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友人との訣別と、先生との再会(前編)


昨日更新したnoteは私にとってつらい思い出だったが、ちゃんとまとめて書けたことと読んでいただけたことでだいぶすっきりした。
オチもなく愉快な話題でもなく、問題も解決しないモヤモヤした内容だがよかったら読んで欲しい。

この記事はその「続き」である。

あの日パンを拾ってくれた友人との訣別


私がとてもつらかったあの日、友人は廊下に散らばったカビたパンを拾い集めてくれた。
小学生の間の親友である。
田舎では奇跡的に家が1kmも離れておらず「一番家の近い同級生」だったこともあってお互いの家にもよく行き来した。

基本的に嫌われ者で常にいじめの対象になっていたような私と、ずっと一緒にいてくれた友人だ。便宜的に友人の名前をVちゃんとしようか。

思い出ならたくさん、山ほど

毎日の学校からの帰り道では私が読んだ漫画のあらすじをずっとしゃべった。
Vちゃんはいつもニコニコして「つぎは?」「どうなったの?」と興味を持って聞いてくれていた。あんなのよくずっと聞いてくれたなあ。
学校から家まで徒歩で1時間ほどかかるから、おしゃべりする時間だけはたっぷりあった。

お互いの家でゲームで遊んだりアニメを見たりした。おやつを食べながらずっとお話したり、本を読んだり、漫画を貸したり、絵を描いたり。

私は学校に必要なものを持っていくのが苦手で「連絡帳」も書いていなかったのだけど、「連絡帳のチェックの日」に書いてないと先生に殴られてしまうので、前日にVちゃんの家に電話をし、全部内容を読み上げてもらって書き写した。

小学6年生の春休み、中学に進学する直前には二人で沖縄に旅行に行った。
私の親戚が沖縄にいるので、私とVちゃんだけで飛行機に乗ったのだ。だいぶ前から計画して、親にも頼んで、子どもだからわかんなかったけど親同士もやり取りしてお金出してくれたんだろうなあ。結構大変なことだ。思いついて二人で相談したのもすごかったが、行けたことも本当にすごいな。

そういえば沖縄に行ったときの写真をあまり見返してないな。
今度見返してみようか……
二人で沖縄の思い出話をした記憶もない。

中学でも仲良しは変わらなかった

変わらなかったよ。
Vちゃんと私はクラスが分かれてしまったけど、同じ卓球部に入って、毎日練習のために部活に通うんだからやっぱり朝の登校も下校も一緒だった。

中学でも私が嫌われ者なのは変わりないけれど、それでもVちゃんの態度が変わることはなかった。クラスが分かれたことは寂しいけど、私が忘れ物したときはVちゃんに借りに行くこともできる……というと本当に利用してばかりだが、あちらは忘れ物をしないので「借りを返す」機会がなかったのだ。

訣別の日

私とVちゃんは「なんとなく疎遠になった」のではない。
理由はほとんど私が悪い。まだすべてに納得がいっていないので「ほとんど」「9割」ぐらいにしておこうか。

中学三年生の秋のある日、Vちゃんから呼び出された。
「私、友達やめるね。もう阿智ちゃんと一緒に帰るのもやめる。これからは一人で帰ってほしい」
こう、本当にはっきり言われたのだ。
私としては寝耳に水ではあったが……ちくっと、後ろめたい気持ちがあったことは事実だ。

いつだったか忘れたが、私とVちゃんは約束をしていた。
「好きな人が変わったりしたら絶対に教えあおうね」
そう、私は好きな人が変わったことをVちゃんに伝えなかった。そしてそれにVちゃんが気づいてしまったのだ。

「最近好きな人かわった? 私に教えてくれなかったね」
Vちゃんが言うので、「うん……」と言った。「だれ?」Vちゃんは続けて聞く。「ごめん、いいたくない……」私はそう答えた。
ここで、険しい顔になったVちゃんは「わかった。じゃあ友達じゃいられない。もう一緒に帰れない」と言って去って行った。

あーあー……
きゅーーーーーーーと絞られるような気持ちになりながら、引き留めることはできなかった。
中学でクラスが分かれてから、部活を引退してから、高校は別の高校に行くことになってから。私は段階を踏みながらも少しずつVちゃんと距離が出来ていたのだ。もう無邪気に「好きな人を教えあう」約束を守るような年でもなくなっていた。

いままでとっても仲良くしてくれた。でもすべてを打ち明けるだけが友達じゃないと思うのに、Vちゃんにはそう思ってはもらえなかった。大きく心が離れてしまったのだ。

別れるときはある

それからすぐ卒業で、先述の通り高校も違ったので会うことは無くなった。1回ぐらいは見かけた気がするけど、挨拶もしなかった。バイトしていると聞いたコンビニには行くこともなかった。

あんなに、小中学生のわたしを支えてくれて一番長くそばにいた大事な友人。それでも別れることはあるし、修復されないこともあるのだよ。
Vちゃんのことを思い出すと、いつも暖かい気持ちにはなる。嫌いになって別れたわけではなく、私にとってはいい思い出ばかりだから……でももう、だからこそ、会いに行かないし会うこともないだろうと思う。


長くなっちゃったから前後編に分けよう、先生との再会は次回に。

「好きな人が変わった時の話」はこちら。

【追記】
後編はこちら。


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