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散文64

決して、読み明かさないための、過去の追憶は、
人間がリフレクトする鼓動として、
脈拍として、
誰かの皮膚であるもの、その肉体であるもの、に
継承されていく

痛みや温かさや、柔らかさや硬さと言ったものが
被継承者の皮膚表面へと触れて
接触物が物体として認識されていく時
時刻に気づく。もう四時を過ぎている。

具体性の無い詩作に、
意味性は無い
具体性の無い散文に
物語性は無い
具体性の無い小説に
あらゆる文化的土壌は存在し得ない
明後日の方向に、オレンジ色の月が滲む。

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