Accent and Idea

個性的な育児や子どもの教育を中心に、家庭の一コマを書き残します。 基本右利き、時々左利…

Accent and Idea

個性的な育児や子どもの教育を中心に、家庭の一コマを書き残します。 基本右利き、時々左利き、稀に両利きで頻繁に左右盲を起こします。 独特さを封印して、普通の人間の振りをして暮らしていますが、個性豊かな同士達が強みを生かせる世界や仕組みを求めて活動することを密かに決意する。

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  • 勉強をする意味と理由

    勉強をする意味と理由について、小話形式で語ります。

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    日々の雑感をまとめます。

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そうか、自分のためだったのか

子どもに勉強をさせるとき、しつけをするとき、 ついつい、子どものためだと思ってしまう(声に出てしまう。)。 でも本当は、それが子どものためではないことを私は知っている。 子どもに勉強させるとき、しつけをするとき 子どもに勉強してほしいと思うとき、 ちゃんと勉強できれば、学校で恥をかかないとか、 将来いい学校、いい大学に入れたら、とか いい学校に入れれば、一流企業に就職できて、とか ついつい、自分が子どもの頃に親から言われた価値観を押し付けてしまう。 現実問題として、子ども

    • 【SS】雪解けアルペジオ

      冬用のコートをクリーニングに出した帰り道。 駅前の広場で一組の男女が言い争いをしているのに気が付いた。 ここでよく見る二人だった。 路上で弾き語りをする男と、熱心な女のファン。 昨年のクリスマス、極寒の吹雪の中で歌っているのを見かけて以来だった。 二人の言い争いによると、男の指が軽い凍傷にかかり、完治までギターを弾けなくなったそうだ。 女はそんなことも知らないので、毎日ここに来てはガッカリしていたらしい。 二人の言い争いは、見事なまでに不協和音の応酬だった。 マイナーコ

      • 【SS】春ギター

        「お前、春ギターじゃん」 「先輩、なんすか?春ギターって?」 今年も軽音部に新入りがきた。 俺は、彼の指使いを見て言った。 2年前の春、入部したての俺に先輩が言った。 「新入り君、君、レギュラーチューニングなんだね。オープンチューニングにしてみたら?私がそうだからその方が教えやすいし」 「お、おお」 元々人見知りな性格な上に、女性と話すことに慣れていない俺は、うまく返事をすることすらできなかった。 「ゆっくりでいいから、心を開いてね。心もオープンチューニングだよ」 花びら

        • 【SS】オバケレインコート

          「調査の依頼?アメリカから?何の?」  ここは電車の中だ。俺は口元の携帯電話を手で覆って声をひそめた。 「オバケレインコートの正体?聞いたことないぞ。とりあえず事務所に戻る。」  所員の聞き取りによれば、調査会社に勤めているアメリカ人が、留学中にオバケレインコートの話を聞いたらしい。そして、つい最近思い出して調査を依頼してきたというのだ。俺は、まず、依頼人の留学先に向かった。 「なにか、心当たりはありますか」 「多分あれだと思います」 「あれとは?」 「ちょっと再現してみ

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          【SS】深煎り入学式

          「君が出るのは浅煎り入学式でしょ。こっちですよ。」 皆が向かう建物とは反対に、係員が指さす方向には、小汚い建物があった。 「僕もこっちがいい。」 「いいえ、こっちは深煎り入学式です。君は適正試験で浅煎り入学式に出ることになったんでしょ。」 「いやだ、いやだ。絶対にこっちがいい。」 「深煎り入学式に出る子に、そんなわがまま言う子はいません。」 僕はやむを得ず小汚い建物に向かった。 浅煎り入学式でも、校長の訓辞があった。 個性の強い子は浅煎り、粒のそろった子は深煎りに分け

          【SS】深煎り入学式

          【SS】命乞いする蜘蛛・錦鯉釣る雲

          「どうか命だけは助けてください」 蜘蛛がお釈迦様に命乞いをした。 すでに死んでいるにもかかわらず。 「お前の糸は、血の池で溺れるあの悪人を救うことはできなかったが、もう一度試してみるかい?」 「はは、なんなりと」 「誤って別の地獄に錦鯉として落とされてしまった者がいる。かの者を釣り上げて欲しい」 蜘蛛は地獄に降りた。 そして、雲の上から一本を糸を垂らした。 錦鯉は、お釈迦様の意図を知っていたかのように糸を咥えた。 蜘蛛は一生懸命に糸を引っ張る。 錦鯉は徐々に空に釣り上げ

          【SS】命乞いする蜘蛛・錦鯉釣る雲

          【SS】桜回線

          「戦略レベルで愚策、戦術レベルで無策、そして責任を現場の努力に押し付ける。それがこの国のやり方だ」  ヘッドマウントディスプレー(HMD)を付けた男がぼやいた。 「注意の瞬きを避けるのにカメラを使うのはわかる気がしますが」  隣の男もHMDを付けている。 「AIを使う予定だったらしい」 「EUで禁止されたからですか」 「それ以前の問題だ。精度が出ない」 「それで今、我々がHMDつけているんですね」 「そうだ。5G回線を使ってるから、確かに遅延もなく映像もきれいだ」 コー

          【SS】桜回線

          【ss】満月ガスとバス

          「今日は満月でしょ?満月の日にお風呂で取ったオナラを相手に吸わせると両想いになれるんだって。」 「満月ガスをバスで取るの?嘘でしょ?恥ずかしすぎる。できるわけないよ。」 友人はまじないが好きだ。私は全然信じていない。 「ただいま、お母さん、お風呂沸いてる?」 「沸いてるよ。次郎が部活から帰ったらすぐ入りたいっていうからさ。」 私は早速お風呂に入った。そして、用意した小瓶を湯船に沈めて…。そこからの説明は控えよう。無事に満月ガスを製造したのだった。 「ただいま、風呂沸いてる

          【ss】満月ガスとバス

          【ss】三日月ファストパス

          なぜ神話の登場人物は何百年も生きたのか? これは一つの仮説である。 アダムは、満月を恐れた。 イブにキツく当たられるためである。 神様はアダムを不憫に思い、三日月の日まで時間を飛び越える三日月ファストパスをプレゼントした。 しばらくすると、イブは満月の頃にアダムがいないことに気が付いた。 そして満月の夜に神様を詰めた。 神様はやむなくイブにも三日月ファストパスを渡した。 アダムは、また毎月イブにキツく当たられるようになった。アダムが三日月ファストパスをいじっていると、時

          【ss】三日月ファストパス

          【SS】「お返し断捨離」からの「蒸し返しダンサーに」

          結婚して間もなく習い事のダンスを止めることになった。 夫の給料では食べていくのが精いっぱいで、習い事までお金が回らなかったためだ。 私は、ダンスの衣装を見るたびに夫と喧嘩した。 何度も何度も蒸し返して喧嘩した。 ある日夫がこう言った。 「思い出すなら衣装を断捨離しよう。」 と。 平日の昼間、私は断捨離を決行した。 ただし、衣装ではなく夫のプラモデル。 棚を占領している大量のプラモデルは、素人の私がみてもわかるほど丁寧に作られていた。 いったいどれくらいのお金と時間をプ

          【SS】「お返し断捨離」からの「蒸し返しダンサーに」

          【SS】突然の猫ミーム

           二次著作の在り方が問われる中、アニメの題材に頭を悩ます男が二人。 「監督、題材は見つかったかね」 「見つけましたよ。名作です。僕も大ファンで」 「それはよかった。だが、流行らせるためには、新規性と親近性の両方が必要だ。どうやって目新しさを出すつもりだい?」 「登場人物を全員猫にします」 「突然の猫ミームだね。確かに話題にはなりそうだ」 「でしょう。いいアイデアだと思うんです」 「しかしだね、今、二次著作で大幅な改変を世間が許すかどうか」 「僕だって元々作家の端くれです。小

          【SS】突然の猫ミーム

          【SS】レトルト三角関係

          同窓会に参加するため、40年ぶりに帰国した。 俺は、高校卒業と同時に海外移住していた。 卒業式の日、A子とB美の二人から告白された。 二人は親友同士、そして告白も同時だった。 俺は答えを保留した。 A子は地元に残り、B美は県外の大学に進学すると言っていた。 二人には、どちらにも連絡しない約束をした。 三人の関係は加熱殺菌されてレトルトパウチに封入されたのだった。 同窓会では大いに盛り上がった。 A子とB美に挟まれて、レトルトパウチに詰め込んだ甘酸っぱい青春が湯煎されてい

          【SS】レトルト三角関係

          【SS】洞窟の奥はお子様ランチ

          姉弟が洞窟に入る。 奥に生息している薬草が目当てだ。 病に伏た母のために。 姉は分岐の度にパンをちぎった。 暗くて迷子になりそうだ。 二人は幾多の仕掛けを潜り抜けた。 擦り傷切り傷で服もドロドロだ。 しかし薬草にはたどり着けなかった。 姉は出直そうと考えたが、道しるべのパンがなく絶望した。 洞窟を彷徨っていると、不思議な臭いがした。 怪我や疲労も相まって二人はバタリと倒れ込んだ。 二人はふかふかのベッドの中で目を覚ました。 誰かが助けてくれたのだろうか。 「洞窟の奥

          【SS】洞窟の奥はお子様ランチ

          【SS】デジタルバレンタイン

          DXは失敗だった。 業務を整理・デジタル化したところで人の意思決定が曖昧だったためだ。 これは、DXのその先、HDX(ヒューマン・デジタル・トランスフォーメーション)が完成した世界のお話。 今日はバレンタイン。 彼女の僕への好感度は15。 好きの閾値が10だから、きっとチョコが貰えるはずだ。 デジタル化された社会では、微分を用いた最適化が行えず、数々のNP困難な問題を生じさせた。 彼女へのアプロ―チもNP困難な組み合わせ最適化問題だった。 プレゼント等の選択肢の中には交

          【SS】デジタルバレンタイン

          【SS】行列のできるリモコン

          とある高校の校門に、派手な電飾が施されたゲートが設置された。 ゲートの手前には「二人の運命占います」と書かれた看板と、リモコンと思しき装置が置いてある。 「何あれ?」 「変なの」 「試しにやってみない?」 登校した学生等がゲートを呼び指しささやいていると、一組のカップルがおもむろにリモコンに近づいた。 二人がリモコンを操作してゲートを潜ると、ゲートの電飾がハートの模様に変化した。 二人は満足気に校内へ入っていった。 何組かのカップルがリモコンを操作してゲートを潜る。

          【SS】行列のできるリモコン

          【SS】ツノがある東館

          まっ白い光に包まれた。 全身に電流が走り、発生したジュール熱は、侵入者の意識を蒸発させた。 「魔王様。セキュリティの強化に、ツノがある東館を増築しませんか。」 「なんだそれは。」 「古代文明に、避雷針という技術がありまして。」 「避雷針?」 「それは、雷を引き寄せるのです。」 「ほう、詳しく話してみよ。」 「まず、噂を流します。魔王様のところに至るには、東館のツノの先端で雷神の剣を掲げねばならぬと。」 「雷神の剣?ああ、持ち主が焼け死ぬ使い物にならぬあれか。」 「剣は麓の村

          【SS】ツノがある東館