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天気と頭痛

気圧に左右される頭痛

頭痛を誘発させる原因の一つに気圧の変化があります。

雨の降る前やその最中、また台風が近づいてくる時など。

身体に余分な水が貯まることで起こると解釈され、これを東洋医学では「水毒」といいます。
そのため天候に左右される頭痛では水毒治療を行うことが多いです。
この時漢方だと「五苓散」が勧められます。

しかし、天候に左右される頭痛が全て「水毒」によるものかというと、そうでもなく。
また「五苓散」で改善できる頭痛は、それほど多くありません。

水毒、つまり身体の水分代謝が乱れている方では頭痛が起こりやすい傾向があります。
しかし水分代謝がうまくいっていない方であっても、天候に左右されて頭が痛くなるという方は実際に多いものです。


なぜ気圧に左右されるのか。頭痛の原因は?

天候に左右される頭痛のおおもとには「血行障害」にあります

気圧の影響によって血流が変化する。
それによって頭痛が誘発されるというのが根本的な原因だといえるでしょう。

人は高気圧を受けている状態と、低気圧を受けている状態とでは血流が変化するのです。
その血流変化にうまく対応できていない方が頭痛を起こしているという印象があります。

気圧と血流との関係

高気圧が来ると、人には空気の圧力がのしかかってきます。
そこで血行を維持するために血流を促す必要が出てくる。
つまり、高気圧を受けると人は、自然と血流を良くしようと身体が頑張るようになります。

一方、低気圧が近づいてくると、のしかかっていた空気の圧力が軽くなります。
この時、高気圧が来ている時と同じ血流状態を維持してしまうと、血流が強くなりすぎてしまうため血流を弱める方向へと自己調節をし始めます。

つまり、高気圧の時と比べて低気圧が来た時の方が、人体の血流は自然と弱まっていきます
このように、実は気圧の変化にしたがって血流の強弱を調節しているのです。

この時、もし低気圧が「急激」に来ると、身体も「急激」に血流を弱める必要が出てきます
この急激な落差に身体がすばやく対応できれば何の問題もないのですが、この大きな落差に対応できない方では、血流が過剰に弱まってしまうこともあります。

すると身体がだるくなったり、疲れやすくなったりします。
そして頭部の血流が悪くなると頭痛が起こってくるのです

つまり天気に左右される頭痛というは、気圧変化に自らの血流が上手く対応できないために起こるということです。

血行障害から起こること

この血行障害の結果、人によっては浮腫みが生じます。

血流が弱まるというのは、血管の緊張度が下がるということです。
血管が弛緩して血流が停滞すると、血管外へと水が染み出していきます。
漏れた水は浮腫みとなり、さらに血管を圧迫して血流を悪化させます。
東洋医学でいうところの水毒とはこのような状態を指します。

ただし、水毒の発端は血流障害にあります。
水分代謝の是正を行った所で血流が回復しなければ頭痛は改善しません。

人体は気圧変化によってある種の興奮状態に陥る場合もあります。
水毒ではなく、この興奮を落ち着かせなければ改善しない頭痛もあります。

急激に血流を弱めようとした結果、血行の弱りに対して反射的に身体が危険を感じ、興奮状態へと向かおうとします。
すると興奮した血流が頭部に充血を起こして頭痛が起こる場合もあります。

この時、身体に表れる症状としては、動悸や息苦しさがあります。
また、人によっては首から上が充血して、ほてりや肩こりが起こることもあります。

この血流低下に対する反応として緊張が強まって、血管の急激な弛緩を助けようとして、血管をぎゅっと緊張させてしまうこともあります。
この時頭部に充血が生じるのではなく、むしろ虚血が起こります。
顔面が蒼白になったり、冷や汗や吐き気を起こしたりもします。


どう対処していくか

身体の気圧変化に対する血流調節の働きは、自律神経によって行われています。

自律神経の働きを介して血管の弛緩・緊張が起こり、血流を変化させています。
つまり、自律神経を整えることが頭痛の改善につながっていくのです。

では自律神経を整えるとは、いったいどういうことなのでしょうか。

具体的には「血流を安定させる」ということ。
自律神経と血流は相互に関係し合っています。

自律神経が乱れると血流が悪くなる、ただしその一方で、血流が悪いから自律神経が乱れてくるという場合もあります。

血流を安定させると自律神経も整っていきます。
自律神経からアプローチするのではなく、あくまで血流状態から自律神経をコントロールしていく方法もあるのです。

天候に左右されないために

運動をする

実は天候に左右されやすい人と、そうでない人との区別は、見た目でおおよその判断ができるのです。

身体の血流を良くする最大の器官は筋肉です

つまり、筋肉量が豊富、または日ごろから筋肉をしっかり活動させている人は、緊張度の高い・スムーズな血流を維持することができます。
天候による頭痛が女性に多いのはそのためです。
男性に比べて筋肉量が少ないために、良い血流状態を維持することが難しいのです。
そしてちゃんと筋肉がついている、または生活の中で筋肉を活動させている方は、女性であっても天候に左右されにくい傾向があります。
簡単な筋肉トレーニングを定期的に行うことだけでも、頭痛が起こりにくくなる場合もあります。
たんぱく質をしっかりと取りながら、筋肉の容積を増やしてあげること

胃腸への負担を減らす

さらに筋肉が豊富に含まれている部位は、目にみえる脚や腕、腹筋や背筋だけではありません。

胃腸を中心とした消化管にも、広大な筋肉が備え付けられています。

胃腸が疲れていたり、胃腸が弱い方は、必ず全身の血流が弱くなります。
しっかりと食事を摂りつつも過食を避け、よく噛んで消化管への負担を減らすこと、また夜遅くの食事は避けるようにしてみてください。

睡眠の重要性

普段天候に左右されないという方でも、一時的に低気圧によって頭痛が発現してくるタイミングがあります。
一つは月経前後です。そしてもう一つは睡眠不足です。

このうち月経に関しては的確な漢方治療によって改善してくることが多いものです。
ただし、睡眠不足に関しては、いくら体調が良い方でも一時的に頭痛が発現してくることがあります。

そもそも、筋肉は使われれば必ず疲労します。
そして夜間寝ている時にこの疲労は回復します。
寝不足は筋肉に疲労が蓄積して活動が弱まり、血流が一時的に減弱してきます。

寝不足は必ず頭痛を誘発させる原因になります
慢性的な寝不足は、天候に左右されやすい血行不良を形成していきます

気圧が乱れやすい梅雨時期は特に睡眠不足に注意が必要です。運動と食事と睡眠。当たり前のことですが、これ以上の養生はないのです。




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