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セミナーなんかよりもHUBに行ったほうが企業研究出来ちゃった話

電車の中で、リクルートスーツを着ている学生を見ることが多くなった。まだオリジワが付いているベージュのトレンチコート、引っ張りすぎて細くなった新品のネクタイ、茶髪に黒を入れたとわかるあの独特な髪色。眩しいようなむずがゆいような、ちょっと複雑な気持ちで彼らを見ている社会人一年目の女です。

なんやかんや今の仕事がしたくて、わたしはずーっと、まるっと一年半就活をしていたわけである。その話は長くなるので省略しつつ、まあ就活生ってなにかしら志をもって職探しをするのだと思う。
後輩が就活を始める3月の今頃も、わたしはスーツを着て面接を受けていた。大学からは卒業確定のメールが来て、いっそ留年だったら言い訳ができたのにな、なんて思ってた。彼らのような新品さはなく、よれよれで着古したスーツを着ながら、明らかに就活失敗しましたみたいな顔だったと思う。化粧と髪だけは完璧だったから、下手したら疲れたOLだったかもしれないけれど、そっちの方がいいかな、なんて。

就活生にひとつだけアドバイスができるのなら、わたしに言いたいことはひとつ。諦めるなとか、頑張れば認めてもらえるとか、就活本に書いてあることはあんまり言いたくない。そんな綺麗な社会なんかではない。楽して稼ぐのが一番賢いと思っている人たちに、心で訴えかけるのは難しい。
ので。これだけ言わせてくれ。

『合説なんかに行くくらいなら、金曜の夜のHUBへ行け』

合説って、合コンでいうなら最初の挨拶でしかない。自分を良く見せようと、自分の言葉で自分を説明する場であるから、本当の性格がなかなかみえない。根暗な人が無理して明るく振舞っても、合コンの挨拶ではうまくごまかせたりするじゃないですか。なんせ見かけだけだからな、アピールさえすればあとはオッケーなのである。次この場にいる人に会う保証なんてないんだから。今この場にいる就活生たちに、自分の会社を印象づけられればオッケーなのだ。
企業は当然優秀な人材が欲しいから、会社の悪いところなんて言いたくない。売り手市場のこのご時世、それでも不安な就活生は、早めはやめに内定を得ようとフライングしまくる。企業も就活生も、慌てている気がする。

「自分らしく働ける場所がいい」「人と同じは嫌だ」就活生のほとんどがこれを言うけれど、その大半の人々は敷かれたレールを歩いているだけだったりする。みんなと同じ情報しか得られない場所に閉じ込められていたりする。
合説、先輩社員への質問会、インターン、個人面談。どれも経験したが、これらで会社のことを理解できたことは一切ない。なかった。本当に。大量のメモをあとで見返して思うけれど、覗き見して満足していた自分がちょっと痛くなってくる。

ある日のこと、夜遊びして気づいてしまった私の話。
就活に疲れてたまには遊びたくなって、地元の友達と夜遅くにHUBにいったときのこと。
金曜日のせいもあって、会社帰りのサラリーマンで溢れていた。私と友達は普通の私服だったから、そのサラリーマンたちからしたら夜遊びしている小娘にしかみえなかったと思う。ちょっとおしゃれして、いつもはひっつめてる髪を下ろして、塞がりかけてたピアスを通しておしゃれしたときのこと。

そこで出会う、お偉いさんの数々よ。

飲みの場でこそ、本音が飛ぶのなんのって。お酒がいい意味で大人をダメにしてくれていた。もらう名刺には大企業の名前と役職。え、まじですか、という具合に人事や総務に営業部長。話のうまさは天下一品。ネクタイのセンスはちょっとゴニョゴニョ。
ベロベロに酔っ払っている目の前の大人も、合説ではさぞかしきちんとしていらっしゃるのだろう。その面影もないただの大人からのお話こそ、本当の会社の説明だと思った。書きたい、まあ書けない。そんな内容なたくさん聞けた。嫌なところ、それでも好きなところ、明日も〜するんだ、というお話。憧れていた会社に対してのイメージも、働く上層部の人たちの考えも、それはそれはわかりやすく学ぶことができた。お酒の場で大人は嘘をつけない。

格式張った就活の場は、9割役に立たない。わかるのほ、そこで働く社員さんの話のうまさと会社の取り組み。以上。あとの実態は社員の生の声でしかわかり得ない。

就活生よ、騙されるな。
会社なんてみんないい顔をしたいだけだ。別に就活生に好かれたいわけじゃない。みんなを平等に採用したいわけでもない。社会のために!を掲げている会社が、あなたを大事にしてくれる保証はない。働く優秀なコマがほしいのだ。未来に役立つ、金になるコマが欲しいだけなのだ。究極それはどの会社もかわらないとおもう。
そのための合説、そのための企業説明会だ。それ以上のものはない。もしかしたら志の高い社員がいるのかも知れないけれど、ごくわずかだと思ってていい。会社というのは組織で、お金を儲けなければ生き残れないもので、働く人々はそれを支えてつくっていくコマだ。雰囲気や掲げる目標が違うだけで、変わらないのだ。

自分にあった会社が知りたいなら、あとで愚痴だらけのワーキングライフを送りたくないなら、知り合いの先輩でも親でもいい。とにかくいろんな人に話を聞いた方がいい。無知のままスタートするんだから、合コンの挨拶に騙されるな。周りと同じじゃなきゃダメなんて思うな、イレギュラーな方法で出世してる人の方がめちゃくちゃ面白かったりするぞ。大人や先輩の話を聞くのがいちばんだと思う。

それが金曜日に呑んだくれてるHUBの大人だったら、お話だけで済まされず、きっともれなくお酒一杯ついてくるぜ。

スーツで身を固めて、マニュアル通りの受け答え。そんなもので大人にいい顔するんじゃなくて、ちょっとおしゃれして居酒屋に行って、遊び心で大人をいい顔にさせてみるといい、つって。身を削ってって意味じゃない、口で大人を口説いてみろ、というお話です。
お酒って、すごいんだなあ。大人ってお酒には勝てないんだなあ、なんてしみじみ思った小娘の話ですけれど。

#コラム #エッセイ #就職活動 #就活 #合説 #内定

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