと思ってしてくれたことを母の顔を伺って上手に断らなければなりませんでした。

正直、子供の頃は父方の祖父母の家に行きたくありませんでした。母と母が気を遣っている祖父母に気を遣わなくてはならないし、いとこと関係が作れていないし(母の教育ルールのため、遊びや話についていけませんでした)、どうふるまっていいかわからず居心地が悪いからです。おばさん家族たちに比べて圧倒的に訪問回数が少ないので、場慣れしていないし勝手がわかりませんでした。

私は一度結婚していたことがあるので、義実家に対して「悪く思われないようにしないと」と気を張って気を遣いまくっていたので母の気持ちもわからなくはありません。義実家とうまくやるのは、夫のためと思っていましたが、よく考えると自分が嫌われないため。つまり自分のためです。でもこれは当時の私にも言いたいのですが、気を遣えば遣うほど相手にも気を遣わせて距離は縮まらないし、ひとにもよりますが、義理の実家=恐るべきものでは必ずしもないと思います。

子供にとっては父方の祖父母も、母方の祖父母もどちらもおじいちゃんおばあちゃん。親がそこに差をつけてしまうのは違うと思うのです。義理の実家を「苦手、行きたくない」と思う母の気持ちは否定しません。だけど実家で子供がいる前でそのことを話したり、わかりやすい態度をとったりするのは微毒親な行為だと思います。

母の実家は母の味方なので、母の話を信じて、父方の祖父母とは溝ができます。母が病気になると、父のせいだという始末。こうして両家の溝は深まり、孫は両家の間に挟まれしんどい思いをしました。未だに両家の関係はよろしくありません。母が残した負の遺産です。

私は子供の頃から、人の顔色を読んで適切だと思われる発言や行動をしてきました。それはもうすっかり癖になり、仕事でよいサービスを提供したり「いいひと」と思わせたりするためにはスキルとして役立ってはいます。ただ必要以上にやりすぎると何より自分が疲れるし、そもそも無意識でやっているから手加減なんでできないし、自分の気持ちが迷子になります。治せるものなら治したいし、自分の嫌なところの一つです。

だけど、この癖は子供の頃の自分を救ってきたものでもあります。母を始めとする周りの大人の顔色を読んで行動したからこそ、母の不機嫌攻撃を最小限で留められたし、結果として自分の母からのストレスを減らすことができたんだと思います。経済力も人生経験もない幼い私がどうにかして自分を守るためにとった行動だったということです。「治さなきゃ」ではなく、「緩められたらいいね」くらいの気持ちで向き合っていけたらと思います。


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