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大企業からベンチャー企業への転職(その1)

私は日本人ならみんな知っているであろう歴史の古い大企業からベンチャー企業に転職しました。自分の年齢的には、最近増えていると言われる中高年の転職に当たると思います。

そこで、転職を思い立った理由と転職してみてからの雑感を何回かに分けて語ってみたいと思います。本日はまず、私が思う大企業の良いところと悪いところについてです。

大企業の良いところ

私の思う大企業の良いところはなんといっても業界で強いマーケットシェアや地位を有していることから、経営が安定しているということです。
また、規模を生かした大きな仕事をすることができます。細かいところまでしっかりと吟味し、リスクを最小限にすべく社内の各部門の専門家の知恵を寄せ集めて、レベルの高い仕事をすることができます。さらに、会社の資金が潤沢にあることが多いので、お金をかけて仕事を進めることができます。
相談できる人が社内にたくさんいるし、判断に迷ったことがあれば、まずは上司に相談すれば基本的には問題ありません。相談しているのに上司が解決してくれなければそれは上司のせいだ、とある意味割り切ることもできます。
仕事はきちんと部署ごとに整理されて流れてくるので、あれもこれもやる必要はありません。自分の部署の担当分野でない場合には、仕事を断ることができる場合もあるでしょう(押し付け合いになることもありますが、、、。)。
会社の社会的な影響力も大きいため、コンプライアンス意識が高く、社内教育もいろいろ取り揃えています。
様々な先輩や同僚から仕事を学ぶことができ、同期入社の人なんかがいると仲間意識ができたりして安心感があります。
福利厚生が充実しているのもメリットですね。

大企業のよくないところ

上記の裏返しになりますが、業界で大きなシェアをとっているということは、もはやその会社は成熟期にあり、今後成長する幅がとても小さいと言うことです。
そして、規模の大きな仕事を任せられることになったとしてもそれは自分の力によるものではなく、既に築き上げられた会社の業界でのポジションによるところが大きいのです。ですから、大企業に所属している社員は特別優秀でなくても、与えられた仕事をそこそこきちんとこなすことができれば困らないのです。大企業に正社員として新入社員の時から入社した人にはそこそこ高学歴の人材が揃っていますが、大企業には契約社員や嘱託社員など様々な雇用形態で働いている人も沢山います。そして人数が多い分、皆の仕事に対する意識はまちまちです。このような様々な人を組織としてうまく動かしていくには、最低限きちんと決められた手順通りに動くことができるということが重要になりますので、積極性や主体性はなかなか発揮しづらい環境にあると思います。
また、仕事を進める上でリスクを最小限にするために様々な部門で協議して物事を進めるという日本の大企業のスタイルはスピード感を損ないます。1ヵ月たっても同じことを議論してるということもあるかもしれません。
また、仕事が整理されて流れてくるという事は、同じ部署にいる限り新しいことを学ぶチャンスが少ないということです。もちろん定期的な人事異動などにより他の部署に移動することで新しいことを学べるということはあるでしょうが、大企業の場合なかなか自分の行きたい部署に行きたいタイミングで移動する事は難しいことも多いのではないでしょうか。
特に家父長制の文化を持つ日本企業においては、年長の男性が高い地位を有していることが多いと思います。ダイバーシティー経営が叫ばれて久しいですが、残念ながらまだまだ日本においては男女の賃金格差は大きいです。「うちの会社は男女でお給料を変えてなんかはいない。しかるべきポジションにいる人にはそのポジションに合った給料を払っています。」と言う企業も多いでしょうが、最近では男女別の平均賃金を公表している企業もありますので、会社の男女別平均賃金を比べてみてください。男性の方が高いポジションについていることから、男性の平均賃金の方が高くなっているということが多いのではないでしょうか。このような会社の場合、女性や若手男性社員はなかなか責任あるポジションにつくことができません。伝統的な日本企業の場合、下積み期間が長く、部長になるまで活躍する機会はほとんどないのです。ところが、部長になった後、急に役員に抜擢され、あれよあれよと言う間に取締役になり、サラリーマン社長になると言うケースがあります。こういった会社は不幸だなぁと思うのは、社長が社長としてのトレーニングを十分に受けていないということです。
欧米の企業では、若い時から才能のある人をリーダーシップ・ポジションに配置させ、どんどんと重責のある仕事につけて行きます。このような人がCEOになる頃には、いくつもの修羅場をくぐりぬけており、リーダーとしての経験値が高まっているのです。このような状況ですから、日本のサラリーマン社長が海外企業のCEOと対等に太刀打ちすることはなかなか難しいのが現状です。日本の社長が頑張ってリーダーシップを発揮をしようとしていても、掛け声ばかりに聞こえてしまうのはこういう背景があるからなのではないかなと思います。

まとめ

このように大企業には良いところもたくさんあるのですが、私自身は大企業の負の部分が自分に与えるマイナス影響が強いと感じ始めました。人生の折り返し地点になり、もう少し人の役に立つことをしたい、そして自分を人間として成長させたいと思った時、1日のうちの大部分を大企業で費やすのはもったいないと思いはじめたのです。組織の中の一歯車ではなく、より主体的に会社の経営に関わる仕事をしたいと思ったのですが、業務の幅が細く分割されている組織ではそれを実現するのは難しかったのです。では、副業でそれが叶えられないかと考えたのですが、兼業規制等も厳しく、世の中がコロナ禍によりリモート勤務が増えている中でも出社を要求され、時間管理についてもフレックスタイム制等導入がなく硬直的な勤務時間に自分の生活を合わせなければならなかった大企業の働き方では、主体的に自分の時間を管理することも難しく、困難であると思いました。

もちろん子育て中のワーキングマザーなど、福利厚生の充実した大組織の中で、チームとして働く方がメリットがあると言う時期もあると思います。実際に私もそのように考えていました。大きな組織であれば急に1人抜けたところで、会社の業績に重大な影響を及ぼすこともありませんから、遠慮なく有給休暇や育児のための休暇取得しワークライフバランスを充実させることもできますし、会社によってだとは思いますが、それを推奨する雰囲気がありました。しかし、子育てが一段落し、そのような事が以前ほど自分にとって重要ではなくなった時、ライフステージにより自分に向いたタイプの会社を選んでも良いのではないかと思うに至りました。

もちろん、これは私が経験した数少ない会社での体験での事ですので、一意見として参考にしていただければと思います。

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