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かんしゃくに対処する7ステップ:Part 2

前回のPart 1では、2歳前後の子どもがかんしゃくを起こす原因と、かんしゃくを起こす子どもの気持ちや対処法についてお話ししました。

今回のPart 2では、より具体的な対処法を7ステップでご紹介します。

1. 予防:かんしゃくのきっかけを取り除いておく

かんしゃくを起こしやすい状況を予測し、予防しておきましょう。空腹、疲労、過度の刺激、不快、怒り、寂しさなどは、よくある引き金です。かんしゃくの引き金は子供によって異なります。
これらの要因を減らし、かんしゃくが起きにくい環境を作るために、あらかじめ準備をしておきましょう。

2. できるだけ気をそらす

「あっ!これはぐずるだろうな」「ぐずり始めたな!」という瞬間に、子供の気をそらしましょう。
幼児の注意持続時間は短いものです。何か魅力的なことをして、イライラの原因から集中力をそらしましょう。面白い顔をしたり、「ほら、可愛いワンちゃんがいるよー、見て!」「あっ!かっこいい車来たー!ばいばーい」など、子供がいつも好んで見るものを指さして、そちらに注意を向けさせましょう。
また、子どもが好きな小さなおもちゃをポケットにいくつか常備しておき、ぐずりそうになったら、サッと目の前におもちゃを差し出してみましょう。

3. スイッチをオフ、深呼吸

本格的な泣きにエスカレートしてきたら、おもちゃを見せたりなどの気を逸らす行為はやめましょう。やり過ぎると、もっと機嫌が悪くなる場合があります。

子供の激しい叫び声、泣き声、暴れっぷりは、私たち大人を動揺させ、疲れさせ、イライラさせます。しかし、子供を「おちつかせよう」とする大人が落ち着くことができないのなら、子供が落ち着けるはずがありません。あなたが動揺したり、イライラしていれば、子どもはあなたの動揺を感じ取ります。

そんなときは、いったん立ち止まって落ち着きましょう。深呼吸をして、体の緊張をゆるめる、または緩めるイメージを持つことで、自分のリラックスを促します。

私はよく、自分の中に感情のスイッチがあると仮定して、息をはきながら「ガチャ」とスイッチを「切る」ようなイメージを使います。試してみてください。

4. 安全な場所に移動する

公共の場や他の子供がいる場所での激しいかんしゃくなら、その場を離れ、静かで落ち着ける、刺激の少ない場所に移動するようにしましょう。

5. 共感する

「もぉ、どうしてこんなことで泣くわけ?いいかげんにして!!」という自分視点でのイライラを捨てて、
「この子は自分の思い通りにならなくて悔しいんだな。不安なんだな」などと、子供視点で気持ちをくんであげましょう。

アイコンタクトをとり、「うんうん」とうなずきながら子供の顔を見たりするなど、言葉より行動で伝えると、幼児には効果的です。子どもの気持ちに寄り添い、共感するようにします。これが難しいようでしたら、Part 1を見返し、子供の気持ちを体験してみてください。

6. 気持ちを代弁する

共感を示しながら、子供が今感じているであろう感情を代弁してあげましょう。たとえ言葉を十分に理解していなくても、そうすることで、やがて子どもが自分の気持ちを確認し、表現できるようになるでしょう。

思い通りに出来なくて残念だったね〜。がっかりしちゃったよね。ママも同じ気持ちよ。

おもちゃが壊れちゃって怒っているんだね。くやしいね〜。悲しくてもいいんだよ。

7.  否定しない、訂正しない

大好きなおもちゃで遊べなくて悔しかったね。
でも、お兄ちゃんを叩いたらダメなんだよ。
でも、おもちゃを投げたらダメなんだよ
でも、お友達のモノだから勝手にとったらダメなんだよ。

子供が、感情に任せて不適切な行動をしてしまった時、私たちは大人として、言って聞かせたくなります。
「あなたの気持ちはわかるわ。でもそれはやったらダメです」
と「でも」をつけて、正しい行動を伝えたいのです。

しかし、この段階で「でも」は御法度です。

好きなおもちゃで遊べなくて悔しかったね。
怒るのもわかるよ。
我慢するのはつらかったね。
ママもそう思うよ。
ママがついているから大丈夫よ。

ここでは、いくら子供の行動が不適切なものであっても、あなたは子供の気持ちに寄り添い、認め、受け入れることが必要です。
「でも〜」と言いたくなっても、その前でブレーキをかけてください。
たとえあなたが子どもの感情的な行動に同意できなくても、無視したり、否定したり、軽蔑したり、拒絶したり、批判したりすることなく、ありのままの子どもの気持ちを肯定してあげてください。

今は、「でも〜」の後に「正しい行動を教える」時ではありません。子供の気持ちが落ち着いた後に振り返らせることが大切です。気持ちが動揺している時は、お説教を理解することができないからです。

安心感は健康な精神を育てる

子どものありのままの気持ち肯定することは、その子の感じ方や考え方は間違っていないと伝えることです。すなわち、悲しい、悔しい、怒り、などのネガティブな感情を持つことは自然なことであり、表現してもよいという意味です。
これは、最も価値のある子育てと人間関係のスキルのひとつです。
子どもは、愛着を抱く相手から自分の強い感情を表現することが許されると安心感を得ます。

自分の感情を肯定された子どもは、自己肯定感が高まり、健全なアイデンティティの感覚を育み、精神的に健康になる傾向があります。

幼少期の感情を過剰に抑圧すると、のちに、境界性パーソナリティ障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの精神疾患の発症する可能性があります。

幼児のかんしゃくは生活の一部

かんしゃくは、どの子どもにとっても生活の一部です。子どもがかんしゃくを起こしたときに、自分が冷静になり、気持ちをそのまま受け止め、否定しないことが大切です。

イライラしていたり疲れている時に子供のかんしゃくに対応するのは難しいことです。うまくいかなくても落ち込まず、自分を責めすぎず、根気よく続けましょう。あなたが子供のかんしゃくの根本を理解し、これらのステップを使うことで、難しい幼児期の育児を乗り切ることができます。そして子供も貴重な感情調整スキルを身につけ、あなたとより強い絆を築くことができるでしょう。

Reference
Jacqueline Sperling, P. (2020, May 22). How to respond to tantrums. Harvard Health. https://www.health.harvard.edu/blog/how-to-respond-to-tantrums-2020051919845
Li, P. (2015). Turning Tantrums Into Triumphs: Step-By-Step Guide To Stopping Toddler Tantrums (1st ed.).



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