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マイナポイントを斜めから見る

 そういえば先日、「私のWAIS-Ⅳ受検記録」という記事が、「マイナンバー担当としての限界」という記事を抜いて、歴代最多アクセス数の記事となりました。よろしければ、新旧王者両方の記事にも立ち寄ってもらえればと思います。

 「私のWAIS-Ⅳ受検記録」は、個人的にはかなりの力作で、自分でもイチオシの記事だと思っていますので、ぜひ見てほしいと思っています。


<新王者>


<旧王者>



 しっかし日中は相変わらず地獄で、客が一向に引きませんでした。とくにマイナポイント窓口は地獄で、一時は2時間待ちとかそんなくらいでした。ヤバすぎるだろ。今日はそんな地獄のマイナポイント窓口を見て、思ったことをつらつらと書いていこうと思います。



1.危なすぎる絵面

 そんな地獄の窓口付近には、マイナンバーカードと保険証と通帳とクレジットカード、なんだったらご丁寧に印鑑まで握りしめて、「これだけあれば2万円貰えるんでしょ!?」と言って近寄る人達の姿…。

 いざ窓口に通してみると、マイナ保険証とはなんぞや、公金受取口座登録制度とはなんぞやもわかっておられず。そもそもマイナポイントがどんなもので、満額もらえる条件すらわかっていないのに暗証番号を入れていく客。

 いや危ないから。訳もわからないままそんな貴重品を持ち歩かないでください…。そして安易に暗証番号を大声で言ったりしないでください。市役所は比較的安全な場所だけど、不用心です。



2.行政マンは優秀過ぎ

 とまあ、市民サイドを色々ディスりましたが、マイナポイントをこんなややこしい仕組みにした政府の側にもかなりの否があると思います。

 私が思うに、日本の行政関係者は本当に優秀な人ばかりです。日本が住みやすい社会なのがその証拠だと思います。実際、市役所レベルでもキレ者揃いですから、国家レベルであれば相当なもんだと思います。

 ここでいう優秀とは、頭の回転の早さだけでなく、新しいことへの意欲の高さなどを含みます。とにかく知的な人の集まりです。

 しかし、優秀であるがゆえに、一般人の思考が追いつかない複雑な制度を作ってしまうのだと思います。マイナポイントなんて、明らかに頭のいい人が考えていますよ。



3.マイナポイントは詰め込みすぎ

 ということで、優秀な人の渾身の思考が生み出したマイナポイントは色々と詰め込みすぎです。

 利用規約や関連のパンフレットを見ればわかるのですが、マイナポイントの目的ってマイナンバーカードの普及促進、キャッシュレス化の推進、消費活性化、その他諸々と詰め込み過ぎなんですよ。多くの人はマイナンバーカードの普及云々の段階で詰まってますから。 

 しかも、その目的を達成するために、ポイント付与の条件として保険証利用の登録や公金受取口座の登録というこれまたわけわからないものを詰め込む始末。

 これは混乱が生まれて、相談窓口が地獄になるのは当然ですよ。僕もマイナンバーカード担当じゃなければ混乱してたと思います。


 そんなぶちこみまくりの闇鍋みたいなキャンペーンじゃなく、目的をマイナンバーカードの普及促進に絞って、●月●日までにカードを作って、受取の口座を申告した人に対して一律●円給付します。くらいでようやく理解が追いつくんじゃないかなと個人的には思います。



4.説明責任は果たしたい

 とまあ、こんな泣き言を言ってもマイナポイントの制度は簡単にはならないので、私は黙々と説明を続けるだけです。


 繰り返しにはなりますが、マイナ保険証や公金受取口座は非常に良い制度だと私は思っています。うまく回れば、行政側も国民側も抱える作業負担が大幅に減りますし、取り違えなどのリスクも減り、恩恵を享受できます。

 しかし、「マイナンバーカードに保険証情報が入って危ない」だの、「医者がマイナンバーを把握して悪用できる」だの、「口座残高を国が把握して管理するようになる」などといった誤った情報によって、国民(市民)の理解を得られておらず、国が進めているネガティヴな制度として扱われているのは非常に残念です。


 私ができることなどたかが知れているとは思いますが、そういった誤解が少しでもなくなるような一助となれればと思っています。上記制度について質問があれば、できるだけかみ砕いて、具体例を用いながら説明するように心がけています。「思っていたような(怖い)制度じゃないんだね」と気づきを得ていただくこともあり、その時は達成感を感じます。

 そんな説明責任は国が果たすべきだと正直思っているのですが、市民にもっとも近い立場の市役所職員としてできることはする所存です。



5.試されている国民

 この記事は、そんなキレイゴトで締めくくるのではなく、私が思っている本音を少々語ります。マイナポイントをちょっと斜めに見るのです。


 このマイナポイントの騒動は、単に頭の良い国家公務員が複雑な制度を作ってしまい、市役所がそのフォローに追われるという構図だけではないと思っています。9割くらいはそのとおりなんでしょうけど、その裏に「国民はこの程度の煩雑なら大半が自分でできないのか」とお手並みを拝見する目的があるように思えてなりません。

 私が官僚だったら、マイナポイントみたいな金をバラまくキャンペーンで様子をみて、本命の手続きの煩雑度を調整します。その目的に応じて。

 今年度に、マイナンバーカードが普及することによって、行政はデジタル化という今までにない大きな変革期を迎えることとなるでしょう。それはそれは大きな波で、上手に乗れれば空高く飛べる力があるものです。しかし、波に飲まれれば救いようがないことになりかねないとも思います。

 その辺のおもいや考察ついては、下記記事をご参照ください。


 複雑な制度に直面した時、あなたは勉強して立ち向かいますか?それとも思考停止でその制度に屈しますか?


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