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1日5分の免疫学(24)Ⅲ型アレルギー


《復習》
大林「えーと、Ⅰ型アレルギー反応は、一番メジャーで、一番反応が早いやつでIgEが主役……。でもⅣ型ともリンクしてるからアトピーはなかなか治らない。Ⅱ型アレルギーは『作ってほしくなかった抗体』が補体を活性化して起きるやつで、作ってほしくなかった抗体は自己抗体と、不適合輸血によって作られる抗体……疾患は多くが溶血…赤血球が破壊されるやつ」

本「Ⅲ型アレルギー反応とは、免疫複合体immune complexが大量発生して組織に沈着し、補体を活性化して組織に傷害が生じる反応」
大林「免疫複合体?(また補体が出たな…」
本「いくつかの抗原と抗体が結合したかたまり(抗原抗体複合体)」
大林「抗原がいくつもあればそりゃ抗体も集まってくっつくのでは?」
本「まぁ、実際、正常な免疫反応でも免疫複合体は作られる。けど、肝臓のクッパー細胞や組織のマクロファージが大体除去してくれるんや」
大林「おっ、出た!大食細胞!除去してくれない、できない場合に、Ⅲ型アレルギー反応が起きるってこと?何でそんなことが起きるの?」
本「それはあまりわかってない

本「抗体は頭で抗原にくっつくから外側にしっぽ(F部分)向けてるやろ」
大林「うん、Yの2本の方(Fab部分=可変領域)で刺さるんだよね、そして抗体のしっぽ(F部分=定常領域)を掴む受容体を持つ貪食細胞がやってきて、抗体ごと抗原を貪食!」


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本「抗体は、抗原と結合しているとき、Fc部分で補体の古典的経路を活性化する」
大林「出たよ補体!」
本「補体の古典的経路が活性化されると、C5aC5b6789が生じる」
大林「出た!C5b6789!初期パスワードみたいな名前で、すごい強力な兵器!別名『膜侵襲複合体』!細菌に穴を開けて破壊!C5aは好中球を遊走させる!」
本「C3aとC5aはマスト細胞も刺激して血管の透過性亢進も引き起こし、炎症細胞が組織に移動しやすくなる」

本「Ⅲ型アレルギーの代表は血清病
大林「血清?毒とかの治療で使うやつ?」
本「血清病とは、治療目的でヒト以外の動物の血清(異種血清)が投与された場合に生じることのある免疫複合体病」
大林「ヒト以外……?」
本「例えば人にヘビ毒を投与して抗毒素抗体作るわけにはいかんやろ?馬とかにヘビ毒投与して抗体作らせてるんや」
大林「おぉ、お前だったのか、馬……」
本「ごんぎつね風に言うなや。で、投与された異種血清中の何らかの蛋白抗原と認識されてそれに対して抗体が作られて免疫複合体が生じてしまうことや」

本「Ⅲ型アレルギー疾患で、自己抗体から免疫複合体が産生されるやつは、全身性エリテマトーデス(SLE)、ループス腎炎
大林「それすごい大変なやつだ!…あれ?全身性エリテマトーデス=ループスじゃないの?ループス腎炎もSLE(Systemic Lupus Erythematosus)に含まれるのでは…?」

本は答えなかった!

本「SLEは、細胞内の核に対する抗核抗体が作られる自己免疫疾患の代表」
大林「抗核抗体(こうかくこうたい)?!」
本「抗核抗体による免疫複合体が作られ、腎臓、関節、肺、血管などに沈着して、これらの臓器を傷害するんや……」
大林「ヒェッ」
本「あと関節リウマチも有名やな。リウマトイド因子(RF;Rheumatoid Factor)が主な原因。リウマトイド因子はSLE、シェーグレン症候群、全身性硬化症、混合結合組織病(MCTD;Mixed Connective Tissue Disease)といった膠原病でよく認められる」
大林「間接とかの結合組織に、免疫複合体が沈着して破壊する疾患だということだけわかった」
本「他にも、外来抗原から免疫複合体が産生される場合として、溶連菌&抗体で溶連菌感染後糸球体腎炎、真菌&抗体でアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、、」
大林「やばそうな雰囲気だけわかる……」
本「原因不明の免疫複合体としては、糸球体腎炎、膠原病を伴わない間質性肺炎、アレルギー性紫斑病、、」
大林「『病気がみえる』シリーズ、もう一度読みなおそう…」

本「自己抗体による疾患を総称して自己免疫疾患という」
大林「Ⅱ型、Ⅲ型アレルギー分類されない自己抗体による疾患もあるわけか」
本「自己免疫疾患はすんごい多いで。採血検査で自己抗体の陽性が決め手になって診断がつくことが多い」
大林「ほーん」
本「自己抗体が陰性のもあるけどな」
大林「えぇ…じゃあどうするのさ」
本「抗核抗体(ANA; Antinuclear antibody)を目で見るためには、細胞膜に穴を開けて核に自己抗体をくっつけ、間接蛍光抗体法で自己抗体を染めてチェックする」
大林「細胞の中にある核に対する抗体だから、まぁ、細胞膜に穴開けないてくっつけてみないと確認はできないよなぁ……間接蛍光抗体法???」

大林「自己抗体にくっつく抗体に、蛍光顕微鏡で見れる目印をつけて、それで自己抗体が核にくっついているかを間接的に見るってことかな?」

本「じゃ、次はⅣ型アレルギー反応について勉強するで」
大林「らじゃー!」

《今回のポイント》
Ⅲ型アレルギー反応は、抗原と抗体とがいくつも合体してできる免疫複合体が大量に発生して、組織に沈着し、補体が活性化することで組織が破壊されるよ!
自己抗体とで免疫複合体が大量に発生する疾患として、全身性エリテマトーデスなどがある。怖い。

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