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ADHD、特性の裏表。


ADHD_noteです。

ADHDには主に、不注意、多動性の症状があります。


当事者としては、
「忘れる」とか「集中する」とかの一見相反する症状は、
” ADHDではない人が ” 障害特性として見ると、結構矛盾していると思うんだろうなぁ・・・と感じるのですが。

実は、「忘れっぽさ=多動の影響を受けた結果」というように、起こるべくして起こっているのが実感です。


”忘れっぽい”と”多動”は表裏一体。

忘れやすいというのは、ワーキングメモリ(短期記憶という、一時的に見聞きしたことを脳に保持しておく)という、脳の機能が十分に(定型発達を基準とした場合の正常範囲で)機能していないことが原因。

とされています。

たしかに医学的にはそうかもしれませんが、
私が思うには、そもそも多動性(よく動く、動きすぎること)が忘れっぽさの原因だと思います。

ADHDの多動性というのは、幼少期から常にある症状です。

具体的には、デパートや遊園地といった場所で、興味本位であちこち動き回るため、結果的に迷子になりやすい。(方向音痴とは違う気がします。)

公園などの遊び場では遊具や木などの高い所から飛び降りたり、学校や家ではハサミや包丁などの鋭利なものなどに興味が湧き、遊んでケガをしやすいことなどがあります。
(よく、高圧電線の鉄塔などの囲い柵などに「あぶないから、はいってはいけません」「のぼってはいけません」とか、「ここであそんではいけません」などと書いてありますが、その意味がよくわかります。)

通常、多動性の症状は中学生ころから成人になるまでに徐々に収まっていく(ように見える)と言われていますが、実際は成人になってからも、頭の中で様々な考えが「浮かんでは消え」、「浮かんでは消え」・・・ということをたえず繰り返しているため、”行動”には表れていなくても、頭の中が”多動”(私は”多想”と呼んでいます。)の状態と言えます。

特に研究をしたというわけではないですが、
私個人的には、定型発達の(発達障害が無い)人にくらべて3倍~5倍くらい頭の中で考えごとなどをしている感覚でしょうか。


なぜそう言えるのかは、
これまでにサラリーマンとして働いてきた経験での実感です。

どの職場でも、集中できず、ミスが非常に多かった。

ある同僚には、集中するように言われ、
また他の同僚には、考えや発想がおもしろいと言われたりする・・・。
そういう積み重ねで、いやおうにも「やはり人とは違う。」ということが分かってきます。


私はADHDが最も苦手とすると言われる職の一つ、事務職で長く働いていましたが、たとえば、複数の作業に取り組むことが多くありました。


ある一日の予定として、

・午前中までに○○さんに電話をしてアポを取っておく。

・××さんにメールをしておく。

・昨日、△▽グループのメンバーに送ったメールへの返信(フィードバック)が来ていないか確認する。

・15時からの来客対応の準備をしておく。

・夕方の会議のために資料をプリントアウトしておく。

・足りない書類をコピーしておく。


このようなことがあるとして、定型発達の方であれば、「電話が先」、「メールは後」など優先順位を考えて行動できると思います。


しかしながら私の場合は、
まず、視覚に入った、あるいは、思いついた順番(多動・衝動的)に行ったりします。

順序が違うだけではなく、
「昨日、△▽グループのメンバーに送ったメールへの返信(フィードバック)が来ていないか確認する」というケースでは、△▽グループメンバーからの返信だけをチェックすればいいものの、他の相手から受信した、中には仕事に関係のないメールまで一通ずつ、延々とチェックしてしまったりします。(多動の症状+多想+過集中)
しかも、要るメール要らないメールの判断がなかなかつかないので、消去することもできません。(結果、3分で済むのを15分くらいかけて行うイメージです。止められなければ、30分くらい費やすかもしれません。)

さらに、「足りない書類をコピーしておく。」では、単純に足りないものだけコピーすればいいものの、「他の書類も足りてなさそう」だとか、ある意味では全くと言っていいほど関係のない用紙にまで多くの考えが及んでしまい(多想の症状)、結果的にそれだけコピーする場合の2倍~3倍の時間かける(これは、たとえば、2、3分で済むものを、「あれもコピー」、「これもコピー」などとやっているうちに、10分、15分の間コピー機の前に居る)ことになります。(多想からの多動症状)

しかも、コピー機に原本の書類を置き忘れたりします。(次の仕事などの多想による。)


要は、
ただでさえ多い仕事にもかかわらず、
必要以上(不必要)に(脳が)動きすぎるわけです。



そんなことをやっているうちに、

・午前中までに○○さんに電話をしてアポを取っておく。

・15時からの来客対応の準備をしておく。

 ということが完全に頭から抜け落ちる(=忘れる)ことになります。

そして、そのあわてている状態のまま、

・夕方の会議のために資料をプリントアウトしておく。

事を忘れ、さらに大変なことになるわけです・・・。

 職場によっては、

・約束していた午前中までのアポが取れない

・来客対応もできない

・夕方の会議の資料も用意できない

というミスを続けることに対して、

「始末書を書け!」ということも出てくると思います。


ただでさえ日報など日々の業務があるにもかかわらず、始末書を書かなくてはならなくなる。

こうして、勤務時間後に始末書まで書くことになります。
(=仕事が増えます。)

もちろん、翌日には上記の様な毎日のルーティンTODOが山積みです。


定型発達の方であれば、定時か1~2時間程度の残業で終わらせ、「明日は◇◇とのミーティングがあるから、前回の資料を用意してまとめておかないと」というようなことができるのでしょうが、

私のようなADHDタイプの特性があると、
「また今日もミスをしてしまった・・・」という思いで深夜に会社を出ることになり、ある日は終電で日付が変わるころに帰宅。
翌朝早朝に起きて会社に行くことになれば、睡眠不足もあって当日仕事でやることなど頭に入っているわけもありません。


これが、
その会社に勤めている限り、毎日続きます。


こうして負のスパイラルに突入していき、周囲からの叱責や視線もあり、休職、退職に追い込まれていきます。

定型発達の方の中には自業自得だと言うかもしれませんが、これはあくまで脳の障害が原因で起こっていることです。

たとえて言うなれば、
足の不自由な方が職場のマラソン大会に出るように命じられ、3km走らされて、5時間かけてようやくゴールをしたところ、大会会場や職場は撤収済みで、すでに誰も居ない。
職場のデスクには「お前は遅れたから、なぜ遅れたのか理由が分かるように反省文を書いて、提出しろ!」というメモ書きだけ残されている。

と言うようなイメージでしょうか。

脳の障害の影響で ”出来て当たり前” のことができないということです。


長々と書きましたが、
今回は忘れっぽいという裏側に、多動(多想)の特性があることを書きました。

特にADHDの場合、いろいろな側面から自らの障害特性を見ることが大切だと思います。

それにより、生涯つき合っていかなくてはならない障害の特性による症状への対策や改善にもつながるのではと思います。
(たとえば、少し休ませてもらう、部署を変えてもらう、転職をするなど)

このように、「忘れっぽさ」という一面だけでは正確にとらえにくいというのもADHDの大きな特徴ではないかと思う今日この頃です。

今後も特性について気づいたことがあれば書いていきたいと思います。


ちなみに画像は
サイコロの対面の数の和は必ず7となる。的な画像。

anncapicturesによるPixabayからの画像


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