【掌編小説】 自業自得
ほら、出られなくなった。
小さな枠の中に、僕たちは閉じ込められてしまった。
こうなることは予想できた。
何日も前から、僕らのいる場所は出入りが自由にできなくなるよと警告されていたから。
僕たちはテラスから
枠の囲いを作る人たちを眺めていた。
カラフルな揃いのジャケットを着て、キビキビ動く人たちを眺めていた。
僕たちはテラスから
閉じ込められる前にここから出ていく人たちを眺めていた。
いつもの通勤時と変わらない様子で、出ていく人たちを眺めていた。
彼らを眺めている間に、
僕らは枠の中に閉じ込められてしまった。
僕たちがここを出ようとした時には、雨が降り出して。
雨具を僕らは探した。
肌寒くなって、上着を取りにクローゼットに戻った。
違う靴に履き替えた。
そうこうしている内に、
僕らは時期を逸してしまったのだった。
警告されていたのに。
準備をする時間はたっぷりあったのに。
今日の雨も予想できたのに。
事前にきちんと対処しなかったせいで、
僕らは閉じ込められてしまった。
きちんとしている人たちをテラスから眺め、少しばかり馬鹿にしていたせいで、
僕らは閉じ込められてしまった。
何度目かの自業自得。
僕らはまた右往左往している。
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