【CROSS TALK Vol.4】 一人ひとりが想いをデザインで表現、もっとワクワクする未来へ
こんにちは、アドビ未来デジタルラボです。
多くの人がwebサイト上で情報を見聞きし、SNSで交流している昨今。デジタルツールを駆使し、自由に想いを形にし、クリエイティビティを発揮する人が増えているのではないでしょうか。Creativity for All 「すべての人に『つくる力』を」を理念に掲げるアドビでは「まちの広作室」と称して、Adobe Expressを使い、ビジネスやライフワークに伝えたいことを形にするために、気軽にデザインが学べるワークショップを全国で行っています。
より多くの人がデジタルツールを活用し、クリエイティビティを発揮し、想いを形にできるようになれば、未来はもっとワクワクする社会になりそう。今回は、そんな「まちの広作室」の講師を務めているデザイナー・イラストレーターの北沢 直樹さんに、ワークショップの雰囲気や意義、そこから見える未来について語っていただきました。アドビの里村 明洋がお話を伺います。
1)まちの広作室とは?
里村:「まちの広作室」は、お店を運営している方などへ向けたワークショップですが、具体的にどんな方が参加して何をするのでしょうか?
北沢:「まちの広作室」に来てくれるのは、商店街の文房具店、居酒屋、中華料理店、ジムの経営者さんなど、業種は幅広いけど、個人で経営している方々です。
みなさんが今までデザイナーに発注していたようなチラシやポスター、メニュー、SNSへの投稿画像をAdobe Expressで自分たちでもつくれるようにしよう、というワークショップです。
東京都・下北沢で5回、あとは福島県、鹿児島県、香川県 等、全部で9回ほど開催しています。まだまだ東北もいろんな場所に行きたいですし、もっと全国で活動をしていきたいですね。
里村:全国で開催すると場所によって特性がありそうですね。
北沢:たとえば下北沢はいわゆる若者、デザイン、アート系のカルチャー好きが集まるイメージがありますけど、参加してくださる方はパソコンとか、デジタルになじみのない方たちです。福島県の場合、大熊町で開催したので、東日本大震災の被災地ということもあり、地元の方というより福島を応援したい、未来をよくしていきたいという若い人たちがたくさん参加してくれました。香川県も鹿児島県もそれぞれ場所によって特徴はありますけれど、共通してみなさんそれぞれが制作したいもののイメージがしっかりあって、すごく熱心でした。
里村:アドビでは「Everyone has a story to tell.」(すべての人に語るべきストーリーがある)とよく言うのですが、「まちの広作室」では参加者それぞれが表現したいことがあって、まさにその様子がうかがえます。
北沢:その通りで、最初に10分ぐらい僕からレクチャーするのですけれど、少し経つと、みなさんもう僕の話に飽きてますよね?っていう空気(笑)。「じゃ、早速実際にやってみましょう!」って言うと、もう夢中になってあっという間にデザインを2個3個と作っていくんですよ。
Adobe Expressは本当に簡単なツールなので、テンプレートの選び方や加工の仕方などお伝えするだけで、みなさんワーっとすぐに完成させていきますね。
里村:それはすごいですね。普通にデザインをゼロから考えると、一つのクリエイティブをつくるだけでも、1日じゃ足りないですからね。
北沢さんが「まちの広作室」の講師を引き受けてくださったのは、何か思いがあるのでしょうか?
北沢:なじみある下北沢の街もやはりコロナ禍のときは、お店が閉まり、活気がなくなり、街が変わっていきました。そんな中、デザイナーとして手伝えることが何かないかともどかしい思いを抱えていたとき、アドビから「まちの広作室」のプロジェクトの話を聞きました。もしかしたら街のお手伝いになるんじゃないかな、っていうのが一番です。
2)デザインワークショップの講師をしてみて
里村:「まちの広作室」で印象に残っているエピソードはありますか?
北沢:どの回でもみなさんクリエイティブへの意欲が素晴らしかったです。ある場所では、ミュージシャンの方がいて、ご自身の発信したいことがたくさんあるようでした。話しながら流れでwebページを作る機能もあるんですよ、って言ったら最後の発表の場で「今webページをつくりました」っていうんです。そこまで教えてないのに短時間でできてしまうAdobe Expressの簡単さと、その方の熱意にはおどろきました。
里村:やはりパッションがあればこそ、いろんなことができるんですね。あとはきっかけや情報があることですね。
北沢:そうですね。地方に行っても考えていることは東京の人と何も変わらないんですけど、情報のキャッチに差があったりする。「まちの広作室」で少しずつ直接伝えていきたいですし、アドビさんにもぜひいろんなことを発信してほしいですね。
里村:参加者からの感想はどうですか?
北沢:ワークショップに参加して良かった、っていう声はありがたいことに多いです。この前も下北沢で最初の回に参加してくださった方に会ったら、イベントのチラシを自分でつくったよと言っていました。
あと、フラッグといって、商店街の電柱や街路灯の上の方に旗があると思うんですけど、下北沢一番街のフラッグもAdobe Expressでつくったそうです。やっぱりワークショップを行った意味があったなと思いました。
里村:ある意味商店街で一番目立ちそうなフラッグで活用してもらったとは嬉しいです。北沢さんは、どんな思いで講師をしているのですか?
北沢:何かつくりたいものがある、やりたいことがある、という方はみんなデザイナーであり、そういう方の味方でいたいと思っています。職業としてのデザイナーしかデザインできないのが当たり前っていう意識じゃなくて、Adobe Expressなどツールを使えば誰でも絶対できると思ってほしい。クリエイティブを安心して楽しんでほしいなと思っています。
香川県でのワークショップでは、軽く生成AIの体験もしてもらいました。みんなすごくいいものをつくるんですよね。こういうツールがあれば、もっと自由にたくさんの人がクリエイティブ活動をしていけるんだと思いました。街のあちこちで見るフリーイラスト素材が生成AIで作られたものに変わって、もっと個性的になる日も遠くないんじゃないかと思っています。
3)人々がクリエイティビティを身につける未来
里村:なるほど。クリエイティビティが、社会を変えていく実例にあたるのだろうなと思いました。アドビは創業から「Changing the World Through Digital Experiences」(デジタル体験で世界を変える)というミッションを掲げているのですが、わたしたちもやはり変えるならポジティブに世界を変えていきたい。北沢さんの視点でこうしたテーマについて何か思う所はありますか?
北沢:今の注目は、やはり生成AIですよね。ちまたでは、イラストレーターという職業は生成AIに仕事を奪われる、みたいなことが言われたりしていますけど、僕はまったくそういう気持ちはなくて、もうめちゃめちゃ楽しんで生成AIを使っています。商用利用可能の素材を使って、今はいっぱいキャラクターを生み出してビジネスにつなげたい。実は、もう200体ぐらい作っているんですよ。キャラクターを生み出すのはAIかもしれないけど、プロンプトの入力から生成されたキャラクターの選択は僕にしかできないと思いますし、しかも、自分では考えないようなモノを生み出していける。すごく楽しいですよね。
里村:素晴らしいですね。生成AIは企業でも実際に使われていますが、結局、自分たちが会社のカラーをちゃんと理解して、生成AIを使いこなしていくことが求められると思うんです。
北沢:そうですよね。いろんな方と一緒に生成AIを使ってみて思うのは、使う人によって個性が出るし、違うものが生成される。だから、僕が生成AIでつくっているたくさんのキャラクターも他の人が見たら「これ、同じ人がつくっているんだろうな」と感じとれると思うんですよ。
里村:そうですね。今日「まちの広作室」の話題を通して北沢さんが語ってくれたように、デジタルだからこそ誰でもつくりたいものがつくれ、クリエイティブの世界はもっと広がっていく。しかも、もっと楽しくなるんじゃないかと思います。アドビとしても、一層それを後押しできるツールをみなさんに届けたいです。本日はどうもありがとうございました!
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