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見た目の違いも愛して使いたくなるものにしたい!

同じ商品でもテクスチャーが違うのはなぜ!?
その秘密は加工の工程にありました!!


ーテクスチャーの違いも素敵だなと感じているのですが、マットなものと標準のタンブラーの違いはどのようなところなのでしょうか。

鍵本:仕上げの工程が違います。もともとは光沢のあるものになります。ベースになっているものはひび割れに見えるようなテクスチャーが特徴です。
標準のタンブラーが光沢があるのは金型自体が光沢のあるきれいな鏡面に近いもので作っているからです。また、ポリ乳酸の特徴のひとつで結晶化するとき、固まったときに光沢を発するという点も関係しています。

(スタッキングタンブラー:マット仕様 タンブラー:ツヤ仕様)

ー金型によっても変化してくるということですね。使用上での違いもありますか。

鍵本:標準のタンブラーは表面がつるつるしているのでコーヒーとか茶渋があまり定着しない様になっています。結構はじきます。一方ではロゴの印刷のようなものはインクを弾いてしまうのであまりうまくのらない場合があるというデメリットもあります。

ーマットの方はどのような加工が施されているのでしょうか。

鍵本:こちらはブラスト加工といって細かい粒子を機械で強力にあてることでマット仕上げに加工しています。なのでそれぞれの値段が違っています。加工費のなかでブラスト加工が一番高値なので(小声)

ーなるほど(笑)そこにも苦労が隠されているのですね。

鍵本:マットなものを作ったのは、標準のものの成型が難しくてバリとかが出るためにそれをどう綺麗に見えるかを考えた過程で行き着いたものでした。本当に最初は成型に苦労しましたね。

ーどのようなところが難しかったのでしょうか。

鍵本:PAPLUS®を作ったときにパーティングラインといってうっすらと線が入っているんですよね(画像1参照)。今までのプラスチック製品や樹脂の製品はスタッキングタンブラーのように少し角度があるんですね。抜けの角度といって、金型ができた時に、金型ががーっと開いて内側にオスとメスの金型があって、抜け角度があるとそのまま取れるんですが、ストレートのままにしようと思うとうまく抜けないんですよ。
で、スライドコアといって金型がもう一つパーツが分かれるものがあるんです。その金型の分かれ目にパーティングラインが入るのでここ(底に近い部分)にも入ってくるんですよ。これは必ず入るんですが。ポリ乳酸の扱いが難しいことと、PAPLUS®の場合は紙も入っているのでこの金型での成型が非常に難しかったです。

画像1 | パーティングラインについて

ー形が違うと金型を外すのにも難易度が変わってくるということですね。

鍵本:はい。最初に作ったときはバリ(※1)がすごく出ました。「うわこれはまずい」ということでそのバリを取ってみたんですが、そこまできれいに取れませんでした。次は削ってみようってなったときにたまたまブラスト加工に出会ったんですが、そうしてみるとこの表情がとてもかっこいいねという話になりました。

ーマットなものもひび割れっぽいテクスチャーのものもどちらにも良さがあって素敵です。

鍵本:ひび割れっぽいテクスチャーについては、紙が他の既製品より固まっているというイメージをして頂ければと思います。すごい圧力で底の部分から樹脂を入れて、口の方に向かって進むのですが、この樹脂に関しては飲み口の部分に固まりやすいという特徴があるためそのような見た目になります(画像2参照)。

画像2 | 独特なテクスチャーが特徴

ー個性があるので使っていて愛着が湧きますよね!

鍵本:最初は個体差があることに悩んだのですが、もともと二つとして同じものができないねっていうところで開発を決断した時の気持ちに戻ったのですが、自然のモノって絶対そうですよねって思うんですよ。
要は木目って同じところのものを切り出すと近いものはありますが、木が変わったりすると全然ちがったりするじゃないですか。それを考えた時に一緒だなと思いました。同じ杉の木でも全く違うモノがあるように同じ材料でも見た目が変わってくる面白さがあると思います


※1:「バリ」とは金属やプラスチック、ゴムなどを加工するときにできる「出っ張り」やギザギザのこと


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