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新任Managerは何をするのか?

Managerになった理由

今回は私が初めてManagerになるまでの経緯と、チームの課題に対する取り組みについてお話しします。とにかく手さぐりだったけど、目の前の課題を対応しながら、道路を舗装するような取り組みをすることで着実に前進し、より良いサービスを提供するチームになっていきました。

2019年3月、34歳で初めてのManagerに就任しました。それまでにはチームリーダーやプロジェクトのリードの経験がありましたが、正式な管理職としての役割を担うのは初めてでした。それまでManagementというものに特に興味を持っておらず、技術的なスキルやビジネス経験を積むことに専念したいと考えていました。管理職はメンバーを指導することにストレスを感じるのではないかなぁと思い、Managementに進むことにはあまり興味がありませんでした。(今考えると、Managerはメンバーをフォローする役割を果たす存在であるという先入観があったのかもしれません)

ただ30代半ばに差し掛かった頃から、自身のキャリアについてもっと考え始めました。これまでの自分とは違う新たなスキルを身につけたいという気持ちと、当時の上司がビジネスチャンスを創出し、グローバルチームと協力しながら実行する様子を見て、自分もその道を歩んでみたいと思いました。


チームの役割と課題

自分が担当するチームは、ソフトウェア製品を購入したお客様が製品を最大限に活用できるようにプロアクティブにサポートする役割を担っていました。お客様からは技術的な相談もあれば、ビジネスのゴールやマーケティング施策に関する相談もあり、幅広い対応が求めれるのが難しいロールになっています。チームメンバーは5人で、3年目のエース1人、中堅メンバー2人、そして1年目の若手メンバー2人で構成されていました。中堅メンバーは他のチームから異動してきたメンバーで、そのロールを担うようになってからまだ1年ほどしか経過していませんでした。

チームメンバーは5人。3年目のエースが1人、中堅が2人、まだ入って1年ぐらいの若手が2人。その中堅も他のチームから転籍してきた人達で、自分たちのロールを担当するようになってからはまだ1年ぐらいという状況。。。

Managerになった時の課題は山積みで。。。

  • サービスの品質が良くなく、お客様やその他の社内関係者からのクレームに繋がっている

  • トレーニングやドキュメントがまとまっておらず、個々のメンバーが自分で情報を集めてサービスを提供している

  • 自分たちのチームがどんなサービスを提供するべきなのか長期的な方向性がない

  • 利益、コスト、稼働時間の管理が徹底されていない

  • 辞めたがっている人がいる(エース君…)

どこから手を付けよう

チームの立て直し

以下の手順でチームの立て直しに取り組みました。

  1. まず血を止める。サービス品質にフォーカス。

  2. 並行してサービスの標準化とトレーニングの強化。

  3. 並行して人の最適化。外から人を引っ張ってくる。

  4. 長期的なビジョンとかミッションは二の次。

  5. ビジネスモデルの再設計。

1. Playing Managerとして

救いだったのは、自分がこのサービスをよく理解している点。約4年間大手のお客様をリードしてきたので経験はある。

最初の半年間は、私自身が全ての案件をレビューし、金額が大きい場合には自らミーティングに同席し、お客様とも自分が会話することで、全てのデリバリーを担当する姿勢で取り組みました。メンバーを育てることよりも、とにかく目の前のお客様に満足してもらうこと、メンバーは見て慣れてくれというスタンスを考えていました。

2. Managerリソースのレバレッジ

Managerリソースの1人月がチームの生産力1人月になるのは効果的なManagementではないという哲学があります。Managerは自分がかけたリソース以上にチームのアウトプットを高められる(レバレッジをかけられる)ポイントを常に探して、そこに力を注ぐべき。

自分が常に個別のミーティングに参加しているような状況は自転車操業であり、結局個々の案件の品質向上にしか繋がらない。もっと効果的なManagementをするためには、良いサービスとは何かを明確に定義し、必要なコンテンツをチーム全体で共有する取り組みを進めていきました。定例ミーティングとは別に、トレーニングのためのミーティングを毎週行い、メンバーに求められることを理解してもらう。デリバリーする全員が100点を取ることは難しいかもしれませんが、全員が60点を取るようにすることはチーム全体の取り組みで十分に可能。その上で、80点を取れないメンバーを個別にサポートしていくことが効率的なManagementだと考えていました。

3. メンバーを入れ替える

Managerは常により良いサービス(あるいはより良いビジネス)を作ることを常に目指すべきだと思います。ここの決定力が弱いと、将来的なプランニングに時間がさけずに、チームが衰退し、自分も次のステージに上がれないと思います。

全員が120点を取れるチームを実現することが、会社とお客様から求められる理想ですが、現実には個々のメンバーのスキルには純然たるギャップが存在します。このような状況の場合、外部(社内の他チームも含め)からスキルの高い人材を引き寄せ、チーム全体のレベルを向上させていく必要があります。結局、、サービスレベルを向上させるためには、それを提供する能力を持った人材が必要ですので、周囲の人々に声をかけ続け、チームに参加してもらうことが非常に重要。このような人材を引っ張ってくる力は、Managerにとって不可欠であり、これができなければ困難な状況からなかなか脱却することができないし、会社から見た時にはManagerの資質が疑われ、より大きなチームを任される機会も得られない。

同時に、100点を取れないメンバーには、他のチームに移動してもらうか、退職してもらうことも絶対に必要。こうした措置は、そのメンバーが悪いという意味ではなく、今のメンバーのスキルや経験が自分たちが目指すサービスに適合しているかどうかを考慮する必要があるからです。その分析・判断が遅れると、Managerが常に案件をフォローアップを行う必要が生じて他のManagement業務に力を注げなかったり、しりぬぐいをさせられるような状況が周囲のメンバーのモチベーションにも悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、Managerは迅速な意思決定と丁寧な対応を心掛けることが必要不可欠。

こうした判断は苦しいと思うManagerもいるかもしれないですが、メンバーが自己成長を遂げ、最高のパフォーマンスを発揮するためには、個々のスキルや能力を最大限に活かすことが必要です。もしメンバーが自身の力量に合わない状況に置かれている場合、他のチームや組織に移動することで、より適切な環境で成長する機会を得ることができるかもしれません。このような判断を行う際には、個人の能力や意欲を尊重し、彼らが自身のキャリア目標に向かって成長できるようサポートすることがManagerの仕事だと思います。

まとめ

自分の経験では、まず新任Managerが実施するべきことはより良いサービスを提供できる体制や運用を構築することだと思います。そんなの当たり前だと思うかもしれませんが、それをないがしろにして、ビジョンがどうだとか、ビジネスモデルを見直すとかは避けるべきだというのが持論です。それは血を止めるという作業と、フォーマットを固める、人を入れ替えるというプロセスを同時に走らせることが必要になってきます。

結局のところ、自分をManagerにしてくれた上長も、メンバーもあなたがどれくらいManagerとしての力量があるのかが分かっていないので、まずは得意な領域でしっかりと自分の価値を出し、もっと長期的なことや大きなことは自分がその権利があると認められて初めて着手できることだと思います。

次のスレッドでは、より長期に向けた戦略やプランニングについて書きたいと思います。


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