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「スコーピオンズ」とわたし。

今年から5のつく日、つまり5日、15日、25日に思ったことを適当に書く雑文noteを始めようと思う。
なぜ始めようと思ったか。
というのは単純な話で、わたしは今まで文庫を入れて5冊の本を出しているけれど、どれも研究書でもなければエッセイでもない、いわば思いつくまま気の向くままに気になったことを調べて書く勝手な自由研究のような本である。
それはそれでとても楽しいのだが、それっきりというかなんというか仕事の広がりがない。
本が出ればありがたいことに取材をしてもらったり、イベントで話したりもするけれど、それだけ。
それのどこが嫌なんだ、いいじゃないか、分相応どころか不相応なほどに優遇されているじゃないかと言われればその通りで、ときどき何を偉そうに人前で話しているのだろうと恐ろしくなったりもする。
それどころか、実は「2525稼業」という唄のユニットをかれこれ20年近くやっていて、人前で恥ずかしげもなく歌ったりあまつさえピアニカの鍵盤を押してみたりもしている。
そしてしばしば押し間違えてもいる。
身震いするほど不遜である。何を血迷っているのか。人は20年も血迷えるのか。
しかし、しかしである。
わたしはもう少しわたし自身を知ってもらいたい。
ありていにいえば、もう少しだけ活躍したい。
自己紹介文に「~で活動」を「~で活躍」と書く人のことをとても苦手に思っていたけど、もういっそ書く。
もう少しだけ活躍させてほしい。
活躍って例えば何よと言われれば、例えば人の本の帯を書きたい。
「あなたはこの本で宇宙を知ることになる 平山亜佐子」
とか
「一度も座らず読み切ってしまった。すごい本だ。 平山亜佐子」
みたいなのを書きたい。
あと、本屋さんでわたしのフェアをやりたい。
これは恐れながら自分の本が出るタイミングでさせていただいたことはあるが、できれば時事的タイミングとかなんでもないときにやりたい。
本の解説も書きたい。
他にも、ラジオとかテレビとか、いわゆるメディアに出てみたい。
と野望は果てしないが、いずれにしてもそのためにはわたしがわたしというだけで人を呼べるようにならなければならない。
なので、気楽な読み物を書くことでわたしのキャラを知っていただく必要があると思い至り、始めた次第である。

それで、今日はタイトルの「スコーピオンズとわたし。」について少し。
スコーピオンズとはバンドの名前である。
どんなバンドかはWikipedeiaを見てほしい
実はわたしもよく知らない。
というか、そもそもロックに詳しくない。
わたしがそこそこ詳しいのはブラジル音楽(おもに60~90年代)とフレンチポップス、日本の古い歌、ごく一部のアイドルなどである。
などである、などと胸を張るほど詳しくもないが。
しかしロックというのは巨大なジャンルである。
趣味を聞かれて音楽を聴きます、という人の7割くらいはロックなのではないか。
それは、居酒屋に行って最初に飲むものを聞かれてビールにする人の率に等しい(当社調べ)。
ちなみにわたしはビールも飲まないのである。
わたしがいると、最初の一杯を「生人数分!」と注文できない。
「注文お決まりですか?」
「はい、生人数分!」
「あ、わたしビール飲まないです」
「え、じゃあ生5つと……何にするの?」
「えーっと……」
ここで30秒も迷うのは平山亜佐子を25年くらいしかやったことのない人間である。
わたしなどは平山亜佐子を52年もやっている玄人なので「じゃ、ハイボール!」とすかさず言うね。
で「じゃあ、生5つとハイボール1つ!」と取りまとめ役が取りまとめる。
それでもお店としては若干面倒でしょう。
ビールならそのまま注げるものを、ハイボールはソーダとウイスキー2種類を混ぜなければならない。
でもまあ出来合いの注ぐだけハイボールの可能性もあるか。
まあそれはいい。
ともあれ、ロックについて無知であると知られたい。

そんなある日、ロック好きの人に
「どういうロックが好きなんですか?」
と聞いてみた。すると
「ハードコアとか、メタルとか、パンクとか」
と当たり前だが細かいジャンルが返ってくる。
よくわからなかったがわたしも自分から聞いた手前、ハードロックの知ってるバンド名を言わねばと考え、
「スコーピオンズとか?」
と言ってみたのである。
すると相手は弾かれたように大爆笑。
「スコーピオンズ!! 久々に聞きましたよ、その名前!!! スコーピオンズ!!!」
と言うのである。
慌てて「ヴァン・ヘイレンとか?」
と聞くと
「うんまあ、そう、ヴァン・ヘイレンはハード・ロックだね」
と言う。
しかし、スコーピオンズは笑われてヴァン・ヘイレンは笑われないのが不思議である。
わたしの記憶が確かならば、共に80年代のロックシーンを賑わせてなかったか?
どこでこんなに差がついたのか、謎である。
なお、ロック好き数名にこの話をすると例外なく爆笑された。
え、スコーピオンズってそんな感じなの?
だったらいっそ、スコーピオンズのこと擁護しちゃおうかな!
といっても相変わらず何も知らないのであるが、少し調べたところ『Virgin Killer』(1976)というアルバムジャケットの少女のヌードが物議を醸して差し替えられたこと、ギターのフライングVで有名ななぜかこっちは笑われないマイケル・シェンカーの兄ルドルフ・シェンカーがメンバーで、実はマイケルにフライングVを教えたのもルドルフであるという事実を知った。
すごいじゃん!
まあでもごめんなさい、相変わらずスコーピオンズにもロックにもそこまで興味は持てなさそうである。
でも、それはスコーピオンズのせいでもロックのせいでもなく(当たり前だが)興味の対象が偏りすぎている自分がおかしいのである。
考えてみれば、ロックやビールくらい世の中に浸透しているものについて平気でスルーして生きてきた。
大抵の人が経験したり楽しんだり悩んだり苦しんだりしていることを通らないで生きてきた感がひしひしとしている。
ただ勘違いしないでほしいのは、楽しんだり悩んだり苦しんだりしたことがないということではない。
わたしなりの楽しみ、悩み、苦しみはあった。
それはもう、あった。
でも、世の中のほとんどの情報は右から左に通り抜けて流れていった。
地図もわからない、道の名前も知らない、日にちや時間も間違える……50年以上生きてきて三次元の世界にいまだ適応できず、自分時間、自分感覚で生きている。
そのことをもうちょっと自覚したい。
そのためには文字化するのが良い。
だから、ここでのスコーピオンズはいわば概念であり、つまり世の中一般の常識のことでもある。

タイトル説明は以上です。
とはいえ、そんなふうに自分の解釈でスコーピオンズの名前を借りながらスコーピオンズに一切触れない記事を書き続けるというのもさすがに気が引ける。
何より世界中のスコーピオンズファンに失礼である。
(こんな小さなブログで世界中とは大きく出たと思う向きもあろうがインターネットは常に世界に開かれているというネット老人ならではの感覚)
というわけで、毎回ブログの最後にスコーピオンズの曲を一曲聞いて感想を書こうと思う。
今はサブスクという便利なものがあって聴き放題である。
本当にありがたい。
ちなみにspotifyに登録されているスコーピオンズのアルバムは24枚。
250~300曲くらいあるということは、この雑文もそれくらい続けられるということである。
よかった。
ものすごく飽きっぽいけど褒められたら何十年でも続けてしまうたちなので、なるべく褒めたり反応してほしい。
読んでくれてサンキュー。
次は15日に。


【本日のスコーピオンズ】

1曲目「I’m Goin’ Mad
デビューアルバム『恐怖の蠍団 - Lonesome Crow -』(1972)より
邦題『恐怖の蠍団』の一曲目のタイトルが「おかしくなりそうだぜ!」というので歌詞画面を開いて心して聴いていたら、4’52”のうち冒頭2’24”がイントロだった。
そして幻想的というよりは牧歌的な雰囲気すら漂う男性コーラス。
まあでも、この頃のロックとはそんなものなのかも。
うん、普通に楽しめるな、と思っていたら歌(というのか朗読というのか)が入ってきて「天国じゃねえ、地獄だ」みたいな「砂漠を歩いてて太陽が俺の脳を干上がらせるぜ」みたいなことをゴタゴタ言うので、うーん、それはちょっといらないな、と思った。
インストで良くない?
感想は以上です。



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