鎌倉、小町通りの成功店舗の共通点と早期撤退店舗の共通点

 
  鎌倉は年間2000万人が訪れる観光地だった。
 大規模な観光客を対象に店を開いて大成功を求める人たちは後をたたない。

 小町通りの店の殆どはいつも人が出入りし、店員の声も明るい。そして店を軌道に乗せ二店舗目を鎌倉に展開させるほど成功した店も多々ある。鎌倉に店をもつ夢は未来を輝かしいものにするサクセスストーリーになり得る。
  
 しかし、鎌倉の栄枯衰退は激しい。隣の店は客で溢れているのに人のいない店内から歩き去っていく観光客を暗い表情で眺めている店員は珍しくない。

  近年に開店して鎌倉に根付いた店もあれば、去っていった店がそれ以上に存在する。誰の話題にもならず誰の記憶にも残らず消えていくのだ。

  けど鎌倉に出店するなら成功したいだろう。  そのヒントを書いていく。

  成功した店と失敗した店を比べたところ、成功した店の共通点と失敗した店の原因を発見できた。
  鎌倉在住の土地勘も使って理由を説明していく。

 これを読めば定番の失敗を避けることもできるし、運営の方針に悩んだときなにを参考に考えればいいのかがわかるようになるはずだ。
 少しでも店舗経営を安定させる為の道具として本文を使ってほしい


  小町通りと駅周辺の概略図が以下の通りだ。

  

 これに店の繁盛具合を色別で示してみよう。
赤く濃いほど賑わいが高く、青く濃いほど賑わいが少ない。

 小町通りの中心部が一番濃く赤い。逆に入口と終端は薄い。脇道はほとんど青だ。
  段葛の反対側は一部ピンクと赤。それ以外は基本青と思ってもらっていい。

このおとり、小町通りと言えど、立地条件によって店の繁盛具合は大きく変わる。

簡単に解説していこう


  小町通りで最もホットな場所、客の購買意欲が高まる場所が小町通りの中盤だ。ここは道が狭くなって両側から店が威圧感を持ってアピールしてくる。さらに人が詰め込まれて観光地らしい混雑さを味わえる。
 コロナで行列は短くなったけれども、今でも安定してお店に客が入っている強いエリアだ。

  小町通り入り口は薄いピンクだ。駅近の好立地なのだが人が止まりにくい。小町通りに着いてさあどんなところか、と楽しみに歩いているうちに過ぎ去ってしまうのだ。事実、流れと勢いで入店する小物売りの店は入れ替わりが激しい。
 昼食をとれる店や、そこの店にいくためにくる有名店などが長く続いている。 

 小町通りの細い脇道は駅チカであっても青い道がある。なぜなら観光客が通らないからだ。
 ゼロではない。しかし殆どが地元住民だ。通勤や買い物の為に通る生活道になっている。証拠といってはなんだか、長く続いている店は居酒屋、眼鏡屋といった地元住民の生活店だっりする。曲がり角一つで環境が大きく変わるのが鎌倉だ。

 小町通りの終端はジェットコースターの終わりと同じだ。刺激的な道中を味わって「楽しかった」と満足してあとは降りるだけ。小町通り終端では道幅が広くなり突然人混みがなくなる。
 店の量も減って穏やかな鎌倉の道を味わえる。
 緊張が抜けてリラックスするのが実際歩くとわかる。同時に購買意欲も抜けてしまうのが問題だ。ローソンが一年を保たずに潰れたことがあるくらい困難な場所だ。ここで生き残っている店もあるが、それはちゃんと理由がある。今近くで新築が1階にテナントを募集しているがオススメはしない。理由は後述する。

  段葛の周辺を見ていこう。小町通りの側の歩道はピンク。道路の反対側は駅方面が青。鶴岡八幡宮に近い場所は薄いピンク。
  段葛の向こう側は殆どが青だ。なぜなら段葛の向こう側は民家の集まった生活区なのだ。いくつか神社仏閣はあるけれど大量の観光客が向かう流れはない。ゆったり散歩が楽しめる場所だ。
 小町通りの脇道からまっすぐ正面にある蕎麦屋だけピンクにした。小町通りの脇道から正面にあり、ちょうど横断歩道の側でアクセスしやすい立地だからだ。テレビで紹介されてからさらに勢いついて店前に列ができている。

 鶴岡八幡宮に近い場所は入れ替わりが緩やかだ。どの店も長く続いている。鶴岡八幡宮からの帰り道に立ち寄るお土産屋と昼食場所として機能している。ただどこも長く続くので老舗だらけで新規展開は難しい。大企業チェーンカフェが近年開店したくらいだ。
 *2021/07/30 1軒テナント募集が出ていた。珍しい。チャンスだ。

 御成通りはどうなのか。ほそぼそとやっているようだ。最近蝶屋梅酒が出店したり、ビルの工事が始まっていたりと将来性はある。自分の力で御成通りを盛り上げられるなら挑戦してもいいだろう。もともと地域の生活店が多かった場所なので地元住民向けの店もありだろう。最近昔からあった八百屋が閉店したこともあって需要はあると睨んている。


景気のいい店の特徴を先にあげておこう。
 ・原価が安い。
 ・シンプルな品物。
 ・立地がいい。 
 ・広告や看板などを工夫してある。
 
 上記4つを覆す例外に『家賃が安い』がある。

商品について
 繁盛店の商品のシンプルさは高品質だ。

 「良さそう!」と手に取れば間髪入れずに「良い!」思えるようになっている。

 一方、売れない店の商品は【商品提供の工夫】を客に押し付ける。【○○の工夫を凝らした商品です!】といった宣伝文句をよくみるが、
工夫は経営者が負うべきことでお客には関係ない。

 「工夫を評価しよう」となったらそれは同情である。同情で商売は続かない。
 (とある障害者雇用のパン屋は最初上手く行ったが、結局数年で潰れた。その後店のクオリティを勝負にしたパン屋で再出発した)

立地について

 立地が悪ければ商売が成り立たない。そんな訳はない。

 上記の地図に示した青色の部分で長らく商売を続けている店は沢山ある。立地にあった商売になっていないだけだ。
 例えばソフトクリームや団子などの小さいお菓子屋や小物のお土産屋の主流客は流れに沿って歩いてきた人の気まぐれだ。こういった店は人の流れが多いホットスポットに建てなくてはならない。

 逆にホットスポットの必要がない商売は昼食屋と専門店だ。どちらも個性が強い程外れた場所でやっていける。なぜならその店目当ての客が多くなるからだ。知名度を上げて直接店を訪れる人を増やすのだ。例は下記の有料部分に書いてある。

 場所を考えれば対象を観光客だけに絞る必要はない。洋服と刺繍をする店が小町通りの脇道にできていた。鎌倉は犬を飼っている人が多い。ペットグッズはお金が落ちる。地元の人の心を掴めば長く愛される店になれるだろう。なにせ他に似たような店がない。

広告について

 大量の見せ付けるがひしめき合う小町通りで売れている店は存在を把握しやすい。何故かと分析したところ広告や看板の工夫だった。若い店ほど頑張っている。名前が売れて鎌倉の代表になっている老舗はあまりやっていない。(豊島屋のような大企業は別である)
 どこもシンプルな方法で自分たちの店を宣伝している。実行だけならハードルが低い。そして効果はある。


 具体例の解説は以下の有料部分に書き記した。詳細に興味がある人は買ってみてほしい。


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