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〈読書感想〉鉄と鉄鋼がわかる本(9)

こんにちは。
鉄の勉強初めに、新日鉄の鉄と鋼鉄が分かる本を読みました。

今回は第6~7章を読んで、一応読み終わりました。

第6章では、使いやすい鉄を作るための技術が紹介されています。
使いやすい鉄として、加工性の良い材料、錆ない材料に関する技術です。
気になった点を箇条書きで書きます。

  • 強度の高い鉄をハイテン材(High Tensile Strength Steel)という

  • 鉄は転位(格子のズレ)があるから変形しやすい

  • 炭素や窒素の不純物が転位に入ると動きにくくなる(硬い材料になる)

  • チタンやニオブを添加して炭素や窒素を引き付けると(転位に炭素などが入りにくいので)変形しやすくなる

  • 転位部分で鉄と置換するモリブデンやシリコンを添加しても硬くなる

  • TiCなどの大きな析出物を入れると転位が動きにくくなる(析出強化)

  • 熱処理などで結晶格子を歪ませて炭素や窒素を入りやすくして硬くできる(変態強化)

  • オーステナイトは不安定。オーステナイトはプレスなどの加工で結晶格子が伸縮するとマルテンサイトに変化して安定化して、強度が上がる(加工誘起変態)

  • 亜鉛めっき鋼板は熱処理で、亜鉛-鉄合金を作るとプレスで割れにくくなる(合金化処理亜鉛めっき鋼板:GA)

  • GAは合金層の厚みを制御する必要がある。薄すぎると亜鉛は柔らかいのでプレス金型との摩耗が大きくなり、厚すぎると硬くなりすぎて剥離が発生する。

  • GAの表面にマンガン・リンの酸化物をコーティングする(L処理)と金型との摩擦が小さくなる

  • L処理は溶接や塗装など他の工程に影響を与えない

第7章は鉄に関連する著名人の思いが書かれていて、これはこれで鉄への興味をそそる内容でした。

特に気になったのは青木野枝さんの話。子供向けに鉄を使ったワークショップをやっているようです。溶接や溶断をするらしいんですが、大人が参加したい内容なじゃないでしょうか。
直近で見つけたのは以下のワークショップですが、予定が合わなくて残念…

感想

時間がかかりましたが、やっと読み終わりました。
製鉄や加工に対して分かりやすく説明されていたと感じます。
ただ、専門用語の説明が後の章にあったりするので、その辺が気になってしまって読みにくく感じてしまう部分もありました。

あと、焼入れとか焼きなましとかの話があるかと思っていましたが、その辺の内容はほとんどなかったです。あくまで読み物という感じでした。できれば、フェライトがどうとかオーステナイトがどうとかという話は別の本や文献を探したいと思います。

鉄鋼業界の面白い色々を知ることができて、なんとなく視界が広がったように感じました。

以上です。

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