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【働くあのひと case.1】働くのは、「誰かのため」

「今年は、知り合い50人にインタビューしたい!」という思いつきで始まったこの企画。
いろんな人の働く姿を見て、本音で話してみたいと思ったのがきっかけです。
普段の何気ない会話ではなかなか聞くことができない本音を、編集のお仕事をしているわたしがガチでインタビューしていきます。(うまくできるかわからないので、ちょっとドキドキ!)
はたして、友達の少ないわたしが50人もインタビューできるのか。
ひそやかに見守ってくれると嬉しいです。

一人目は、鈴木あゆみさん(通称「あゆ」)。静岡のとある旅館で働いている、わたしと同じ24歳です。
各地から観光で泊りにやってくるお客様をおもてなし、常に癒しの時間を提供し続ける彼女に、「働くこと」について聞いてみました。

ーもともと接客に興味があって、この仕事を選んだの?

大学の時に、接客のバイトをしていて。
ただ淡々と何かをするよりも、「こういうことをしたら、相手は喜んでくれるんじゃないか」とか考えて行動するのが好きだった。

でも、接客を仕事にしたいほど好きとか、そういうわけではなかったんだよね。
旅館で働きたいからこの会社に入ったんじゃなくて。
多分、この会社が他の事業をやっていても、わたしここに入っていたと思う。

ー会社の『価値観』に共感したってこと?

就活の時には、観光と教育の両方をみてた。
最後にはどちらからも内定をいただいたから、すごく悩んだんだけど……。
最終的には、働いている人の雰囲気を見て決めたんだよね。

観光だと、働いている従業員はいつもお客様の前で笑顔でいるように心がけているし、キラキラしていたり楽しそうにしている人が多くて。自分が働いているイメージがついたのが、そっちだった。
教育にいったら、きっともう『観光』に関わることってないかもしれないけれど、観光にいったら、観光の中の『教育』に携わることができるんじゃないかなって考えた。
ゆくゆくは、どっちもやれればなって。

ー実際働いてみてどうだった?

人事の人の話とか、就活の時に入り口で見ていたものって、現場ではおちていないことが多いから。
大変なことが本当に多かった。

だけど、お客様に対して自分がいいと思う接客をやることを許してくれるところが、会社のいいところだなって思う。
「これはやったほうが、お客様は喜んでくれる」って思ったことは、会社も許してくれて。自分で対応できる範囲内でなら行動できたり、例えばサプライズをしかけてお客様を喜ばせたりもできる。
お客様第一なのは、素敵だなって思う。

逆に、目の前の仕事がいっぱいいっぱいで、「仕事つらい」「やめたいって思ったりもした」っていう人がたくさんいることがちょっと辛かったりもする。
「やめること=ゴール」になっている人が、想像以上に多かった。

働き続けて何年か経った人が、転職や異動したりする時に「やっとやめられる」「やっと違うことできる」って言ってたりすると、なんとなく残念だなって……。
世間では「とりあえず三年は働け」っていわれてるけれど、次の場所に行く決断をするのは、ステップアップしたい時だったらいいのかなってわたしは思う。
後ろ向きな理由で辞めたいって思う人が多いのは、やっぱり少し寂しい。

ーあゆ自身は、この仕事を続けていきたいって思う?

わたしも実は、やめたいって思ったことがあったりもする。
やっぱり人って流されると思うから、この環境にいるとなんのために働くのか、見失うこともあったんだよね。

だけど、今やめたらわたしも後ろ向きな気持ちでやめることになっちゃうから。
それっていいことなのかなって、それで本当にいいのかな自分って、本気で迷った。

だけど、自分だけじゃなくてこの環境をもっとよくしようとする人がいるって、会社に仲間がいるって知ったの。
そしたら、環境を変えるためのチームみたいなものに誘われて。
どうせいつか会社をやめる日がくるのなら、最後にお互い「ありがとう」って言えるような関係になりたいなって、思う。
一緒に働けてよかったよって言い合える関係を築きたいし、まだこの会社でやり残したことがあるなって。
その道を進んでいくのは苦しいし、いつ結果がでるかわからないし、いい方向に進んでいけるのかどうかわからないけれど。
でも、そのほうが達成感あると思う。
その先じゃないと見えないものがあるんじゃないかって、そう思うんだ。

ーそのために、何かしたいことってある?具体的になにができるとか。

仕事だけの関係性じゃなくて、本音をちゃんと話せる人を、ひとりでも多く増やしたい!
性格上、年上の人に話しかけるのがとても苦手なんだけど。
年の差に関係なく一対一で向き合える関係性を築けたらいいなって思う。

ー今の話って、『対内(働いている人たち)』への思いだと思うんだけど、『対外(お客さん)』に対しての思いって、なにかあるの?

目の前にお客さんがいたら、一番にその時間を楽しんでもらえることを考えたいって思うけれど……。
接客をビジネスとして突き詰めていきたいかって話になると、わからないかも。

接客を深くやっていきたいって思う人もいるけれど、私のゴールは「接客」を極めることではないって、なんとなくわかってる。
だからどうしたいっていうのは、はっきりとはまだわからないけれど……。
だけど、目の前のお客様のことを考えるのは、やめない!
それがプロとして働くことだって、思ってる。

ーお話少し変わるけれど。
あゆにとって、一番の『好き』を教えて!

すごく抽象的になるけれど。
自分の知っている人や、自分の関わっている人の人生が動き出す瞬間に携わるのが好き!

「出会えてよかった」とか、「ありがとう」とか、本気で心から思い合える瞬間がたまらなく好き。
うまくいえないけれど、感情が湧き出るような感覚になるの。

一番印象に残っている出来事なんだけれど、「カタリバ」っていう団体に入っていた時に、山口県に行ったことがあって。
県の大学生に自分たちで声をかけて、そこにいる高校生にカタリバをしようっていうボランティアに関わったことがあった。

わたし、東京出身で地方のことを全く知らなかったから、いろいろ衝撃だった。
コンビニ本体よりもそこにある駐車場の大きさに驚いたりとか、そもそもの土地の違いとか、そういうのはもちろんだけれど。

そこで出会った大学生の子たちは、東京で育ったわたしと少し違ってた。
挑戦する機会とか、チャンスとか、育ってきた背景とか。
自分の置かれている環境と全然違ってたんだよね。都会で育ったからってわけじゃないけれど、自分が当たり前って思ってたことが、誰かにとっては当たり前じゃないんだなって気づくことも多かった。
でも、とっても素直でいい子達で。
教えたことをぐんぐん吸収してくれて、本当に素敵な子達だったの。

カタリバを通してその子たちと関わっていくうちに、どんどんみんなが変わっていくのを見た。
本音で話して、本当を見せ合えるような関係を築けるようになった時、「人ってこんなに変わるんだ」って思った。
それがすごい印象に残っているんだよね。
きっと、わたしとその子たちが出会わなくてもお互い生きて行けたんじゃないかって思うけれど。
でも多分、あの時の経験や感情って、お互いの人生に残る出来事だって思えてる。

ーあゆも影響をうけたってこと?

うけた。
わたし自身、こういう風に本音で誰かと関わっていくのが好きだって気付けたし、自分と生きてきた背景が違う誰かと、どう関わっていくかとか、どう触れ合えばいいかとか、本当にたくさんのことを学んだ。
一番心を開いてくれなかった子が、今は一番仲良かったりするんだよね(笑)
社会人になった今でも、夏休みには山口に行ってる。

それくらいの心を震える経験を仕事でまだできていないから、ちょっともやもやするのかも。ゲストに対しても、同僚に対しても、まだ本気でぶつかり合えてないのかなって、どっかでわかってる。

ー本気でぶつかりたいって思うんだ。

…怖いけど(笑)
それがすべてだとは思わないけれど。
でもお互いぶつかりあって、心が震え合えるあの感覚がすごく好き。

ーそんなあゆちゃん!
あなたの将来の夢はなんですか!

ないんだよね。
夢がない自分がずっとコンプレックスだったの。

結構わたしのまわりの人って、「こういうこと成し遂げたいからこの仕事をする!」とか、「社会的な問題を捉えてこういうことをしたい」とか言える働き方をしているひとが多くて。かっこいいなって思うけれど。
でも、わたしには具体的にそういうものがなくて、すごくもやもやしてるのもある。

だから、今はいろんなことをやりながら、いつか自分にもそういうものが見つかったらいいなって思って、いろんなことをするようにしてる。
自分でイベント開いたりとか、いろんな人に会いに行ったりとか。

あ、でも。
強いていうなら、おばあちゃんを結婚式に呼ぶことが夢(笑)

ー逆に、こうだったら嫌な自分っている?

自分の心に嘘ついている自分。
やりたくないことを嘘ついてしたりとか。
きっと、嘘ついて生きてても、人間って生きられちゃうと思う。
それなりに稼いで、それなりに生きることはできるけど。
嘘ついてたら、本当の意味で自分に納得できないと思う。
さっき話したような、心が震えるようなあの瞬間は、絶対できないってわかってる。
心に嘘つかないで、相手にも嘘つかないで、自分の生きたいように生きるのが一番だって思う。

あとはやっぱり、「出会えてよかった」って思ってもらえる自分でいたい。

ーあゆ、出会えてよかった!

ありがとうございます!(笑)

ー最後に!あゆにとって、『働く』とは?

最初に今のキャリアを選んだのは、「自立をしたいから」だったんだよね。
自分の力で生活をするっていうのを、きちんとやりたいって思ってた。
夢語ったりして就職しませんって道もあったのかもだけど、社会人としてちゃんと地道に働く経験はしておきたかった。
それがちゃんと達成できたときに、「何のために」を考えられるんじゃないかて思ってる。
今はやっと自分で生活できるようになって、次の段階に進んでいるのかな。

多分、わたしにとっての働く意味って「誰かのためになること」だと思う。
この年になると周りが結婚とか出産とかしだすけど。
わたし、結婚しても絶対に仕事はしていたい。社会との接点は持ち続けたい。
奥さんとしての自分とか、母親としての自分だけで生きていると、いつか絶対に苦しくなるってわかってる。
だから、いくつになっても仕事を通して、ちゃんと社会と関わり合っていきたい。

働くって、自分の行動で何かをすることだし。結局、どの仕事も相手がいないと成り立たないし、その誰かは仕事によって変わってくるって思ってる。
ちゃんと自分の名前で生きていけるようになって、働ければいいなって。
誰かのためになることができて、自分も社会の一員でいれて、かつ「出会えてよかった」って思ってもらえる自分でいれたら。
それが一番の理想だって思う!
その思いはぶれずにいたいです。

インタビューをしているこちらまで、凄まじくいろいろ考えさせられるお話でした。
すごくリアルで、インタビュー一発目が素晴らしいものになりました。

嘘つかない自分でいるって、すごく難しいけれど。
素直に生きることが一番の人間らしさなのかなって思いました。大事なことを教わりました。
あゆちゃん、ありがとう!出会えてよかった!

#インタビュー #働くあのひと #就活 #サービス業


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