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茶湯からの、便り 十三

"山笑う"
今日、茶杓の銘に使おうとしていた言葉
冬枯れた山から緑が芽吹き始めた
春の山のさま。とのこと
丁度、今年初めて山梨の山の中で目にした光景だった

昔々の人が、同じような景色を見て
あぁ、山が笑っている様だ
とこの言葉を頭に浮かべたかと思うと
粋すぎるよなぁ日本人

他にも、調べていたら桜の異称として
"夢見草"
という言葉が出てきたり
木の切り株などから萌え出る芽のことを
"蘖(ひこばえ)"
と呼んでいたり
自然との五感的な距離を羨ましく思った


まだまだ手順を間違える
Youtubeでも見て覚えなさい
と言われたけれど
それはなんか違うんだよなぁ
毎週毎週忘れて
毎週毎週少しずつ頭でなく身体に覚えさせていきたいのよなぁと
怠惰を言い訳するかの様におもう


今日は、手の美しい人を見た
すっ。と、ふわっ。が同居する手だった。
その人のお手前の後に見た自分の手は
ごつごつと不恰好で岩の様だった

足は少し内股に
畳を少し擦るように歩くのが綺麗だなぁと気づく
わたしは着物ではなく洋服で茶を立てているから
どうしても歩幅は大きく
足の間が開きがちな歩き方になるけれど
着物ならば動きが制御されるから
洋服のようには本来歩けないのだろうな
少しずつしか進めない動けない
それがまた慎ましやかで美しいなぁと思う


器は正円ではなくゆらゆらと線のゆらぐ不均一な形状
薄い桃色と白と薄い緑のまじった釉薬がほどこされ
かつかつとひびが入っていた
雪解けのあとの桜のようで
季節の移り変わりを思い浮かべた

今日はどこか集中できなかったのだけれど
途中でふと、電気のせいかな?と感じた
煌々と光る電気の中に存在していることに
違和感を感じて、そちらが気になってしまった
ろうそくの灯の中で今度茶を淹れてみたいな

桜が舞っている

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