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『新しい街で』

クロゼットを開けて
「何を取りに来たんだっけ」
昨日の昼ごはん
「何食べたっけ」

そんな直前のことは忘れてしまうのに、昔好きだった歌は覚えていたりします。
もう何年も何十年も前のことなのに歌詞が自然と口をついて出たりして。

少し前、仕事で色々あって、うまく眠れない時期がありました。とある眠れない夜に、ふと浮かんだのが『新しい街で』という曲でした。ラジオで流れたわけでもなく、誰かと話題にしたわけでもなく、SNSで見かけたわけでもなく、なんの前触れもなく。

『新しい街で』 は、1990年に発売された『retour』というアルバムに収録されている今井美樹さんの楽曲です。作曲はKANさん。イントロから美しいスロウテンポの曲です。
リリース当時好きで、あまり記憶はないけどカラオケでも歌ったのか、それとも単に若くて物覚えがよかったのか、歌詞もほとんど覚えています。あらためて聴くとやっぱり良い曲。そんなわけで、ここしばらくずっと聞いています。

風、空、雲、木々、葉、雨、虹、光、地…。

歌詞は、空気のように必然に存在するものを淡々と描写し、結びに、私はここにいる、という言葉で締めくくられます。新しい街で、自分がいまここにいることが、必然なのだと確かめるように。
メロディは、少し切ない響きがありながらも、聴いたあとにはひだまりのようなあたたかな色彩が脳裏に残る。あかるく振り切った感じではないけれど希望を感じる、そんなイメージ。

昔聴いた曲をふいに思い出すのは、おおかた齢のせいなんでしょうが、誰かが私に、メッセージを送っているのかも、なんて思うこともあって。

少し休んで。
あなたはそのままのあなたでいいよ。
もう少しで状況は良くなるよ。

ここにはいない誰か、あるいは、ここにいることができない誰かが、懐かしいメロディや歌詞を通して、何かを伝えようとしてくれているのかも。

そんなわけで車のなかや通勤時、日常のなかでたくさん聴いて歌って、元気をもらっています。

いつのまにか、春ももうすぐです。

キッチンの啓翁桜

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