サンタさんかと思ったら、メンヘラな元カノがやってきた。

深夜1時50分。
部屋の電気を消し、布団に入る。眠れない。そういえば今日はクリスマスだったっけ。僕には関係ないか。眠れないのに考え事をするから余計眠れない。
ガチャ
深夜2時。鍵を掛けているはずの玄関の開く音がした。サンタさんでも来たのか?いや、サンタクロースは煙突から侵入するものだろうし、そもそも僕はもう19だ。流石にプレゼントの配布対象には入ってないんじゃないか?
キィー
リビングの扉が開く音がする。目を閉じて気づかないふりをした。泥棒か?聖夜に何してんだよ。サンタじゃなくてサタンじゃないか、地獄に落ちますよ。そんな呑気なこと考えてる場合じゃねえよ。
「やっと会えたね、、、」
え、、、?
思っていたのと違った。女性の声。誰?いや、どこかでこの声聞いたことあるな、、、。
徐々に足音が僕のいるベッドに近づいていく。止まった。目の前に到達したのか?泥棒じゃなかったとしたら何だろう、俺ここで殺されるとか?希死念慮に不意の他殺は含まれていないんですけど。
「寝顔も可愛いね、、、」
あれ?泥棒でも人殺しでもないらしい?てか待てよ、この声確実に聴いたことがある。脳の奥底に封印された記憶が思い出されてくる。そうだ。僕にはいたんだ、恋人が。思い出したくもなかったけど。目の前にいたら嫌でも思い出すよ、、、。
ああ、聖夜に女が来るなんて夢のようだけどメンヘラな元カノが来るのは悪夢だよ。やめてくれ。夢だと言ってくれ。何されるか分からん。やっぱ人殺しだったかもしれん。
「やめてくれ、、、」
思わず声が漏れてしまった。
「あれ、起きてたの?」
不思議そうに僕の顔を覗く。久しぶりに見る元カノの顔。顔だけはいいんだよな、、、。
「約束通り来ちゃった」
約束?何の約束だよ?そんなの知らないぞ。あと来ちゃったってなんだよ。唐突過ぎるし君が来るのは恐怖でしかないよ。
「え?え?」
心臓バクバク。パニックで何も言えない。
「クリスマスなのになんでそんな浮かない顔してるの?嫌なことでもあったの?」
うん。今起きてるよ、嫌なことが。
「な、なんでこっちにいるんだよ?や、約束ってなんだよ?」
恐怖で出ない声をどうにか出した。
「怖い夢でも見てたの?大丈夫?」
分かってないのか?昔より悪化してないか、、、。
それでもまだ理性が残っていそうだった。まだ話せばわかるかもしれない。

何とか彼女から聞き出すことはできた。所々支離滅裂だったが。
もう会いたくないと告げると彼女は泣き出してしまった。ああ、どこで間違えたんだろう。正直容姿は最高だ。でも耐えられそうにないのだ。

「じゃあもう一緒に死のう。いつも言ってたよね、死にたいって」

は?

「いつも君は死にたいって言ってたよね。」

思い出した。僕は精神を病んでいた。彼女に依存していた。メンヘラ化させたのは僕だった。そしてメンヘラになった彼女が段々嫌になって距離を置いて自然消滅を待った。製造物責任法で捕まるわ。
まだやっぱ死にたくないや。
またやり直せるかな、、、。
やり直す?どうやって?

こんな出来事は絶対に起きません。絶対に。

19歳にもなって未だにロマンスだとか運命だとかを追い求めているのかな。ないものを願い続ける。現実はそうじゃないと情報は流れ込む。それでも幻想を抱き続けたい。いや、もうそんな幻想が崩れてることくらいわかってる。やっぱ中高の間にまともな人生経験を積むべきだったね。人生経験を積んでいないから幻想に固執する。

どうでもいいけど上の画像のHIKAKINちゃんとスーツ着れてないじゃん。嘘やろ?

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