【人の話を理解できない本当の理由①】公立の学校の先生って教えるのヘタですよね。なぜですか?
子供の頃、そう思っていました。
「塾の先生の方が面白いし、わかりやすい!」
子供が学校から帰ってきて、授業の愚痴を言います。
「もぉ先生の教え方が下手すぎ!めちゃわかりにくい!!」
それを聞いた親は、
「やっぱり公立の先生は質が低い」
これ、あるあるじゃないかと思います。
本当は上手!公立小中学校の先生たちの授業
私が巡回指導講師をしていた頃、公立の小・中学校の授業を見学することが多かったのですが、
いやー、公立の先生って、本当に教えるのが上手い人が多いですよー。
特に、塾通いが一般的でない地域の公立の先生は
「なんてわかりやすいんだー!」
といつも感動していました。
そして
「子供の頃、この先生に教えてもらっていたら、私の人生、変わっていたかもしれない!」
そんな風に思うこともよくありました。
「こんなに親切で丁寧でわかりやすい授業を受けられるこの子たちは本当にラッキーだなぁ」。
でも、この授業を理解できない子どもたちが教室にはたくさんいるんです。
そんな現実を目の当たりにしたとき、私はいつも
レオ・レオーニの「さかなはさかな」
という絵本を思い出します。レオ・レオーニはアメリカの絵本作家で、皆さんご存知の「スイミー」の作者です。
上の写真では、サカナがカエルの話を聞いて、牛や人間を想像している絵です。カエルは「人間は2本足で歩いて服を着ている生き物」と説明します。
それを聞いてサカナはヘンテコな人間を想像しています。
人の話を正確に理解できない本当の理由
サカナは正確に想像することができません。なぜなら
「サカナは魚しか見たことがないから」
です。ですから
「魚に2本足をつけて、服を着させた生物」
しか想像できないのです。
新しい概念を理解することとは?
このサカナと同じようなことが目の前の子供達の中で起こっているのだろうなぁと感じるのです。
学校の授業は、積み重ねです。
これまで教えてきたことを理解していることが前提で設計されています。
前の単元でしっかり理解ができていないと、新しい内容を正しく理解できなくなってしまうのです。
すでに義務教育を終え、さまざまな人生経験を積んだ大人になったあなたにとっては理解しやすいことでも、子どもにとっては非常に難しく、理解しにくいことも多いのです。
それは、子供はまだ、新しい知識や概念の支えとなる予備知識や人生経験が不足しているからです。
皆さんも、初めて聞いた時はよくわからなかったことが、後になって
「ああ、こういうことだったのか!」
と急に理解できるようになることがあるかと思います。
新しい仕事を始める時って、大体こんな感じですよね。
最初は教えられるがままに、マニュアル通りにこなしていくだけで精一杯だった仕事も、数ヶ月後には、自分の頭の中で「知識のネットワーク」ができていることってありますよね。
時間の限界
確かに先生側も、子供のこのような特徴を考慮して、授業を進めていくのが良いでしょう。彼らのレベルに合わせて、既存の知識と新しい知識を繋ぐようなアクティビティの時間を多く取る工夫も必要だとは思います。
でもこのアクテビティティに関しては、学校の授業だけでは全く時間が足りないのです!!
これは自習して身につけるしかありません。
この時間は人それぞれです。ほんのちょっとやっただけで、全てを理解してしまう子もいれば、結構な練習を必要とする子もいます。これは生まれながらの差だけではなく、子供が持つ既存の知識の違いも大きいでしょう。
また机上の学習だけでなく、生活の中での様々な体験(様々な人との交流や体を使った遊びなど)が必要だと強く感じます。勉強の内容が自分の生活や体験に直結してることを知れば知るほど、勉強は興味深くなるものですからね。
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