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岸田内閣による新たな経済対策は果たして有効な政策なのだろうか?


岸田内閣は、所得税と住民税の減税に加え、低所得世帯向けの給付金や、価格高騰が続く電力・ガスなどの補助金制度の延長を含め総額17兆円規模の新たな経済対策を閣議決定しました。

  •   納税者と扶養家族一人当たり年間所得税3万円、住民税1万円を減税

  •   住民税非課税の低所得世帯に対して年間7万円を給付

  •   ガソリンや電気・ガスなどの負担軽減のための措置を来年4月まで延長

  •   生産性向上を目指した中小企業の設備投資への支援

  •   国内に半導体の生産拠点を整備するための基金の積み増し

さて、こうした減税を含めた経済対策に関して、国民の支持はどこまで得られているのでしょうか? 党利党略が見え見えの国会での政局論議は脇に置くとして、今日直面している経済上の問題点、すなわち所得格差の拡大、実質賃金の低迷(実質賃金が低迷する中での物価上昇)といった観点から、岸田内閣の経済対策を検証したいと思います。

1.所得格差の拡大

所得格差の実態を端的に表す数値としてジニ係数が使われます。厚生労働省の家計調査などでは必ず登場する数値で、ジニ係数は0から1の間の数字で表し、0に近いほど所得格差は小さく、1に近づくほど所得格差が大きいということになります。一般に0.4を超えると警戒水域とされ、0.6を超えると暴動など社会的混乱が生じる可能性のある危険水域と言われています。
厚生労働省が2021年に公表した前年度までのジニ係数は、税や社会保障の再分配前のグロスで0.5700となり、これは過去最高だった2014年の調査結果0.5704に次ぐ高い水準でした。再分配後では0.3813となっていますが、この数値も前回の2017年調査を上回っています。

ジニ係数の推移

さらに気になるのが、折れ線グラフで表示した改善度です。改善度とは、税や社会保障といった所得再分配が格差是正にどの程度効果を上げているかを表す数字ですが、2014年度をピークに漸減傾向にあります。

このことは、税・社会保障という所得の調整弁としての機能が弱まりつつあるとみても良いのではないでしょうか。
さて、今回の経済対策では納税者と扶養家族一人当たり年間4万円(所得税3万円、住民税1万円)の減税と、住民税非課税の低所得世帯に対し年間7万円の給付を行うとのことですが、この程度の措置で果たして格差は改善されるのだろうかと考えるといささか心許なく感じてしまいます。
また、財政全般に対する懸念も拭いきれていません。国と地方の歳出や財政投融資を合わせた財政支出は21兆8000億円程度が見込まれ、一般会計の追加歳出は13兆1000億円程度になる見込みで、政府は今月中にも裏付けとなる補正予算案を編成する方針と伝えられています。こうした動きを勘案すると、今回の減税措置が恒久的に続く保証が見えてきません。
岸田総理は会見で「来年6月のボーナス期の給与明細には、大幅に増えた手取り額が書かれますので期待していてください」と胸を張りましたが、仮に数万円ほどの減税や給付が一回受けられたからといって、生活レベルが向上したと喜ぶ国民は果たしてどれほどいるのでしょうか? 減税を打ち出したにも拘らず一向に支持率が向上しない要因は、おそらくこうした国民の皮膚感覚と制作とのずれを感じていることに起因していると思えてなりません。

2.実質賃金の低迷

わが国の賃金水準が欧米諸国に比べて大きく下回っていることは、様々な報道等で指摘されていますが、改めて1991年を100とした名目賃金の推移をG7諸国と比較すると以下のようになります。

1991年を100とした名目賃金の推移

もちろん、名目賃金は物価等の変動は含んでいないため、実質賃金で比較しないと購買力などを測ることはできません。同じ指標に実質賃金を加えると、下図のようになります。

1991年を100とした実質賃金の推移

インフレが社会問題となり、金融引き締めでインフレ撲滅に躍起となっているアメリカですらも、実質賃金はかなり高位にあることがうかがえます。とはいえ、所得再分配後のジニ係数が40%近いほど深刻な格差問題を抱えているアメリカ社会では、インフレ撲滅が最重要課題であることには変わりなく、FRBが躍起になって金融引き締めを継続した理由はここにあります。
さて、わが国の実質賃金は1991年と比較しても2020年では3.1%しか伸びていません。さらに、2019年からのコロナ禍による経済の停滞に加え、ロシアによるウクライナへの侵攻を始めとする国際情勢の険悪化に伴うエネルギー価格の高騰など負の要因が重なり、かつてのオイルショックのような原油価格の高騰によって、一歩誤ればスタグフレーションすらも招きかねない状態といっても過言ではないかもしれません。
政府による 賃上げ促進税制の導入などの賃上げ要請に加え、生産年齢人口の減少に伴う労働力の急激な売り手市場化もあって、今期大幅な賃上げを表明した企業も多く存在しますが、その多くは大企業にとどまっています。賃上げしたくとも資金力の弱い中小企業などは、今後賃上げ圧力と人手不足の二重苦にあえぐことも予想されます。なにより、バブル崩壊以降長い間賃上げに消極的だったわが国の賃金水準が、名目賃金で欧米の水準に追い付くのは容易ではありません。
こうした状況も含めて考えると、わが国の置かれた経済環境において新たな経済対策として打ち出された今回の政策がどこまで本質をついた対策なのだろうか?と疑念を持つ方も多いのではないでしょうか。

3.軽減税率は消費税の逆進性にどこまで有効なのだろうか?

さて、消費税の減税論も国会での議論の俎上に上がっています。そこで、消費税の逆進性対策としての軽減税率について考えてみたいと思います。
消費税を10%に増税した際に、政府は逆進性を緩和するために軽減税率が組み込まれました。すべての購買行為に均等に税を課す消費税では、所得水準によっておのずと格差が生じます。これを消費税の逆進性といいますが、その対策として政府が取った手段が軽減税率です。すなわち、酒類と外食を除く飲食料品と週2回以上発行されている新聞については消費税を2%軽減するといった制度で、所得の多寡を問わず最低限必要な消費については消費税を軽くするといった意味が込められています。 では、これら品目に対する消費税を2%軽減することで、家計にどのような効果を及ぼすのでしょうか。総務省統計局による2022年度家計調査から考察したいと思います。

2人以上の世帯収入十分位ごとの1世帯当たり1か月間の支出額

このグラフは、2人以上の世帯の家計を年間収入ごとに十分位に分け、各々のグループ別の1世帯当たり1か月間の支出額を支出項目ごとに抽出したものです。支出内容は品目ごとにかなり細かく分類されているため、便宜上大分類のみを対象にグラフに表しました。
このうち、グループによって支出額が大きく異なっているのは、その他消費支出、交通・通信、教養娯楽であることが見て取れます。その内訳は以下のようになっています。

所得水準によってこれらの支出項目に大きな差が生じるのは容易に推察できますが、一方で酒・外食を除いた食費への支出額にはさほどの違いは生じていません。これら食費の支出全体に占める割合(酒・外食を除いたエンゲル係数)を表にまとめると、下表のようになります。

軽減税率は酒・外食を除く食費に適応されるため、所得水準の低い世帯の逆進性を緩和する上で一定の効果はあると考えられますが、エンゲル係数から見るとグループ1からグループ10の間で12ポイント近い開きが生じる結果となっています。すなわち、軽減税率は人が生きる上で必要な食費を対象とすることで、消費税の逆進性の緩和にはある程度機能していますが、生活の質的向上という点では必ずしも逆進性を完全に正規化する制度とは言い難いのではないかと感じています。
所得水準によって大きな差が生じたその他消費支出、交通・通信、教養娯楽などは高い経済効果が見込める支出項目ですが、それは一定程度以上の可処分所得が得られない限り多額の支出ができるものではありません。岸田内閣では、所得税や住民税を一律に減税することで、ベースアップ上昇への期待と併せて可処分所得の向上が達成できるとしていますが、それによって格差が是正されるとはどうしても思えません。言い換えれば、所得税や住民税を減税するだけでは所得の調整弁としての機能は充足できないと考えます。消費税減税や廃止論が野党などから声高に提起されるのはある意味で当然の主張のように感じます。こうした重要な点については、是非国会でかみ合った議論を行って欲しいと思います。
軽減税率のもう一つの問題点は、税額算定の仕組みが極めて複雑なことです。軽減税率の対象となる飲食料品と対象外の酒類や外食品と区分けする上で困難が伴うことは導入当初から指摘されていたことですが、加えて本年10月に導入された適格請求書の扱いに困惑している中小企業や店舗なども多いようです。
適格請求書(=インボイス、正しくは適格請求書等保存方式)は、複数税率に対応するために、消費税額の仕入税額控除額を正確に捕捉し証明するためのインボイス制度で、国税庁のホームページでは「売手が買手に対し正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段であり、一定の事項が記載された請求書や納品書その他これらに類するもの」と説明されています。複数税率の上では当然ながら軽減税率の対象品目か否かによって消費税の申告額が異なることから、それらを確実に区分し捕捉するために導入された仕組みです。
適格請求書を発行するには、予め適格請求書発行事業者として登録する必要があります。適格請求書発行事業者として登録された事業者は、国税庁適格請求書発行事業者公表サイトで適格請求書発行事業者の登録番号や氏名または名称などの情報が公表されます。
適格請求書発行事業者は、売手が買手に対して正確な適用税率や消費税額等を伝えるために、登録番号などの情報を付与して買手に送り、買手側は仕入税額控除を適用するために、売手から交付された適格請求書を保存し、そうした情報に基づいて消費税額を申告することになります。
ただし、適格請求書発行事業者として登録可能な事業者は、消費税の課税事業者のみであり、免税事業者のままでは適格請求書発行事業者にはなれません。具体的には、課税期間の基準期間中における課税売上高が1,000万円以下の中小規模の事業者には納税義務は課せられないため、適格請求書発行事業者としての登録はできないことになります。ここで問題となるのは、こうした中小事業者が売手となって適格請求書発行事業者にモノを収めた際に、買手側は適格請求書が入手できないため仕入税額控除の適用ができなくなることです。こうしたことから、従来あった取引を打ち切られる可能性を憂慮して課税事業者(適格請求書発行事業者)になるべきかどうかについて悩みを深めている免税事業者も多いと思われます。もちろん、課税事業者になれば消費税の納税負担が経営にのしかかることになります。
このように考えると、軽減税率は消費税の逆進性に対しては若干の効果は期待できるものの、所得の格差是正にはさほど貢献できないだけでなく、事業者の負担増まで招きかねない制度のような気がしてきます。岸田内閣のもう一方の柱にベースアップの促進がありますが、適格請求書の導入で中小事業者の経営にも悪影響を及ぼせば、人件費などに割ける余裕も減ることになり、人材確保の点でも大企業との溝が拡大してしまうような気さえします。

4.給付付き税額控除は課題解決の切り札になるか?

以上、所得格差の拡大と実質賃金の低迷というわが国の経済の足かせになっている二つの問題点を軸に、軽減税率を中心に一連の税制度改革の有効性についてみてきましたが、課題と解決策の両者の隔たりはかなり大きいと感じています。とりわけ軽減税率による消費税の逆進性対策の有効性には、今年2月の私のブログで「軽減税率は消費税の逆進性にどれだけ有効なのか?」でも述べておりますがかねてから疑問に感じておりました。また、このブログの最後の節に「給付付き税額控除はなぜ没にされたのか?」と疑問を述べさせていただきましたが、民主党から自民党への政権交代の影響といった政局がらみの漠然とした理由以上の確たる説明は受けておりません。政権交代当時はマイナンバー法案が一時廃案となり、自民党によって再提出されてようやく成案となったといった経緯がありました。そのため、マイナンバー制度が緒に就いたばかりであるため、所得水準に応じて消費税負担分を給付によって還元するといった仕組みは現実的ではないという説明も聞きました。たしかに、所得水準に応じた給付額を算定するためには、世帯ごとの所得を正確に捕捉していく必要があるのは事実です。しかし、そもそもマイナンバー制度が所得の正確な補足と適正な給付を実現するために構想された制度であることを考えれば、こうした理由付けは本末転倒であって、言い訳のようにしか聞こえません(マイナンバー制度が本来目指したことについては、7月の当ブログ「私がマイナンバー制度に期待したこと」をご参照ください)。
給付付き税額控除が消費税の逆進性に対しどのような効果をもたらすかについては以前のブログで海外の事例も交えて私の考えを述べましたのでここでは省きますが、本稿では格差是正の観点から給付制度全般に焦点を当てて考察を行うことにします。
税・社会保障による所得再分配が格差是正のための調整弁であると先に述べましたが、現行税制のなかでは税率の累進性と人的控除によって成り立っています。税率の累進性とは、最低限の生計維持に必要な額を除いた残余部分について一定税率を課すといった考え方で、生計維持に必要な額を所得控除し、その残余部分を担税能力と見なすことで税額が決定されています。また、人的控除は配偶者控除や扶養控除などがそれにあたります。岸田内閣の政策の柱の一つである「異次元の少子化対策」に伴う子供手当の増強策も人的給付の一つとみなしてよいでしょう。
さて、このような税率の累進性と人的控除を、所得格差是正のための調整弁としての機能の観点から考察したいと思います。

(1)税率の累進性
税率の累進性については、所得水準に応じた租税能力を勘案していることから調整弁として一定の機能を果たしていると考えられますが、先の「税について考える」でも指摘しましたが、わが国の所得税の課税対象は個人単位の収入を基準としているため、世帯収入が同一でも片働き世帯と共働き世帯では世帯にかかる税負担が大きく異なるといった問題点があります。
再掲になりますが、世帯所得が600万円の家庭を例に、共働きと片働きによる各々の税額を計算してみます。

上表のように、夫婦の合計所得が同じく600万円であっても、個人単位課税では共働きと片働き世帯で税負担が1.5倍近く違いが生じることになります。一方で、欧米などが採用している世帯単位課税(N分のN乗方式)で再計算すると、課税額が均等になります。すなわち、世帯員数をNとして世帯合算所得をNで割った値の税率を適用して計算することで、より公正な課税が実現できます。より合理的に世帯所得に見合った負担が可能となるN分のN乗方式を欧米の多くの国が採用している理由はまさにここにあります。
また、現行の累進課税の下では、所得控除による給付額は結果的に逆進性を持つことになり、所得制限もないため所得再分配の役割が阻害されているともいえます。例えば課税所得1,200万円では扶養控除(2人分)による見做し給付を試算すると約25万円になりますが、課税所得600万円では約半額の15万円に過ぎません。
さらに加えて、今回閣議決定された所得税・住民税の税額控除では、控除額が納税額に達しない世帯に対しては、減税効果が見込めないことから一律7万円の給付を行うといった苦肉の策まで取られています。このように、税率の累進性においてはかなりの見直しの余地があり、マイナンバーが導入されたことから、生計を一にする世帯単位の所得水準に見合った仕組みに向けた税制の再構築が、税の公正性の観点からも喫緊に検討されるべき事項であると考えます。

(2)人的給付
人的給付については所得水準という要素がさほど加えられていないことから、調整弁としての機能はあまり果たされているように思えません。
下表は、主な人的給付として配偶者控除、扶養者控除、子供手当の控除対象を示したものですが、いずれも所得格差の是正に向けたきめ細かい配慮に欠けているように思えてなりません。

人的給付は社会保障給付とも大きく関係する制度であり、所得の再配分の観点では税と社会保障はむしろ一体化して構成すべきではないでしょうか。「私がマイナンバー制度に期待したこと」と題したブログでも触れましたが、マイナンバー制度は本来税と社会保障を一体的に運用することで格差を縮める手段として構想されました。これは、民主党に政権交代される以前の森内閣の時代から一貫した考え方でした。民主党政権下ではさらに議論が進み、当時の国税庁と社会保険庁を合体した「歳入庁」を設立すべきではといった大きな構想まで提起されておりました。こうした構想が生まれた背景には、控除と給付が共に所得の再分配による格差是正を目指しているにもかかわらず、所管省庁が異なることから制度間でグレーゾーンが生じると同時に、世帯構成や所得などの基本情報がばらばらに収集されているため、互に不整合が生じているといった問題意識がありました。

上表は、世帯や個人の定義が関係法によって微妙に異なっていることを示したものです。法律が異なれば必然的に管轄する省庁も異なります。格差是正の調整弁として所得再配分を機能させるには、税と社会保障の一体改革は極めて重要な検討テーマであり、それを実現するには税額控除と人的給付を『給付制度』として一体化して制度化し、そうした制度を円滑に推進できる体制作りこそが重要な論点といえるのではないでしょうか。

おわりに

かつて1980年後半に、時の大統領だったドナルド・レーガン氏は、貿易収支と財政収支の悪化を「双子の赤字」と呼びました。この当時は、わが国の自動車やコンピュータなどの輸出が極めて堅調で、アメリカの経済を大きく圧迫したことから日米貿易摩擦が国際問題として大きくクローズアップされた時期でした。
あれから40年余りが経過し、バブルの崩壊からの立ち直りが遅れたわが国は、今まさに双子の赤字を抱える状況に陥りつつあります。
下のグラフは、1979年1月から2023年3月までの貿易収支の推移を表しています。

1979年1月から2023年3月までの貿易収支の推移

もちろん貿易収支は為替レートなどでも大きく変動するため一喜一憂する必要はありませんが、2000年代に入って以降上下に大きく振れている状況が見て取れます。
一方でわが国の人口も、国立社会保障・人口問題研究所による「人口統計資料集」によれば、2010年の1億2806万人をピークに大きく減少すると予想されています。

国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集」より引用

こうした状況は、ベビーブームといった人口爆発期によってもたらされた生産年齢人口が急激に拡大したことによって支えられた高度成長が止まり、今後のわが国の経済社会は縮小傾向をたどるという予言であると受け止めるべきだと思います。
これまで「格差の拡大」と「実質賃金の低迷」といったわが国の抱える問題を税と社会保障の観点から考察してきましたが、双子の赤字に加えて経済社会が縮小局面を迎えている今日、こうした問題は今まで以上に危機感を持って捉えるべきであると思うのです。
かつてオイルショック後の経済立て直し戦略として、時のスウェーデン政府が強引に推し進めた需要拡大策の結果、国家財政が極度に逼迫し、1992 年末には通貨危機に襲われ、国債の信用が失墜しデフォルト寸前にまで追い込まれるという未曽有の国難に喘いだスウェーデンでは、それまでの政策を大転換し『誰一人取り残さない経済戦略』を目標とした「経済収斂計画(コンバージェンス・プログラム)」を発動し、これを強力に実行したことで、国内経済がV字回復しました。経済収斂計画のなかで最も重視された政策は、徹底した合理化による無駄の撲滅でした。
もしかすると、わが国もこうした経済収斂計画を実行に移すべき岐路に立っているのではないだろうかと思うことがあります。アベノミクスに代表される異次元な経済対策によって巨額の負債が残された今日、かつての高度成長期に味わった成功体験を忘れ、身の丈に合った実利的な政策を推進していくべき時だと考えます。そのためにも、「格差の拡大」と「実質賃金の低迷」の緩和に向けた実効性の高い政策の遂行が望まれてなりません。そのためには、既存の税制(主として所得税・住民税・消費税)の細部にわたった見直しが必要になるのではないだろうかと思うのです。マイナンバー制度が定着した今こそ、国民の生活感覚に踏み込んだ大胆な改革案が立案できるのではないでしょうか。


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