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ラドラーとドイツ語のR

あまり天候が安定しないものの、確実に夏が終わりに近づき秋が来ているヨーロッパ。夏の思い出に、夏の飲み物の話でも書いておこうと思う。以前に夏の飲み物といえばレモネードという話を書いたが、もう一つラドラーという飲み物がある。

レモネードは名前の通り、レモンなどの柑橘系のジュースのことを指すが、ラドラーはRadlerと書き、ドイツ語で自転車乗り(サイクリスト)という意味である。ドイツの中でも南ドイツ(バイエルン地方)あたりからオーストリアでラドラーという呼ばれるこの飲み物は、簡単にいうとレモンビールである。ビールと柑橘系サイダーがおおよそ1:1で混ぜ合わさっている。

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なぜサイクリストという名前がこの飲み物を指すようになったのか諸説あるらしいが、あまりアルコール度数が高くないしさっぱりしているから運動している人でも飲みやすいのではないかという話を聞いた。とはいえ立派なアルコール飲料なので、私の感覚からするとこれを飲んで運動しようという気にならないが、ドイツ語圏の人は恐ろしい。

半分ジュースなので、ビールほど苦くなく、さらっとしていて飲みやすい。確かにヨーロッパは日本よりは乾燥しているとはいえ、夏は普通に暑いし、エアコンがどこにでもあるわけではないので、レモネードやラドラーのようなさっぱりした飲み物を身体が欲するのは身に染みてわかる。

余談だが、このラドラーという単語、日本語にして書くと二つの「ラ」だがドイツ語で書くとRとLなので、この発音の違いが非常に難しい。また英語(特にアメリカ英語)のRと異なり、喉の奥から捻り出すようなドイツ語のRの音に続いて日本人の苦手なLを発音するのが、少なくとも私にとっては困難である(よくわからない人はこちらで発音を聞いてみてください)。

私はドイツ語は喋れないが、注文する時ぐらいは"Radler, bitte(ラドラーお願いします)"ぐらい言うように心がけているのだが、先日バーに行った時に五回ほど言って全く通じず最終的に英語で「レモンビールでお願いします…」と言ったのは今年の夏の思い出である。