あなたはどれほど救済を望むのだろう

私たちはだれもが、幸せになりたい、救われたい、と望んでいます。

幸せになりたくない、救われたくない、と思っている人はいないはずです。

ただし、それは表層意識のまやかしです。

コース（奇跡のコース／奇跡講座）を学んでいくなら、私たちは無意識レベル（自覚していない心）においては、幸せ、救いの真逆を望んでいることが分かってきます。

それは、この世界の誰もに共通して言えることです。

でも、そのことは私たちが自覚していない無意識層のレベルに隠されているので、普段の私たちにはなかなか認識されにくいのです。

ですから、コースの実践では、そのことを自覚していくことが求められています。

ただし、たとえコースを学んでいたとしても、実践においてそのことを認識していくことはなかなか容易ではありません。

例えば、もし本当に救済を望んでいるのなら、この世界のこの人生のどんなことよりも何よりも最重要事項として、日常において妥協なくコースを実践していることでしょう。

自分がそうではないということは、自分自身に正直になればわ分かるはずです。

そのことを認識するとき、自分はどれだけ自我の思考体系にしがみついていたいのかを自覚することができます。

言い換えるなら、自分はそれだけ神のもとに帰ることを拒んでいる、天国を避けているかが分かることでしょう。

そのことを自覚していくはとても重要です。

むしろ、その自覚がないならば、コースを学んでいくこともできなければ、その実践もありません。

この今も、毎瞬毎瞬、自我（の思考体系）を握りしめているということを自覚／認識していくことが実践なわけですから。

ちなみに、私たちがしていくその実践は、自我（の思考体系）を手放そうとすることではありません。

そういう実践をしたとしても、それが無理なことがわかるはずです。

なぜなら、自分は、今や自我になってしまっているからです。

私たちにできることは、その自我を咎めずに見る、ということです。

それが、私たちがしていくことです。

私たちは、聖者や聖人になることを求められているのではありません。

私たちは、イエス、聖霊に対してただ正直になることが求められているだけです。

自我の思考体系に自分はしがみついていることを認識していくこと。

それを聖霊の視点で咎めずに見ていくこと。

それが、「自我を聖霊のもとに運ぶ」ということです。

赦す（取り消す）のは、聖霊の役割です。

私たちは自我と一体化しているがゆえに、むしろ、それを見ないように、認識しないほうへと突き動かされています。

でも、実践（訓練）を重ねていくにしたがって、その自我の精神力動に気づけるようになっていきます。

ようするに、私たちは、無意識のレベルでは神の平安など望んではいないということです。

つまり、救済されたいとは望んでいないのです。

そのことをまったく認識していないのが問題なわけです。

自我にしがみついている自分が認識されることがないならば、それが取り消されることもなければ、それは隠されたまま保持され続けることになります。

だから、私たちはそのことを認識していくことが求められているのです。

つまり、私たちに求められているのは、「自分は救済を望んではいない」ということを認識していくことなのです。

それこそが愛を阻む障壁であることを認識していくことです。

認識されていくならば、その障壁は取り消されていきます。

むしろ、「自分は救済を望んでいない」ということを自覚／認識しないかぎり、私たちはどうやって救済されるというのでしょう。